「一抹」とは?意味や使い方をご紹介

「一抹の不安」「一抹の寂しさ」というフレーズはよく見かけますが、具体的に「一抹」の意味やニュアンスを答えられる方は少ないのではないでしょうか。「一抹」という言葉を正しく使うためにも、ぜひここで学んでおきましょう。ここでは「一抹」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「一抹」の意味
  2. 「一抹」の使い方
  3. 「一抹」の例文・使用例
  4. 「抹」の字義
  5. 「一抹」の類語

「一抹」の意味

一抹(いちまつ)」とは、「ほんのわずか」、「ごくわずか」を意味する言葉です。もともとは「絵筆でひとなすり」した程度の量という意味でしたが、これが転じて「ほんのわずか」を意味する言葉となりました。

「一抹」の使い方

「一抹」の使い方ですが、気をつけるべきなのが「ネガティブ」な文脈で用いるという点です。たとえば「一抹の不安」や「一抹の寂しさ」のように、一抹の後にはネガティブな要素を含む言葉を続けます。

まれに「一抹の希望」と表記している文章を見かけますが、「希望」はポジティブな意味を持つ言葉ですから、これは誤りです。この場合は後述する「一縷(いちる)」を用いて「一縷の望み」とするのが正しいです。

一抹の不安

一抹の不安」は、「一抹」を用いた言葉のなかでも、かなり使用頻度の高い表現です。「ほんの少しだけ解消されずに残っている不安」という意味で使います。

一抹の寂しさ

一抹の寂しさ(いちまつのさびしさ)」も、「一抹」を用いた表現としてよく使われています。「ほんのわずかな寂しさ」を意味しており、「一抹の寂しさを覚える」「一抹の寂しさが残る」のように使います。

「一抹」の例文・使用例

  • 皆は完璧な仕上がりだと喜んでいたが、それでも彼の脳裏には一抹の不安が残っていた。
  • 盛者必衰の理(じょうしゃひっすいのことわり)とはよく言うが、それでも、あれほど栄えていた家が滅びてしまったことに、私としては一抹の寂しさを覚える。
  • モクモクと排出されたガスは広い大空に拡散し、やがて一抹の薄い煙となって消えてしまった。

「抹」の字義

「一抹」という表現を知るうえで、字の意味や成り立ちを知ることは重要です。「抹」という字には以下の意味があります。

  1. さっとなする。こすりつける。
  2. 塗りつぶす。
  3. すりつぶして粉にする。

「一抹」で使われているのは1の意味です。なお、3の「すりつぶして粉にする」は、「抹茶(まっちゃ)」や「抹香(まっこう)」などで使われています。

「一抹」の類語

一縷

一縷(いちる)」とは、以下の意味を持つ言葉です。

  1. 一本の糸。また、そのように細いもの。
  2. ごくわずかであること。ひとすじ。

もともとは1の意味のように「糸のように細いもの」を表していました。これが転じて2の「ごくわずかであること」という意味でも使われるようになりました。

なお2の意味で使われる場合は、「一縷の望み」や「一縷の希望」に代表されるように、「一縷」の後にはポジティブな言葉が続きます。

【使用例】
  • 逆転勝利に向けて、監督は彼に一縷の望みを託した。
  • 一縷の希望にかけて、目の前の戦いに挑む。

一毫

一毫(いちごう)」とは、以下の意味を持つ言葉です。

  1. 一本の細い毛筋。転じて、わずかなもの。
  2. 長さの単位。一厘の十分の一。

「毫」という字には、「きわめて細い毛」や「筆の穂先」という意味があります。また「一毫」が使われている表現として、きわめてわずかであることを表す「一糸一毫(いっしいちごう)」があります。

【使用例】
  • 期限までに終わる兆しが一毫もないほど厳しい。
  • 彼の方針は、あの時から一毫たりとも変わったところが無い。

一掬

一掬(いっきく)」とは、以下の意味を持つ言葉です。

  1. 両手でひとすくいすること。ひとすくい。
  2. わずか。ほんの少し。

もともとは1のように、水などを「両手でひとすくいすること」を指していましたが、これが転じて2の「わずか。ほんの少し」といった意味でも使われるようになりました。

なお「一掬」を用いた表現として「一掬の涙(いっきくのなみだ)」があります。この言葉は「(両手でひとすくいできるほどの)たくさんの涙」または「ほんのわずかな涙」という意味で使われています。どちらの意味で使われているかは、文脈によって判断することが必要です。

【使用例】
  • 凛々しく立ち振る舞う彼女の瞳には、一掬の涙もなかった。


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