お電話いたしましたとは?お電話いたしましたの意味
自分が電話をかけたという行為を、相手に対してへりくだって伝えるビジネス敬語。「電話をした」を謙譲表現にしたもので、主に不在だった相手への折り返し依頼や、電話した旨の報告に用いられます。
お電話いたしましたの説明
「お電話いたしました」は、「電話をした」という自分の行為を、相手を立てながらていねいに述べる謙譲表現です。名詞「電話」に接頭辞「お」を付け、「する」の謙譲語「いたす」を過去形にした「いたしました」を続けた形で、ビジネスの場面で広く使われています。相手が不在で用件を伝えられなかったときに「先ほどお電話いたしました」と名乗る、あるいはメールや伝言で「本日お電話いたしましたがご不在でした」と経緯を伝える、といった使い方が中心です。基本的に主語は自分(電話をかけた側)で、相手がかけてくれた場合には用いません。相手の電話行為を立てるときは「お電話くださり」「お電話いただき」などの尊敬・受給表現を使い分けます。
「お電話いたしました」は、自分の行為をさりげなく低めて相手を立てる、ビジネス敬語の定番フレーズですね。誰の行為をていねいにしているのかを意識すると、使い分けに迷いにくくなります。
お電話いたしましたの由来・語源
「お電話いたしました」は、名詞「電話」に美化・謙譲の接頭辞「お」を添え、動詞「する」の謙譲語「いたす」を丁寧の助動詞「ます」の過去形とともに用いた構造です。「電話」という語自体は近代以降に普及した外来的な概念を表す漢語ですが、これに「お」を冠して敬語化する用法は、「お手紙」「お食事」などと同様、日本語が名詞を美化・敬語化してきた流れの中で自然に定着したものと考えられます。特定の古典に由来する故事があるわけではなく、電話が生活やビジネスに浸透するにつれて、他の行為表現にならって形づくられた比較的新しい敬語表現と位置づけられます。
一つのフレーズの中に、相手を立てる気持ちと聞き手へのていねいさが折り重なっているのが分かりますね。誰を立てているのかを意識すると、敬語の設計図が見えてきて面白いものです。
お電話いたしましたの豆知識
「お電話いたしました」は「二重敬語では?」としばしば話題になりますが、一般には過剰敬語には当たらないと説明されることが多い表現です。ここでの「お」は動作の主体である自分をへりくだらせつつ相手を立てる謙譲の接頭辞、「いたす」は「する」の謙譲語で、敬語の種類が重複しているわけではないためとされます。同じ理屈で「お願いいたします」「ご連絡いたしました」なども広く許容されています。一方で、相手の行為に「お〜いたす」を使うと誤りになるため、「(相手が)お電話いたしましたら」のような使い方は不適切とされます。主語が誰かを取り違えないことが、この形を正しく使うポイントです。
お電話いたしましたのエピソード・逸話
新人研修などで、留守番電話に「もしもし、お電話いたしました」とだけ吹き込んでしまい、名前も用件も残せずに折り返しに困らせてしまった、という失敗談はよく語られます。「お電話いたしました」はあくまで電話をした事実を伝える枕にすぎず、そのあとに「株式会社○○の△△と申します」「〜の件でご連絡いたしました」と続けて初めて意味を持ちます。また、相手がかけ直してくれたときに、うっかり「先ほどはお電話いたしまして…」と言ってしまい、本来は「お電話くださり」と相手を立てるべき場面だった、という取り違えも起こりがちだと言われます。
お電話いたしましたの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「お電話いたしました」は〈接頭辞「お」+名詞「電話」+謙譲動詞「いたす」+丁寧の助動詞「ます」の過去形〉という、複数の敬語要素を層状に重ねた典型的な構造です。日本語の敬語は、素材(話題の人物)を高める素材敬語と、聞き手を高める対者敬語(丁寧語)を組み合わせて運用されますが、この表現では「お」と「いたす」が自分の行為を低めて相手を立てる謙譲、「ます」が聞き手への丁寧さを担っており、役割分担が比較的はっきりしています。同じ意味を「電話しました」「電話をかけました」と平叙に言うこともでき、場面のフォーマル度に応じて敬語の層を増減させられる点は、日本語の敬語運用の柔軟さを示す一例と言えます。
お電話いたしましたの例文
- 1 先ほどお電話いたしました、株式会社○○の田中と申します。
- 2 本日十四時ごろお電話いたしましたが、ご不在のようでしたので改めてご連絡いたします。
- 3 納期の件でお電話いたしましたので、お手すきの際に折り返しいただけますと幸いです。
- 4 何度かお電話いたしましたがつながらず、取り急ぎメールにて失礼いたします。
- 5 昨日お電話いたしました件につきまして、その後いかがでしょうか。
「お電話いたしました」を使う主な場面と組み立て方
「お電話いたしました」は、電話がつながらなかったときや、電話した事実をあとから伝えたいときに活躍する表現です。単独で使うことはほとんどなく、名乗り・用件・依頼と組み合わせて一つのメッセージを作るのが基本です。特に留守番電話やメールでは、この一言を起点にして「誰が」「なぜ」「どうしてほしいか」を続けると、相手が折り返しやすくなります。
- 不在だった相手に名乗るとき:「先ほどお電話いたしました○○です」
- 電話した経緯をメールで伝えるとき:「本日お電話いたしましたが、ご不在でしたので…」
- 折り返しを依頼するとき:「〜の件でお電話いたしました。折り返しいただけますと幸いです」
- つながらなかった旨を報告するとき:「何度かお電話いたしましたがつながらず…」
- 過去の連絡を受けて話を続けるとき:「昨日お電話いたしました件ですが…」
電話にまつわる敬語の使い分け
「お電話いたしました」を正しく使うには、電話という行為の「主語が誰か」を意識することが欠かせません。自分がかけた場合は謙譲表現、相手がかけてくれた場合は相手を立てる表現、と役割が変わります。代表的な言い回しを整理しておくと、とっさの場面でも取り違えにくくなります。
| 行為の主体 | 使う表現 | 使う場面の例 |
|---|---|---|
| 自分がかけた | お電話いたしました | 不在時の名乗り、電話した旨の報告 |
| 自分がかけた(より丁寧) | お電話を差し上げました | 目上・改まった相手への連絡 |
| 相手がかけてくれた | お電話くださり/お電話いただき | 着信への感謝、折り返しへのお礼 |
| これからかける | お電話いたします/お電話差し上げます | 後ほど連絡する旨の予告 |
| 相手にかけてほしい | お電話いただけますでしょうか | 連絡を依頼するとき |
このように、同じ「電話」という行為でも、誰の動作かによって敬語の形が変わります。「くださる」「いただく」は相手の行為を立てる表現、「いたす」「差し上げる」は自分の行為をへりくだる表現、と対にして覚えておくと整理しやすいでしょう。
気をつけたい誤用と、より伝わる言い方
「お電話いたしました」は便利な一方で、主語の取り違えや情報不足による誤解も起きやすい表現です。相手を立てるべき場面で謙譲表現を使ってしまうと、かえって失礼に響くこともあります。次のような点に気をつけると、より正確に意図が伝わります。
- 相手がかけてくれた場面で「お電話いたしました」と言わない(「お電話くださり」に)
- 名前・所属・用件を添えずに「お電話いたしました」だけで終えない
- 「お電話をおかけいたしました」は回りくどくなりやすいので「お電話いたしました」で十分とされる
- 社内の近い相手には「お電話しました」でも失礼にならない場面が多い
- 急ぎの用件は、電話がつながらなければメールなど別手段も併用する
敬語は相手への配慮を形にするための道具です。「お電話いたしました」を使うときも、形式を整えることそのものより、相手が用件を把握して次の行動に移りやすいかどうかを優先すると、結果的にていねいで伝わりやすいコミュニケーションになると言えるでしょう。
よくある質問(FAQ)
「お電話いたしました」は二重敬語ですか?
一般には二重敬語(過剰敬語)には当たらないと説明されることが多い表現です。「お」は自分の行為をへりくだらせて相手を立てる謙譲の接頭辞、「いたす」は「する」の謙譲語で、同じ種類の敬語を重ねているわけではないためとされます。「お願いいたします」なども同じ構造で、ビジネスの場では広く使われています。
相手が電話をかけてくれたときにも「お電話いたしました」と言えますか?
使えません。「お電話いたしました」は電話をかけたのが自分の場合に用いる謙譲表現です。相手がかけてくれた場合は、相手の行為を立てる「お電話くださり」「お電話いただき」などを使い、「先ほどはお電話くださり、ありがとうございました」のように表現するのが適切です。
「お電話しました」との違いはありますか?
どちらも自分の電話行為をていねいに述べる表現ですが、「いたしました」は「しました」よりもへりくだりの度合いが強く、よりフォーマルな印象を与えるとされています。社外の取引先や目上の相手には「お電話いたしました」、社内の距離が近い相手には「お電話しました」と、場面に応じて使い分けると自然です。
留守番電話やメールで使うときの注意点はありますか?
「お電話いたしました」だけでは用件が伝わらないため、必ず名前・所属・用件を続けることが大切です。留守番電話なら「お電話いたしました、○○社の△△です。〜の件でご連絡しました」、メールなら「本日お電話いたしましたが、ご不在でしたので…」のように、経緯と依頼をセットで伝えると相手が対応しやすくなります。
もっと丁寧に言いたいときの言い換えはありますか?
より改まった場面では「お電話を差し上げました」という言い方が使われることがあります。「差し上げる」は「与える・する」の謙譲語で、相手への配慮をより強く示す表現とされます。ただし堅くなりすぎる場合もあるため、相手との関係や文書の性格に応じて「お電話いたしました」と使い分けるとよいでしょう。