「したためる」とは?意味や使い方を解説

「手紙をしたためる」——この一文から、どこか格式高い雰囲気が漂ってきませんか。現代の日常会話ではあまり登場しないものの、小説や手紙文で見かけると、思わず読み手の気分が引き締まる言葉です。本記事では「したためる」の意味や使い方を、実例を交えながら解説します。

したためるとは?したためるの意味

「したためる」は、主に「書く」「飲み食いする」「仕留める」の三つの意味を持つ文語動詞。現代では「手紙や文章を書く」という意味で最もよく使われる。改まった場面や文学作品などで用いられる、やや硬めの表現。

したためるの説明

「したためる」は漢字で「認める」と書き、古くから使われてきた日本語の動詞です。現代では主に「手紙をしたためる」という形で、丁寧に文章を書き記す意味で用いられます。もともとは中世から近世にかけての文献で、「書く」以外に「飲み食いする」「とどめを刺して殺す」といった意味でも使われていました。「酒をしたためる」のように上品に飲み食いする表現や、「賊をしたためる」のように古風な殺害表現としても見られます。ただし、現代では「飲む・食べる」の意味で使うと古風・文学的であり、「殺す」の意味はほとんど死語に近いと言えるでしょう。作文やビジネス文書でも使える格調高い表現ですが、あまりに日常的なシーンで用いると浮いてしまうため、TPOを見極めて使いたい言葉です。

ビジネスメールでも「取り急ぎ、用件のみしたためました」のように使われるケースがありますが、くだけた場面では「書く」で十分です。格式張りすぎず、適度に使うのが上品な印象を与えるコツです。

したためるの由来・語源

「したためる」の語源は、古語の「したたむ」に遡るとされる。「したたむ」は「整える」「きちんとする」といった意味を持ち、そこから「書類や文書を整えて仕上げる」→「書く」へと派生したと考えられている。また、食事を「整える」→「飲食する」、敵を「きちんと始末する」→「殺す」という意味の広がりも、同じ語源から生まれたとされる。中世の軍記物語や説話集では「敵をしたためる」の用例も見られ、意味の幅が広かったことがうかがえる。

国語辞書によっては「認める」の項に「したためる」の読みを掲載しているものも多い。学習者にとってはややマイナーな読みだが、一度覚えると文章表現の幅が広がる言葉である。

したためるの豆知識

現代の小説やエッセイでも「したためる」は時折登場するが、その多くは「手紙をしたためる」の形である。特に時代小説や歴史小説では頻度が高く、作中の人物が筆をとる場面で欠かせない表現となっている。また、グルメ記事や飲食店の紹介文で「酒をしたためる」と書かれるケースもあり、少々格式高い印象を与えたいときに選ばれる傾向がある。

したためるのエピソード・逸話

文豪・夏目漱石の『吾輩は猫である』には「紙をひろげて、何かしたためる様子」という一節があるとされる。明治〜昭和の文学作品では、文語的な表現としてごく自然に「したためる」が使われていた。現代では話し言葉で使われることはほとんどなく、書き言葉としてもやや特別な場面に限られるが、だからこそ文章に文学的なアクセントを加えたいときに重宝する言葉である。

したためるの言葉の成り立ち

「認める」の漢字表記には「認」の字が使われるが、これは「書き記す」「認可する」といった意味を持つ。同じ「したためる」でも平仮名表記の「したためる」と漢字表記の「認める」では、漢字表記の方がやや硬く正式な印象を与える。現代の新聞や公的文書では平仮名表記が主流である。なお、「認める(みとめる)」とは別語であり、読みと意味が異なるので注意が必要。

したためるの例文

  • 1 彼女は真夜中に机に向かい、長い手紙をしたためた。
  • 2 旅先の宿で、一句したためてから眠りについた。
  • 3 部長直々に、取引先へのお礼状をしたためていただいた。
  • 4 その老作家は、毎朝必ず三十分かけて日記をしたためる習慣があるという。
  • 5 彼は酒をしたためながら、故郷の思い出を静かに語った。

「したためる」の正しい使い分け

「したためる」は意味が複数あるため、文脈によって正しく解釈する必要があります。以下の表に、代表的な意味と使用シーンをまとめました。

意味使用例使用頻度(現代)ニュアンス
書く 手紙をしたためる 高い 丁寧に書き記す
飲む・食べる 酒をしたためる 低い(文学的に) 上品に飲食する
仕留める・殺す 賊をしたためる ほとんどなし(古文) 古風で武勇の響き

現代で実用性が高いのは「書く」の用法です。手紙やはがき、礼状など、改まった文章をしたためる際に用いると、品のある表現になります。

「したためる」が使われる代表的なシーン

  • 年賀状や暑中見舞いなど、季節の挨拶状
  • お礼状やお詫び状などのビジネス文書
  • 小説やエッセイなど、文学作品内の描写
  • 短歌や俳句を詠む際の「一句したためる」という表現
  • 新聞や雑誌のコラム・投稿欄

これらのシーンでは、単に「書く」と言うよりも、書き手の心情や格式を感じさせる効果があります。SNSなどカジュアルな媒体ではまず使われないため、使う場面を間違えないようにしたいものです。

類義語とのニュアンス比較

表現硬さ使用シーン備考
認める(したためる) 手紙・公式文書 文学的な響き
書く 日常全般 最も汎用性が高い
綴る(つづる) やや硬 日記・エッセイ 心情を込めて書く
記す(しるす) やや硬 記録・メモ 書き留める意味合い
一筆啓上する 非常に硬 手紙の書き出し 時代劇調、特殊な場面

これらの表現を適切に使い分けることで、文章にリズムと深みが生まれます。「したためる」は最もフォーマルかつ文学的な選択肢と言えるでしょう。

よくある質問(FAQ)

「したためる」はビジネスメールで使ってもよいですか?

使用可能ですが、格式張った印象を与えるため、状況を選ぶ必要があります。社内のカジュアルな連絡には不向きです。取引先への改まった文書や、公式な手紙などで使うと品位のある印象を与えられるでしょう。

「したためる」の漢字は「認める」で合っていますか?

はい、「認める」と書きます。ただし「みとめる」とも読む同形異音語です。「したためる」と読むのは限定的で、主に「文章を書く」意味で使われます。一般の新聞や書籍では、誤読を避けるために平仮名表記「したためる」が使われることも多いです。

「したためる」と「書き記す」の違いは何ですか?

「したためる」は、単に書くだけでなく「心を込めて丁寧に書く」ニュアンスが含まれます。「書き記す」は事実を残すことに重点があるのに対し、「したためる」は書くという行為そのものに格式や情緒を伴う点が違いです。

「したためる」は「飲む・食べる」の意味でも使えますか?

文学的な表現としては使われることがあります。「酒をしたためる」のように、上品に飲み食いする意味で用いられます。ただし日常会話では古風に響くため、小説や詩歌などの創作表現に限られるのが一般的です。

「手紙をしたためる」の類義語にはどのようなものがありますか?

「手紙を書く」「手紙を認める(したためる)」「一筆啓上する」「文を綴る」などがあります。「一筆啓上する」は特に手紙の書き出しに用いる古風な表現で、より時代劇的な響きがあります。状況に応じて使い分けると文章表現が豊かになります。