「きへんに南」の漢字は楠!くすのきの読み方と楠木正成の由来を解説

木へんの漢字を変換しようとして「木に南?なんて読むんだろう」と首をかしげたことはありませんか。じつは「きへんに南」で「楠」、読みは「くすのき」(音はナン)です。「くすのき」と打っても変換に出てこないことがあって、いざ検索するハメになった経験がある方も多いはず。神社の境内や街路樹でひときわ大きく育つクスノキの木で、楠木正成の名前で歴史の授業にも登場します。防虫剤の樟脳の原料になった木だと聞くと、ぐっと身近に感じられるでしょう。

きへんに南とは?きへんに南の意味

「きへんに南」=「楠」=「くすのき」(音読みはナン)。クスノキ科の常緑高木で、樟脳の原料。楠木正成の姓でも知られる。

きへんに南の説明

「楠」は木へんに南と書く漢字で、訓読みは「くすのき」、音読みは「ナン」。クスノキ科クスノキ属の常緑高木で、日本では神社の境内や街路樹として親しまれ、樹齢数百年を超える大木も珍しくありません。材は防虫効果が高く、樟脳(しょうのう)をとる原料として古くから利用されてきました。人名用漢字に指定されているため、名前に使うことができますが、常用漢字ではありません。表記は「楠」と「樟」の二つがあり、どちらも「くすのき」と読みます。「樟」は「樟脳」「樟樹」など植物や工業の文脈で使われることが多く、地名や人名では「楠」を見かける機会が多めです。楠木正成のように、姓や名前に使われるのも「楠」です。

一文字に大木の存在感と歴史の重みが詰まっている感じがして、頼もしい漢字ですね。

きへんに南の由来・語源

「楠」は木(きへん)と南(ナン)を組み合わせた形声文字で、木が意味、南が音(ナン)を表します。南が音を担当しているため、音読みは「ナン」です。では、この木がなぜ「楠」と呼ばれるようになったのか、その由来には諸説あります。ひとつは、暖かい南方に多い木だから「南の木」で「楠」になったという説。もうひとつは、南という字そのものがもともと「ナン」という音を持っていたから、という考え方です。いずれにしても中国で作られた漢字で、日本で作られた国字ではありません。日本には古くから自生していたため、固有の訓読み「くすのき」が定着しました。

「南」が方角ではなく音を担当していると知ると、字の見え方が少し変わりますね。

きへんに南の豆知識

中国語の「楠」は、日本語のクスノキとは別種の木を指します。中国で「楠(ナン)」といえば、香りのよい高級材として建築や仏像彫刻に使われるナン属の木の総称です。一方、日本のクスノキは中国語で「樟(チャン)」と呼ばれ、樟脳の「樟」と同じ字を使います。つまり日本では「楠」と「樟」が同じ木を指す二つの表記であるのに対し、中国では「楠」と「樟」ははっきり別の木を指す、というズレがあります。日本語でも「樟脳」と書くときの「樟」はクスノキのことですから、字の使い分けはなかなか複雑です。

きへんに南のエピソード・逸話

「楠」と聞いてまず思い浮かぶのは、歴史の教科書に登場するあの人物ではありませんか。楠木正成(くすのきまさしげ)の「楠」こそ、この字です。鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて後醍醐天皇に仕えた武将で、その忠義は明治になって「大楠公(だいなんこう)」と称えられ、現在も皇居外苑に騎馬像が建てられています。さらに楠は、明治から大正にかけて樟脳の輸出で日本の産業を支えた木でもあります。防虫剤やセルロイドの原料として海外に大量に輸出され、境内に楠の大木を御神木として祀る神社も各地にあります。

きへんに南の言葉の成り立ち

「楠」は形声文字で、木偏が意味を、旁の「南」が音を表します。つまり「南」の音読み「ナン」がそのまま「楠」の音読みになっているわけで、「意味を表す部首+音を表すつくり」という組み合わせは漢字の基本パターンのひとつです。同じ木偏の字でも「梅(バイ)」「楓(フウ)」「榎(カ)」など、つくりが音を担当する例は多く見られます。日本の木偏には「椛・榊・樫」など日本で独自に作られた国字も数多くありますが、楠は中国由来の漢字で、日本で「くすのき」という訓読みが付けられて定着しました。国字が増えたのは日本固有の樹木に漢字を当てる必要があったためで、楠のように中国から来た字に日本の木を重ねた例とは成り立ちが異なります。

きへんに南の例文

  • 1 子どもに「きへんに南って書く漢字、知ってる?」と聞かれて、楠木正成の話までしてしまった。
  • 2 家の近所の公園に楠の大木があって、夏は木陰が涼しくてお気に入りの場所になっている。
  • 3 スマホで「くすのき」と打っても「楠」が出てこず、「きへんに南」で検索してようやく変換できた。
  • 4 神社のご神木が楠だと聞いて、樹齢何百年だろうと幹を眺めながらしばらく見上げてしまった。
  • 5 仕事の雑談で樟脳の話になり、防虫剤の原料が楠の木だと知って意外に思った。

「楠」の字源と由来

「楠」の「南」は方角の南ではなく、読みのナンを表す音符です。では、その「南」という字はそもそもどこから来たのか。甲骨文字まで遡る古い字で、一説に古代の打楽器の形をかたどったともいわれますが、定説はありません。方角を表すようになった経緯もはっきりせず、諸説あります。確かなのは、この南の音が「楠」の音読みナンとして受け継がれていることです。

  • 木(きへん)=意味。木に関係することを示す
  • 南(ナン)=音。読みの「ナン」を担当する
  • 南方に多い木だから「南の木」で「楠」になったという俗説もある
  • 日本で作られた国字ではなく、中国由来の漢字
  • 訓読み「くすのき」は日本で定着した読み

似ている木へんの漢字との見分け方

木へんの漢字は、つくりの音が読みに直結するものが多いのが特徴です。楠も例外ではなく、南(ナン)がそのまま音読みになっています。同じ木へんでも字が違えば読みも木も違うので、表で確認しておきましょう。

漢字きへんに読み方意味
くすのき/音:ナン クスノキ。樟脳の原料。楠木正成の姓
くすのき/音:ショウ クスノキの別表記。樟脳・樟樹に使う
うめ/音:バイ バラ科の落葉高木。梅干し・花見でおなじみ
かえで/音:フウ カエデ属の木。紅葉の代表格
えのき/音:カ アサ科の落葉高木。姓「榎本」
むく/音:リョウ ムクノキ。椋鳥(むくどり)

「楠」の覚え方と豆知識

覚え方は「南の方に生える木」とイメージするのが手軽です。音読みのナンを意識すれば「南=ナン=楠」と結びつきやすく、楠木正成の「くすのき」という訓読みもセットで覚えられます。

  • 南が音のナンを担当する → 音読みは「ナン」
  • 楠木正成の「くすのき」で訓読みを記憶する
  • 神社の御神木として、境内に楠の大木を見ることが多い
  • 樟脳(しょうのう)=防虫剤の原料。楠/樟の材からとる
  • 「樟」も「くすのき」と読む。表記ゆれとして知っておこう

よくある質問(FAQ)

「きへんに南」と書く漢字の読み方は?

「楠」と書いて「くすのき」と読みます。音読みは「ナン」です。クスノキ科の常緑高木で、神社の境内や街路樹で見かけるほか、楠木正成の姓にも使われる漢字です。「樟」も同じく「くすのき」と読む別表記で、「くすのき」と打っても変換に出てこないこともあるので、検索するときは「きへんに南」と入れると早いです。

なぜ「南」がつくの?

「楠」は木と南を組み合わせた形声文字で、南は意味ではなく音(ナン)を表しています。つまり「南」の音読みナンがそのまま「楠」の音読みになっています。南方に多い木だから「南」が付いたという俗説もありますが、字形の理解としては「南=音符(ナン)」と覚えるのが確実です。

「楠」は常用漢字?名前に使える?

「楠」は常用漢字ではなく、人名用漢字に指定されています。そのため子どもの名前に使うことができ、「くすのき」という読みのほか、音読みのナンを活かして「なん」「だん」と読ませる名前もあります。姓としては楠木、楠田、楠本などが知られています。

「楠」と「樟」はどう使い分ける?

どちらも「くすのき」と読む、同じ木を指す表記です。「樟」は樟脳・樟樹など、植物の名前や工業的な文脈で使われることが多く、「楠」は地名や人名、楠木正成の姓などで見かけます。厳密な使い分けの決まりはなく、慣用的な傾向として覚えておくとよいでしょう。

「楠」はどういう場面で使われる?

神社の御神木や街路樹としてのクスノキの話題、楠木正成のような歴史上の人物の名前、楠田・楠本などの人名や地名、樟脳の原料としての産業の話などで出てきます。名前や地名では「楠」、植物名では「樟」が使われる傾向があるので、読み書きのときは文脈で判断しましょう。