とんでもございませんとは?とんでもございませんの意味
相手の褒め言葉や謝罪などを「そんなことはありません」と謙遜しながら打ち消す丁寧な表現。感謝への返答として「お礼には及びません」の意味でも使われます。
とんでもございませんの説明
「とんでもございません」は、相手の言葉を強く否定するというより、褒め言葉に対して謙遜したり、謝罪を受けて「気にしなくてよい」と伝えたりする際に使う丁寧な応答です。文化審議会の「敬語の指針」では、「とんでもないことでございます」が本来の言い方だとしつつも、褒め言葉などを軽く打ち消す場面の「とんでもございません(とんでもありません)」は現在では問題のない表現とされています。そのため、接客やビジネス会話で使っても誤りとはいえません。ただし、響きがやや強く感じられることもあるため、状況に応じて「恐縮です」「お気になさらないでください」などに言い換えると意図がより明確になります。
一律に「誤用」と決めつける必要はありません。大切なのは、褒め言葉・感謝・謝罪のどれに返すのかを考え、相手の気持ちに合う言葉を選ぶことです。
とんでもございませんの由来・語源
もとになる「とんでもない」は、「思いがけない」「意外である」という意味や、「もってのほかだ」という否定的な意味を表す一語です。本来は「とんでもないことでございます」と、語全体を保ったまま丁寧にする形が整った言い方とされてきました。一方、実際の会話では「ない」を丁寧な「ありません」「ございません」に置き換えた「とんでもありません」「とんでもございません」が広く使われるようになりました。使用の定着を踏まえ、文化審議会の「敬語の指針」も、謙遜しながら軽く打ち消す用法では問題のない表現と位置づけています。
本来の語構造と、現代に定着した言い方が必ずしも一致しない好例です。改まった文章では本来形、自然な応答では定着形という選択もできます。
とんでもございませんの豆知識
「とんでもございません」は、どの用法の「とんでもない」にも機械的に使えるわけではありません。「お褒めいただきましたが、とんでもございません」のような応答は自然ですが、「彼の提案はとんでもございません」のように、非常識・途方もないという性質を説明する用法には通常向きません。その場合は「彼の提案はとんでもないものです」「到底受け入れられません」などと表します。定着しているのは、主に相手の褒め言葉などを打ち消す定型的な応答だと理解すると使い分けやすいでしょう。
とんでもございませんのエピソード・逸話
取引先から「迅速にご対応いただき、ありがとうございました」と言われた際、「とんでもございません。お役に立てて何よりです」と返す場面があります。前半で過大なお礼をやわらかく打ち消し、後半で前向きな気持ちを伝える形です。一方、相手がミスを深く謝っている場面では、「とんでもございません」だけだと何を否定したのか曖昧になる場合があります。「お気になさらないでください。こちらこそ確認が遅くなり失礼いたしました」のように具体的な一言を続けると、相手を安心させやすくなります。
とんでもございませんの言葉の成り立ち
文法的には、「とんでもない」は全体で一つの形容詞として扱われます。そのため、「ない」だけを独立した否定語と見て「ございません」に置き換える分析には異論があり、本来形として「とんでもないことでございます」が示されてきました。しかし、言葉の適否は語の構造だけでなく、社会での使用実態や伝達上の機能にも左右されます。「とんでもございません」は、謙遜や配慮を表す一まとまりの応答表現として定着しました。「敬語の指針」の扱いは、文法的な成り立ちと現代の慣用の両方を踏まえたものといえます。
とんでもございませんの例文
- 1 「このたびは迅速なご対応をありがとうございました」「とんでもございません。お役に立てて何よりです」
- 2 「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」「とんでもございません。どうぞお気になさらないでください」
- 3 「資料がとても分かりやすかったです」「とんでもございません。温かいお言葉をありがとうございます」
- 4 とんでもございません。こちらこそ貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
- 5 お礼だなんて、とんでもございません。今後も何かございましたら遠慮なくお申し付けください。
ビジネスで「とんでもございません」を使う場面
ビジネスでは、相手の褒め言葉・感謝・謝罪への返答として使われます。ただし、同じ一言でも果たす役割は異なります。何を打ち消しているのかが分かるよう、後ろに気持ちを補う言葉を添えると丁寧です。
| 場面 | 伝わる意味 | 自然な続け方 |
|---|---|---|
| 褒められたとき | それほどではありませんという謙遜 | 温かいお言葉をありがとうございます |
| 感謝されたとき | お礼には及びません | お役に立てて何よりです |
| 謝罪されたとき | 気にするほどのことではありません | どうぞお気になさらないでください |
| 相手が遠慮したとき | 遠慮なさる必要はありません | どうぞご遠慮なくお申し付けください |
場面別の言い換え表現
「とんでもございません」は便利ですが、返答の目的に合う言葉を選ぶと、より正確で温かい印象になります。特にメールでは表情や声の調子が伝わらないため、次のような具体的な表現が役立ちます。
- 褒め言葉への謙遜:「恐縮です」「身に余るお言葉をありがとうございます」
- 感謝への返答:「お役に立てて何よりです」「こちらこそ、ありがとうございます」
- 謝罪への返答:「どうぞお気になさらないでください」「ご心配には及びません」
- 依頼への返答:「もちろんでございます」「喜んで承ります」
- 改まった本来形:「とんでもないことでございます」
ビジネスメールで使える例文
メールでは「とんでもございません」だけで終えず、相手の言葉を受け止める一文を続けると自然です。短くても、今後の関係につながる前向きな言葉を添えるとよいでしょう。
- とんでもございません。少しでもお役に立てましたことを、うれしく存じます。
- とんでもございません。こちらこそ、ご丁寧にご連絡いただきありがとうございます。
- とんでもございませんので、どうぞお気になさらないでください。
- とんでもないことでございます。今後ともお力になれることがございましたら、遠慮なくお申し付けください。
- 恐縮です。身に余るお言葉をいただき、誠にありがとうございます。
謝罪への返答で、実際には対応や再発防止が必要な問題まで軽く済ませるのは適切ではありません。その場合は、気遣いを示しつつ「今後の対応について確認させてください」のように、必要な話を具体的に続けましょう。
よくある質問(FAQ)
「とんでもございません」は間違った敬語ですか?
一律に間違いとはいえません。「とんでもない」は一語なので「とんでもないことでございます」が本来の形ですが、文化審議会の「敬語の指針」は、褒め言葉などを謙遜しながら軽く打ち消す「とんでもございません(とんでもありません)」を、現在では問題のない表現としています。
「とんでもございません」は目上の人や取引先に使えますか?
使えます。接客や取引先との会話でも定着した丁寧な応答です。ただし、相手の言葉を強く否定したように響く可能性もあります。褒め言葉には「恐縮です」、謝罪には「お気になさらないでください」など、意図が明確な表現へ言い換える方法もあります。
「とんでもございません」と「とんでもないことでございます」はどちらが正しいですか?
語の構造に沿った本来の形は「とんでもないことでございます」です。一方、「とんでもございません」も特定の応答表現として広く定着し、現在は使用して問題ないとされています。厳格な文書や言葉遣いに慎重な相手には、本来形を選ぶとより無難です。
感謝されたときは「とんでもございません」だけでよいですか?
失礼ではありませんが、「お役に立てて何よりです」「こちらこそありがとうございます」などを続けると、好意を受け止めたことが伝わります。相手の感謝を全面的に否定する印象も避けられるため、ビジネスでは一言添えるのがおすすめです。
ビジネスメールでは何と言い換えられますか?
褒め言葉には「恐縮です」「身に余るお言葉をありがとうございます」、感謝には「お役に立てて何よりでございます」、謝罪には「どうぞお気になさらないでください」が使えます。何への返答かに合わせて選ぶことが重要です。