「かかる」とは?連体詞・動詞の意味と漢字の使い分けを徹底解説

「かかる事態」「時間がかかる」「橋がかかる」「病気にかかる」――同じ「かかる」でも、文脈ごとに意味も漢字もまったく違います。文語的な連体詞の用法と、多義語である動詞の用法、さらに「掛・架・係・懸」という同訓異字の書き分けを知っておくと、文章の解像度が一段上がります。

かかるとは?かかるの意味

(1) 連体詞として「このような・こうした」を表す改まった語。 (2) 動詞として、物がぶら下がる・上に渡される・時間や費用が必要となる・病気や災難に襲われる・関わる、など多様な意味を持つ多義語。

かかるの説明

「かかる」には大きく二つの顔があります。一つは文語に由来する連体詞「斯かる」で、現代でもやや改まった文章や演説で「かかる事態」「かかる状況」のように使われ、「このような」「こうした」とほぼ同義です。もう一つは動詞「かかる」で、「壁に絵がかかる」「橋がかかる」「時間がかかる」「医者にかかる」「病気にかかる」「会社の経営にかかる問題」など、対象と関係性によって意味が大きく変化します。書き言葉では文脈に応じて「掛かる」「架かる」「係る」「懸かる」などの漢字を選び分けることで、読み手に意味が伝わりやすくなります。

「かかる」は短い語ながら、日本語の同訓異字と多義性が凝縮された語です。漢字の選び方は文章の品位にも直結しますね。

かかるの由来・語源

動詞「かかる」は古語「懸かる(かかる)」に遡り、「物が宙に保持される・上から下がる」を中心的なイメージとする語でした。そこから「上に渡される(橋)」「身に降りかかる(災い・病気)」「事に関与する(係る)」「労力や費用を要する(掛かる)」といった派生義が広がっていきました。連体詞「斯かる」のほうは、近称指示の「斯く(かく)」に動詞「あり」の連体形「ある」が結びついた「斯くある」が縮約してできた語と説明されることが多く、漢文訓読体や和文の改まった文体で用いられてきました。

中心イメージが見えてくると、多義語の「かかる」もばらばらの暗記ではなく、一つの広がりとして整理しやすくなります。

かかるの豆知識

「かかる」の漢字表記は新聞表記の慣例でもよく取り上げられます。たとえば「橋が架かる」のように構造物が渡される場合は「架」、絵やコートなどが吊るされる場合は「掛」、抽象的な関与・関係を示す場合は「係」、命運や賞金など重みのある事柄が左右される場合は「懸」と書き分けるのが一般的とされます。ただし、新聞・出版社・公用文によって採用される表記基準は微妙に異なるため、迷ったときは社内の表記ルールや辞書の凡例を確認すると安心です。

かかるのエピソード・逸話

実務の現場では、契約書や報告書で「本件にかかる費用」「契約にかかる事項」などの表現が頻出します。ここでの「かかる」は連体詞ではなく動詞「係る」の連体形で、「〜に関する」という意味です。一方、政治家のスピーチや論説文で見かける「かかる事態を放置してはならない」の「かかる」は連体詞で、漢字を当てるなら「斯かる」となります。同じ「かかる」でも文中の機能が異なるため、読み手にとってはイントネーションや文脈が手がかりになると言われます。

かかるの言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「かかる」は典型的な多義動詞であり、空間的な「物が上から下がる」というイメージから、時間的・抽象的領域へとメタファー的に拡張した語と説明できます。「橋が架かる」は空間、「時間がかかる」は時間、「迷惑がかかる」は対人関係、「病気にかかる」は身体への影響、「成否がかかる」は評価や運命、というように、領域は違っても「対象が何かと結びつく・影響下に置かれる」という核となるイメージが共通しています。連体詞「斯かる」のほうは指示語起源の形容的修飾語で、用法は近代以降やや文語的に限定されていきました。

かかるの例文

  • 1 かかる重大な局面において、私たちは冷静さを失ってはなりません。
  • 2 新しい橋が川にかかったことで、両岸の往来がぐっと便利になりました。
  • 3 資料の作成に思った以上の時間がかかってしまい、提出が翌日になりました。
  • 4 先週から風邪にかかってしまい、声がまだ本調子に戻りません。
  • 5 本件にかかる費用については、別紙のとおりお見積もりを提示いたします。

連体詞「かかる」と動詞「かかる」の見分け方

「かかる」が連体詞か動詞かを見分ける最大のポイントは、直後にくる語と文中での機能です。連体詞の「かかる」は必ず名詞を直接修飾し、「このような」と置き換えても文意が通ります。一方、動詞の「かかる」は主語や対象を伴い、時制や活用形が変化します。

  • 直後の名詞を『このような』で言い換えられる → 連体詞
  • 『〜が/〜に かかる』のように助詞を伴う → 動詞
  • 『かかった』『かかります』など活用する → 動詞
  • 改まった文章で文頭に立つことが多い → 連体詞の可能性が高い

「かかる」の漢字書き分け早見表

動詞「かかる」は意味によって複数の漢字が当てられます。新聞・出版社などの表記ルールによって細かな差はありますが、おおまかな目安を整理すると次のとおりです。判断に迷う場合は、無理に漢字化せずひらがなで書く選択も妥当です。

漢字主な意味用例
掛かる物が引っかかる/時間・費用を要する壁に絵が掛かる/費用が掛かる
架かる橋・電線など構造物が渡される川に橋が架かる/送電線が架かる
係る関わる・関係する(抽象的)本件に係る費用/信用に係る問題
懸かる命運・賞金など重要なものが左右される勝敗が懸かった一戦/賞金が懸かる
罹る病気・災いに見舞われるインフルエンザに罹る

場面別「かかる」の使いこなしポイント

「かかる」はカジュアルな会話からビジネス文書、政治・法律の文章まで幅広く登場する語です。場面ごとに自然なふるまいを押さえておくと、表現の説得力が上がります。ここでは代表的な四つの場面を取り上げます。

  1. 日常会話:『時間がかかる』『手間がかかる』など、ひらがなで自然に使うのが基本。
  2. ビジネス文書:『本件に係る』『契約に係る事項』など、定型表現を覚えておくと便利。
  3. 報道・論説:『かかる事態』『かかる状況』のように、連体詞でやや硬い印象を与える。
  4. 医療・健康分野:『病気にかかる』『感染症にかかる』など、罹患の意味で広く用いられる。

よくある質問(FAQ)

「かかる事態」の「かかる」はどんな意味ですか?

ここでの「かかる」は文語的な連体詞で、「このような」「こうした」とほぼ同じ意味です。改まった文章や演説でよく使われ、漢字で書く場合は「斯かる」と表記しますが、現代ではひらがな書きのほうが一般的です。

「掛かる」「架かる」「係る」「懸かる」はどう使い分けますか?

目安として、「掛かる」は物が引っかかる・時間や費用を要する一般的な意味、「架かる」は橋や電線など構造物が渡される場合、「係る」は『関係する・関わる』という抽象的な意味、「懸かる」は命運・賞金など重みのある事柄が左右される場合に使われます。判断に迷ったらひらがなで書くのも一つの方法です。

「医者にかかる」と「病気にかかる」では意味が違いますか?

両方とも動詞の「かかる」ですが、対象が異なります。「医者にかかる」は『診察を受ける・治療を依頼する』という意味で、漢字で書くなら「掛かる」が当てられることがあります。「病気にかかる」は『病気になる・罹患する』という意味で、改まった文章では「罹る(かかる)」と書く場合もあります。

ビジネス文書で「本件にかかる費用」と書くのは正しいですか?

正しい表現として広く使われています。この「かかる」は『〜に関する』という意味の動詞「係る」の連体形で、契約書・申請書・報告書などで定型的に用いられます。意味をやわらげたい場合は「本件に関する費用」と言い換えても問題ありません。

「かかる」を漢字にすべきか、ひらがなにすべきか迷います。

厳密な決まりがあるわけではないので、文脈と読み手を基準に判断します。新聞表記や公用文では同訓異字を整理するためにひらがな書きが推奨される場面もあり、社内文書では表記ルールに従うのが無難です。意味を強調したい場合は「架かる」「係る」など漢字を選び、迷ったときはひらがなで統一すると読みやすくなります。