「様相」とは?意味や使い方をご紹介

「様相」(ようそう)と聞くと、難しそうな印象を受けますが、要は「ありさま」や「姿」のことです。とはいえ、哲学の言葉でもあり、そちらのほうの解釈は確かに難解かもしれません。今回は、「様相」の二つの意味や使い方を類語も含めてご紹介します。

目次

  1. 「様相」とは?
  2. 「様相」の使い方
  3. 「様相」(哲学用語)の使い方と文例
  4. 「様相」の類語

「様相」とは?

「様相」(ようそう)とは、大きく分けて次の二つの意味を持つ言葉です。

  1. 物事の様子、ありさま、状態、姿。
  2. 哲学における用語として、事物の存在のしかた。また、判断のしかたの種類(可能的、必然的、偶然的、など)のこと。

意味をより深く理解するために、「様」「相」の漢字の意味をそれぞれに検証してみましょう。

「様」は、音読みが(よう)、訓読みが(さま)。複数の意味がありますが、「様相」では「さま、かたち、ありさま」の意味で用いられています。

「相」は、音読みが(そう・しょう)、訓読みが(あい)。こちらも複数の意味をもつ漢字ですが、「様相」における「相」が表すのは、「表面にあらわれたかたち、姿、ありさま」という意味です。

「様」「相」ともに、かたちやありさまを指す漢字であり、この二つが重なっている「様相」は、一般的意味においては、事物の外形的な姿やありさま、外側から見たかたち、を表しています。

「様相」の使い方

「様相」の一般的な使い方と哲学用語としての使い方を、それぞれ項目別に挙げていきます。

「様相」(一般用語)の使い方

「様相」は文語表現として、公式文書や論文などで多く用いられる言葉です。日常会話で用いるには、少々堅苦しい印象を持ちます。そのような言葉にままあることですが、そのニュアンスをあえてユーモアとして用いられる場合もある言い回しです。

会話や文章の中で用いる場合、「様相」には、定型的な言い回しがいくつか存在します。代表的な例を挙げてみましょう。

  • 様相を呈する
  • 様相を見せる
  • 様相を帯びる
  • 様相を異にする

「様相」(一般用語)の文例

  • 難民キャンプの食糧事情は窮乏し、人々の栄養不良は深刻な様相を呈している。
  • 「くまモンチームとふなっしーチームの玉入れ競争、小競り合いの様相を見せてきたぜ!」
  • 火山の爆発で地元の温泉街には灰が積もり、ゴーストタウンの様相を帯びてきた。
  • 同じ街ながら、開発が進んだA地域と取り残されたB地域は、生活環境の様相を異にしている。

「様相」(哲学用語)の使い方と文例

哲学における「様相」の意味は、前述の通りですが、学派によって細かな定義・使われ方は異なります。ここでは、カント哲学における「様相」の意味の紹介を兼ねて、用語としての「様相」をとりいれた使い方の文例を挙げてみましょう。

【文例】カント哲学における「様相」は、判断における思惟機能を指す。現実的(実際にそのまま在ること)、可能的(やがてはそのようになり得る可能性を持つこと)、必然的(それ以外ではあり得ないこと)の三種類がその代表例である。

「様相」の類語

「有り様」の意味と使い方

有り様(ありさま)」とは、次の二つの意味をもつ言葉です。現代では、2の意味ではほとんど使われていません。

  1. 様子、物事の状態やありよう
  2. 人の身分、境遇、置かれている状態

【文例①】猛暑のなか旅行から帰宅すると、花壇の草花は水枯れでしおれ、悲惨な有り様だった。
【文例②】依存していた恋人から別れを告げられた優子は、重病人のような有り様で引きこもっている。
【文例③】数ならぬ有様なめれば、必ず人笑へに憂きこと出で来むものぞ。(源氏物語・宿木)

「動静」の意味と使い方

「動静(どうせい)」とは、大きく分けて次の二つの意味をもつ言葉です。

  1. 物事の有り様、様子、動きや推移
  2. 人の行動の有り様。

2の意味では、日々公表される「首相動静」がお馴染みですね。「様相」の類語としては1の意味が当てはまります。

【文例】A社とB社は、収益のよい部門を生かし合った提携を模索しており、双方の株主は両社の動静を固唾をのんで見守っている状況だ。


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