「ghq」とは?意味や使い方をご紹介

「ghq」は、1945年の敗戦によって焦土と化した日本に突如現れ、当時一国の社会現象になった言葉でした。さらに年月を経て、新しい世代の若者言葉としても活躍します。本記事では「ghq」の意味や使い方、そこから派生した別の意味などについてもご紹介します。

目次

  1. 「ghq」とは
  2. 「ghq」の使い方
  3. 吉田茂と「ghq」
  4. コギャル語「ghq」
  5. 偏見としての「ghq族」
  6. 「ghq」の時代にむけて

「ghq」とは

かつて〈戦後〉と呼ばれた昭和の一時期に、「GHQ」と表記されるローマ字が定着します。

英語のGeneral HeadQuarters」の頭文字をとって、「GHQ」と略されたこの言葉は、「総司令部」と和訳されました

この言葉はさらに「SCAP」と続いて「GHQ/SCAP」と略されます。連合国軍最高司令官総司令部」。現代史の教科書では〈戦後〉の第1章に出てくる言葉です。

「ghq」の意味

GHQを日本語で発音すると、「ジーエッチキュー」になります。いま日本人のいう〈戦後〉とは、昭和の時代に終わった太平洋戦争後を指しますが、戦争を終えた直後の日本人の感覚では、むしろ〈敗戦後〉といったほうがよりふさわしかったに違いありません。

その敗戦後の日本に、肩で風を切ってあらわれたのが戦勝国である欧米の兵士です。彼ら兵士は日本各地に駐留し、敗戦後の日本で「進駐軍」とよばれます。その進駐軍の兵隊を指揮した総本部が「ジーエッチキュー」でした。

進駐軍

その後、実態としては「占領軍」になりますが、兵士たちをよぶ呼び名としての「進駐軍」は残ります。

また、当時の日本の庶民の間では、駐留している兵士たちの呼び名が一致しておらず、一兵卒や随行する外国人記者を含めて「ジーエッチキュー」とよぶことがありました。

つまり「進駐軍はジーエッチキュー」と答えても、あながち間違いではなかった時代です。さらに「ジーエッチキュー」を俗語としてみるならば、〈戦後〉の日本に駐留していた外国兵、といえるかもしれません。

「ghq」の使い方

ここでは「GHQ」の使い方について説明したいと思います。

  • 「日本はアメリカの衛星国だって言われているよ」「そう、日本人は戦後GHQに感化されたからね」
  • 日本国憲法は、GHQが作成した「GHQ憲法」だという人もいます。
  • 日本にモダンジャズを定着させたのはGHQの兵隊だったといってもいいかもね。
  • 第二次世界大戦で全面降伏した日本は、その後6年8か月の間、GHQの占領下にありました。

吉田茂と「ghq」

日本がGHQの占領下にあった時代、故・吉田茂は外務大臣として国政にたずさわります。その吉田のもとへ、当時、法制局官僚だった佐藤達夫があらわれます。

佐藤の話はおもにGHQの専横についてでした。話を聞き終えた吉田はこう応じます。「GHQは何の略だか知っているかね?ゴー・ホーム・クイックリーだ。『さっさと帰れ』だよ」

「Go Home Quickiy」は、まさに至言(しげん)です。当時GHQに対しては、政治家、官僚の誰もが不満を抱いていたに違いありません。吉田茂もまた然りです。
 
しかし彼は、人前で下手な愚痴などこぼしません。外務省出身の政治家らしく、持ち前のニヒリズムを駆使して、GHQへの不満をあらわにしたのです。以上は、小説家・中路啓太氏の著書『G.H.Q』で詳しく述べられています。 

コギャル語「ghq」

「コギャル」とは、ご存知のようにギャルを真似て背伸びする高校生たちのことでした。平成初期、独特なファッションで仲間意識を共有し、繁華街を闊歩(かっぽ)していたコギャルが編み出した“通り言葉”、それが「コギャル語」です。

「コギャル語」はその後、コギャルの衰退と共に、“ゆくえ知れず”になりました「ghq」も、そのひとつとして記憶されています。

コギャル語「ghq」の意味

コギャル語における「ghq」は、放課後、部活に参加せず、早々に学校を後にする生徒を指しています。

「Go Home quickly」の頭文字をとり「早くうちへ帰ろう」と意訳されますが、故・吉田茂がいい放った英文のニュアンスとは異なっています。

この場合、「さっさと帰れ!」ではなく「さっさと帰ろう」になるので、仲間意識を共有する際の隠語、すなわちコギャル語としての意味合いが強調されています。

また、既存の「帰宅部」「下校部」という呼称をあえて退け、当時コギャルのお家芸といわれた略語を用いて下校気分を表現しています。日頃、自分の気持ちを素直に、そして簡潔に表現していたコギャルたちにとって、「ghq」は溶けこみやすい言葉だったのでしょう。

コギャル語「ghq」の使い方

コギャル語としての「ghq」は、「帰宅部」や「下校部」に置き換えて使用できます。

(A)

ねぇ、どこの部へ入る?

(B)

ghq

部活をやめることを先輩に質されたときにも使用できます。

(先輩)

アンタ何よ、本気なの?

(後輩)

はぁ、ghqに入りましたから

もちろん、大学に入ってからも使用する機会があるでしょう。

(大学の先輩)

高校時代は、何やってたの?

(後輩)

放課後はghqでした

偏見としての「ghq族」

「ghq族」は、「早くうちへ帰りたい」会社員人を指しています。「働き方改革」が叫ばれる今日、「定時退社」は、ますます重きをなすテーマとなってきています。

しかし、つい先ごろまで、日本の職場では、サービス残業を”美徳“とする空気に満ちていました。そんな中、個人的な事情で定時退社する人たち、もしくは長時間労働を避けて早い帰宅を望む人たちに対して、やや冷たい視線でささやかれた言葉が「ghq族」です。
 
平成に生まれて平成の時代に消えた言葉でしたが、いま社会問題化している介護退社や職場の精神疾患、育児の問題を抱える人たちに対して、職場の人の視線だけは変わらず引き継がれています。

今後、やむを得ない事情を抱えて職場へ通う人たちに対して、ひと言「どうぞ、定時でお帰りください」と優しく声をかける人が増える日を願ってやみません。

「ghq」の時代にむけて

GHQ占領下にはじまった〈戦後〉は、その後、高度成長期を経て平成へと移りました。

平成の時代に現れたコギャルたちは前の世代とは違い、スポーツや学園祭で”根性”を見せつける高校生とは一線を画しました。「ghq」と唱えて下校するコギャルを一方的に揶揄(やゆ)する時代は終わっています。
 
いまは「働き方改革」にともなって、「ghq」の後のライフ・ワークバランスが問われる時代になりました。「早くうちへ帰ろう」と大手を振っていえる時代は、もうそこまで来ているのかもしれません。

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