「一念」とは?意味や使い方をご紹介

「一念」は日常会話で使う機会はあまり多くないかもしれません。実は仏教と関係のある言葉です。そのため、ことわざや慣用句、四字熟語にも「一念」を含むものは数多くあります。今回はあまりなじみのない「一念」について、意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「一念」とは?
  2. 「一念」の使い方と例文
  3. 「一念」を含む四字熟語
  4. 「一念」の関連語

「一念」とは?

普通の意味

「一念」とは一つのことを心に強く念じることです。ひたすらに心の中で強く思い、願う。一心に何かを成し遂げようという決意熱意を指します。

また、ふと思うことという意味もあります。何気ないタイミングでフッと頭に思い浮かぶ考えや雑念のことです。

仏教用語としての意味

「一念」は仏教用語としても使われます。意味は次の2種類に分けられます。

  1. 非常に短い時間。今だけの一瞬の心
  2. 念仏を唱えたり、瞑想したりすること。

仏教における時間の単位では「刹那(せつな)」が有名です。「刹那」は最小の時間単位で、おおよそ0.01秒程度といわれています。

「一念」はその60倍から90倍とされているので、0.6秒から0.1秒程度でしょうか。もっとも、大抵は具体的な時間を指さずに一瞬という漠然とした意味で使われています。

「一念」の使い方と例文

使い方

「一念」は「通じる」や「通る」とセットでよく使われます。「一念が天に通じる」や「彼の一念が通じた」のように使います。その他では、「熱意」や「一心」と同じように使われることもあります。

いずれにせよ、どちらかといえば文章語ですので、日常会話では四字熟語や慣用句くらいでしか使われないでしょう。

例文

  • 親の一念が通じたのか、後輩は家業を継ぐために地元に戻った。
  • 恋人に会いたい一念から、彼女は一人列車に飛び乗った。
  • 生き延びたいという一念が彼を生死の境目からよみがえらせた。

「一念」を含む四字熟語

一念発起

一念発起(いちねんほっき)」とは何かを成し遂げようと決心することです。仏教用語では悟りを求める心を起こすことを指します。

「一念」と同じように「発起」も一般用語と仏教用語の2つの意味があります。普通は何かを始めるという意味ですが、仏教では悟りを求めることや迷いが起こることという意味になります。

類義語に「一心発起(いっしんほっき)」や「一念発心(いちねんほっしん)」などもありますが、大まかな意味は変わりません。

一念不生

「一念不生(いちねんふしょう)」とは、雑念一つさえも生まれない心の様子を表します。この場合の「一念」は一つの念、つまり雑念のことです。

一念往生

「一念往生(いちねんおうじょう)」は死ぬ間際に一度念仏を唱えるだけでも極楽に行けるという仏教、特に浄土真宗の教えです。なお、「往生」は死後に極楽へ行くという意味です。

「一念」の関連語

初一念

「初一念(しょいちねん)」とは最初に決心したことや覚悟したことです。何かを始めるにあたって心に決めた覚悟があるでしょう。その覚悟した内容を「初一念」と呼びます。

初志貫徹(しょしかんてつ)」や「初心、忘るべからず」に出てくる「初志」や「初心」と同じ意味です。

一念岩をも通す

「一念岩をも通す(いちねんいわをもとおす)」とは、信念さえあれば何でもできるという意味の慣用句です。「岩をも通す」は岩に穴をあけることで、難しいことのたとえです。「雨だれ石を穿つ(あまだれいしをうがつ)」ということわざでも出てきますね。

なお、「コケの一念、岩をも通す」という形でも使われますが、この場合の「コケ」は微生物の「苔」ではありません。愚か者や中身がないという意味の「虚仮」です。「こけおどし」などに使う方です。

一念天に通ず

「一念天に通ず」は何かを成し遂げようという強い決意があれば、その意志は天に届き成し遂げることができるという意味です。四字熟語で「一念通天」ともいいます。基本的な意味は「一念岩をも通す」と同じです。

同じ意味のことわざに、「ありの思いも天に届く」や「思う念力、岩をも徹す」などがあります。

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