「きへんに弟」は「梯」と書いて「はしご」!読み方・由来・覚え方

「弟」といえば、家族の弟か「兄弟」の「弟」を思い浮かべるはず。そこに木へんが付くと、いったい何の字になるのか、パッと答えられる人は少ないでしょう。正解は「梯」、読みは「はしご」です。それもただの「はしご」ではなく、実はこの字の旁「弟」は意味ではなく音を担当する音符で、中国から伝わったれっきとした漢字。学校の遊具「雲梯(うんてい)」や「梯子酒(はしござけ)」という意外な言葉にも姿を現します。

きへんに弟とは?きへんに弟の意味

「きへんに弟」=「梯」=音読み「テイ・タイ」/訓読み「はしご」。木製の階段、はしごのこと。

きへんに弟の説明

「梯」は音読みで「テイ・タイ」、訓読みで「はしご」と読む漢字です。木へんに「弟」を組み合わせた形で、原義は「木でできた階段・はしご」。上下するための道具を指します。常用漢字には含まれない表外漢字ですが、人名用漢字として名前に使うことができます。熟語では「梯子(はしご)」のほか、「階梯(かいてい)」が「段階・足がかり」の意味で文章語として使われます。「雲梯(うんてい)」は学校の遊具としておなじみです。ほかに「梯子酒(はしござけ)」=数軒の飲み屋を渡り歩いて飲むこと、「梯子を外す」=支えを失わせて困らせる、といった慣用句もあります。表記のゆれはほとんどなく、ほぼ「梯子」の形で使われます。

「弟」が「テイ」という音を担当していると分かると、一字でするっと読めるようになる字ですね。

きへんに弟の由来・語源

「梯」は木へんに「弟」を組み合わせた形声文字です。字源を示す中国の字書『説文解字』には「梯、木階也。从木弟聲」とあり、木偏が「木材」を、旁の「弟」が音(テイ)を表すとされます。つまり「弟」に「はしご」の意味はなく、音を借りた音符です。ただし諸説あります。「弟」は本来「兄から弟へ順を追う」という順序を表す字で、段を順に踏んで上るはしごのイメージと重なるため、意味も少し加わっていると見る辞書もあります。また、はしごは木や竹を組んで作ることから木偏が選ばれた、というのが定番の説明です。いずれにしても「梯」は日本で作られた国字ではなく、中国から伝来した漢字で、日本では「はしご」という訓読みが定着しました。

旁の音の働きに注目すれば、木へんの字もまとめて覚えられますね。

きへんに弟の豆知識

中国語では「梯」は「tī」と読み、やはり「はしご」を意味しますが、その使われ方は日本語よりずっと広いです。「電梯(ディエンティ)」=エレベーター(電気のはしご)、「樓梯(ロウティ)」=階段、「梯田(ティティエン)」=棚田(階段状の田んぼ)といった具合に、「階段状のもの」全般を指します。一方、日本語の「梯子」は道具のはしごにほぼ限定され、そこから「梯子酒(はしござけ)」=数軒の酒場をはしごして飲むこと、「梯子乗り(はしごのり)」=はしごの上で行う曲芸、「梯子を外す」=支えを失わせて困らせる、といった独自の慣用句を生みました。同じ漢字なのに、文化ごとに意味の広がり方を変えた好例です。

きへんに弟のエピソード・逸話

「梯」は古代中国の兵法にも登場します。戦国時代の工匠・公輸般(こうしょはん、別名・魯班)が楚の王のために「雲梯(うんてい)」、つまり城壁を越えるための長大なはしごを造ったところ、これを聞いた思想家の墨子が十日十夜かけて楚に赴き、攻防のシミュレーションで雲梯を封じ込めて侵攻を断念させた、という故事が『墨子』に記されています。現在、小学校の校庭にある「雲梯」という遊具の名は、この攻城用のはしごに由来します。日本では江戸時代、火事の際に火消しが長いはしごで屋根に上って延焼を食い止めた風習があり、現代の消防でも「梯子車(はしごしゃ)」が高所の救助に欠かせません。どちらの話も「はしご=登るための道具」という原義が活きています。

きへんに弟の言葉の成り立ち

「梯」は形声文字で、木偏が「木材でできたもの」という意味領域を、旁の「弟」が音を担当します。「テイ」という読みはこの旁の音から来ています。「弟」を旁に持つ字はほかにも「剃(そる)」「涕(なみだ)」「悌(テイ)」などがあり、どれも「テイ」という音を持つ点に形声文字の規則性が表れています。ただし「第(ダイ)」のように読みがずれる字もあるので、音が必ず一致するわけではありません。漢字の約8割がこの「意味を担う偏+音を担う旁」の形声文字で、「梯」もその典型例です。なお、日本の木偏の字には「樫」「栃」「椛」のように日本で作られた国字もありますが、「梯」は中国から伝わった字で、日本では「はしご」という訓読みを新たに当てて使ってきました。

きへんに弟の例文

  • 1 漢字クイズ好きの同僚に「きへんに弟って何て読むか分かる?」と聞かれ、「梯だろ、はしごでしょ」と即答できて気分がよかった。
  • 2 転職した後輩から「前の職場で梯子を外された気分だった」と聞いて、慣用句の意味を改めて辞書で確かめた。
  • 3 公園で子どもが「雲梯、最後まで渡れるよ!」と自慢してきたので、「うんてい」が昔の攻城用のはしごに由来すると教えた。
  • 4 店の倉庫に積んである段ボールを取ろうとして、壁にかけてあった梯子を出して使った。
  • 5 スマホで「はしご」と打つと「梯子」が出てきて、「へえ、ちゃんと漢字があるんだ」と妙に感心した。

「梯」の字源と由来

「弟」に木へんが付いて「はしご」を指すと言われると、弟の意味とつながらなくて不思議に思うかもしれません。じつはこの組み合わせ、日本の国字ではなく中国で生まれた形声文字です。中国最古級の字書『説文解字』に「梯、木階也。从木弟聲」とあり、木偏が「材木」を、旁の「弟」が音を表すと明記されています。つまり「弟」は音の符であって、意味は木偏側が担っているのです。

  • 主流説: 形声文字。「弟」は音符で「テイ」の音を担当
  • 傍証: 『説文解字』「梯、木階也。从木弟聲」
  • 関連説: 「弟」の「順を追う」原義が、段を順に上るはしごのイメージと合うとする見方
  • 成立: 中国で作られた漢字で、日本で「はしご」の訓を当てた

木へんの紛らわしい漢字との比較

木へんの漢字は字形がどれも似ているので、旁の部分で見分けるのがコツです。「梯」も例外ではなく、ほかの木へんの字と混同しやすいので注意しましょう。

漢字きへんに読み方意味
はしご・テイ・タイ 木製の階段、はしご
もみじ・かば 紅葉する木、カバノキ(国字)
かえで・もみじ・フウ カエデ属の木
くすのき・ナン クスノキ、樟脳の原料
とい・ひ・トウ 水を通す樋、雨どい
さん・たるき 橋板、桟橋(さんばし)

「梯」の覚え方と使いどころ

「梯」は単体で覚えようとすると旁の「弟」が邪魔をしますが、「はしご=梯」の訓読みでセットにすれば意外と簡単です。「弟」が「テイ」と読めることから、木へんの「梯」も「テイ」と読む、と覚えるのがおすすめです。

  • 覚え方: 「弟(テイ)の木のはしご=梯」。旁が音「テイ」を担う
  • 使いどころ: 「梯子」は道具のはしご。「階梯」は文章語で「足がかり・段階」
  • 豆知識: 「雲梯(うんてい)」はもともと攻城用のはしごで、いまは学校の遊具
  • 豆知識: 中国語の「電梯」=エレベーター、「梯田」=棚田

よくある質問(FAQ)

「きへんに弟」の読み方は?

「きへんに弟」は「梯」と書いて、音読みで「テイ・タイ」、訓読みで「はしご」と読みます。日常で目にするのは訓読みの「はしご」がほとんどです。「梯子」と書いて「はしご」、熟語では「階梯(かいてい)」「雲梯(うんてい)」があります。人名用漢字なので、名前に「だい」などの読みで使われることもあります。

なぜ「弟」がつくの?「弟」に意味はある?

「梯」の旁の「弟」は、意味ではなく音を担当する音符です。『説文解字』に「从木弟聲」とあるように、木偏が「木材」を、旁の「弟」が「テイ」という音を表します。つまり「弟」に「はしご」の意味はありません。「弟」が「順を追う」ことを表す字で、段を順に上るイメージが合うという見方もありますが、基本は音を借りた形声文字です。

「梯」は常用漢字?スマホで変換できる?

「梯」は常用漢字ではありません。常用漢字表に載っていない表外漢字ですが、人名用漢字には含まれているため、子どもの名前に使うことができます。スマホやパソコンでは「はしご」と打つと「梯子」、「かいてい」と打つと「階梯」のように変換できます。新聞や小説では「階梯」という熟語で見かけることもあります。

「梯」と似た字との見分け方は?

旁が「弟」の仲間には「剃(そる・刂偏)」「涕(なみだ・氵偏)」「悌(テイ・忄偏)」があり、部首で見分けます。木偏が付く「梯」だけが「はしご」の意味です。また木偏同士では「桟(さん・さんばし)」や「椛(もみじ)」などが字形の似た例ですが、旁の部分に注目すれば区別できます。

「梯」はどんな場面で使う?

道具の「はしご」を「梯子」と書くのが基本です。「階梯(かいてい)」は文章語で「段階・足がかり」の意味で使われます。「雲梯(うんてい)」は公園や学校の遊具です。慣用句では「梯子を外す」(支えを失わせて困らせる)、「梯子酒」(何軒も飲み歩くこと)があります。中国語では「電梯」がエレベーターを指すので、中華料理店の看板などで見かけることもあります。