「天の配剤」とは?意味や使い方をご紹介

「天の配剤」(てんのはいざい)という言葉をご存知でしょうか。日常会話ではまず登場しない言葉なので、耳慣れないと感じる方も多いかと思われます。意味が曖昧だという人もいるでしょう。今回は、「天」の解釈なども含め「天の配剤」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「天の配剤」とは?
  2. 「天の配剤」の使い方
  3. 「天の配剤」の類語

「天の配剤」とは?

「天の配剤」(てんのはいざい)とは、「天は人間のそれぞれに、才能や資質、機会や役割などをうまく配するものだ」という意味です。また、善なる者には果報を、罪ある者には天罰を、などのように、その行為の結果に見合うものを天が与える、という意味もあります。

「天」と「配剤」の意味

「天の配剤」を深く理解するために、「天」「配剤」の意味をそれぞれに検証していきましょう。

「天」は、さまざまな意味をもつ言葉です。地に対する空、あめ、天地の天、万物の神や支配者のこと。また、そのような神、天人の住む場所という意味もあります。

仏教においては、人間界より上の天上界のことであり、キリスト教においては、神のおわす天国を指します。

「天の配剤」における「天」は、特定の宗教的な神ということではなく、一般的な天上の神のことを指しています。日本では、むかしから「お天道様が見ている」などといいますが、この「お天道様」に近いイメージといえるようです。

「配剤」は、もともとは薬を配合することを指す言葉でした。現在では、この意味はほぼすたれ、薬に関しては「調剤」「調合」が用いられています。

「配剤」は、ほぼ「天の配剤」で見かけるのみとなりました。「配剤」の意味がわかると、天なる神が、(薬を塩梅良く調合するように)人間に個々の才能や機会、あるいは善悪の果報を見極めて与える、という意味が実感として伝わりますね。

「天の配剤」の使い方

「天の配剤」は、天なる神による、薬を調合するような絶妙な思し召し、という賞賛の意味が含まれていることが、使い方のポイントとなります。したがって、あって当たり前のこと、そうあるべきなのにそうでないことなどには用いません。

また、天がなしたこと、と決めつけるのではなく、「まさに」「まるで」「あたかも」などの言葉を前において、それほど凄いことだ、という意味に用いることも多々あります。

「天の配剤」の文例

(A男)

黒字転換が我が社の起死回生の要というこの時期に、営業と経理畑で研鑽を積んだ鈴木氏が社長に就任したのは、まさに天の配剤といえるね。

(B子)

ずっと忘れられなかった初恋の人と、一年前に偶然映画館の隣の席で再会したの。この秋に結婚するのだけど、天の配剤としか思えないわ。

(C男)

殺人で指名手配されていた男が、身を隠していた離島でたまたま観光に来た知人に目撃され、逮捕になった。見事な天の配剤のシナリオだね。

「天の配剤」の類語

「お天道様が見ている」の意味と使い方

「お天道様が見ている」は、太陽のことを天地つかさどる神とみなして「お天道様」と呼び、人知を超えた神様がいつも空から見ている、という意味で用いられる言い回しです。

どんなに隠しても悪事は神様にはお見通しだ、というネガティブなことへの戒めとしても用いますし、たとえ誰に知られずとも、よい行いは神様が見ていてくださる、というポジティブな励ましとしても用いられます。
 

  1. 自分の罪を他人に負わせるような策を弄しても、お天道様は見ているよ。
  2. あなたが、長年ホームレスの方々に炊き出しを続けていることは、人知れずともお天道様が見ていてくださるわ。

「神の思し召し」の意味と使い方

「神の思し召し」(かみのおぼしめし)は、基本的に神への信仰をもつ人が、神様が思っていらっしゃるとおり、という意味で使う言い回しです。

特定の宗教から生まれた言葉ではないため、一般的にも、奇跡的な出来事や偶然のできごとをそのように言い表したり、あるいは、良いことであれ悪いことであれ、自分は運命に身をゆだねている、という意味でも用いることがあります。
 

  1. 中村さんは、津波にのまれながらも生きながらえることができたのは神の思し召し、とつねに感謝を忘れずにいる。
  2. 自営の雑貨店が倒産目前だが、ここまで努力したのだから、あとは起死回生でも倒産でも、神の思し召しとして受け入れるよ。


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