「執り行う」とは?意味や読み方、使い方から類義語との違いまで徹底解説

葬儀の案内状や結婚式の招待状で「下記のとおり執り行います」という一文を目にしたことはありませんか。何となく意味は分かっても、読み方や正しい使い方となると迷う方も多いはずです。実はこの言葉、ただ「行う」と言うよりも格段に改まった響きを持ち、儀式や行事を厳かに進めるニュアンスが含まれています。

執り行うとは?執り行うの意味

「執り行う(とりおこなう)」とは、儀式・行事・式典などをきちんとした手順で、改まった様子で行うことを意味する動詞です。単に「する」「行う」よりも格式が高く、神事・葬儀・結婚式・公式行事といった改まった場面で使われます。

執り行うの説明

「執り行う」は「執る」と「行う」が組み合わさった複合動詞で、読み方は「とりおこなう」です。「執る」には「手に取って扱う」「責任を持って事を進める」という意味があり、そこに「行う」が加わることで、単なる実行ではなく「きちんとした段取りで、責任を持って厳かに進める」という改まった意味合いが生まれます。そのため日常的な家事や雑務には用いず、葬儀・告別式・結婚式・神事・式典・記念行事・株主総会など、社会的な儀礼性を伴う場面で使われるのが特徴です。書き言葉として案内状や式辞、ニュース原稿などで頻出する、いわゆる「フォーマル語彙」のひとつといえます。

案内状や弔辞でよく見るけれど、いざ自分で使うときは少し緊張する言葉ですよね。意味と場面さえ押さえておけば、改まった文章がぐっと書きやすくなります。

執り行うの由来・語源

「執り行う」は古くからある和語で、「執る」と「行う」を結びつけた複合動詞です。「執る」は「手に取る」「処理する」「指揮を執る」のように、対象を主体的に扱う動作を表す動詞で、奈良時代から使われていたと言われています。一方の「行う」も同じく古い和語で、「事をなす」「実施する」という広い意味を持ちます。両者が結びついた「執り行う」は、特に儀礼や政務を厳かに進める場面で用いられるようになり、宮中の儀式や寺社の神事を記す文献にも見られる、由緒のある表現として受け継がれてきました。

コアにあるのは「責任をもって厳かに進める」という感覚。漢字の意味とつながって理解できると、ぐっと記憶に残りやすくなりますね。

執り行うの豆知識

「執り行う」と書く際、「執」の字を「取」と書き間違える例が少なくありません。実際、口語で「とりおこなう」と聞くと「取り行う」と想像してしまいがちですが、辞書的に正式な表記は「執り行う」です。「執」は「執筆」「執務」「執念」など、何かをしっかりと手にして離さないイメージの漢字で、「儀式を粛々と進める」という意味合いとよくなじみます。なお、新聞表記などでは「とり行う」と仮名で書かれるケースもあり、媒体によって表記揺れが見られる言葉でもあります。

執り行うのエピソード・逸話

実生活で「執り行う」と最も多く出合うのは、おそらく葬儀の案内ではないでしょうか。「故○○の葬儀告別式を左記のとおり執り行います」「葬儀は近親者のみにて執り行いました」といった文面は、訃報メールや喪中はがきでもよく見られます。また結婚式の招待状でも、「結婚式を執り行うこととなりました」「下記のとおり挙式を執り行います」といった形で使われます。ニュース原稿では、国葬・園遊会・記念式典・株主総会など公式行事の報道で頻繁に登場し、改まった場面を視聴者に印象づける言葉として機能しているといえるでしょう。

執り行うの言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「執り行う」は補助動詞ではなく、二つの動詞が結びついた本来の複合動詞に分類されます。前項「執り」は対象に主体的に関与するニュアンスを与え、後項「行う」はその動作の実施そのものを表します。両者が組み合わさることで、「単に行う」よりも一段高い丁寧さ・厳粛さが生まれ、文体的に「改まり度」が上がるという働きをします。日本語には「取り計らう」「執り成す」「執り仕切る」など「執る/取る」を前項とする複合動詞が多く、いずれも「主体的に対象を扱う」というコアイメージを共有しています。

執り行うの例文

  • 1 祖父の葬儀は、家族葬として親族のみで執り行うことになりました。
  • 2 来月、ホテル○○の宴会場で結婚式を執り行う運びとなりましたので、ご案内申し上げます。
  • 3 創立五十周年の記念式典は、本社大ホールにて厳粛に執り行われました。
  • 4 定時株主総会を、来る六月二十五日午前十時より本社会議室にて執り行います。
  • 5 地元の神社では、毎年秋になると五穀豊穣を祈る例大祭が執り行われている。

葬儀・結婚式・式典での定型表現

「執り行う」は、ふだんの会話よりも案内状・式辞・報道といった書き言葉で真価を発揮する語です。特に冠婚葬祭の文面では、ほぼ決まった言い回しとして繰り返し使われるため、いくつかのパターンを覚えておくと文章作成がぐっと楽になります。

  • 葬儀の案内:「葬儀告別式を左記のとおり執り行います」
  • 家族葬の報告:「故人の遺志により近親者のみにて執り行いました」
  • 結婚式の招待:「結婚式ならびに披露宴を下記のとおり執り行います」
  • 記念式典:「創立◯周年記念式典を厳粛に執り行いました」
  • 株主総会の通知:「第◯回定時株主総会を執り行いますのでご出席ください」

いずれも共通するのは、「公式かつ厳粛な行事である」という前提です。逆に言えば、社内の懇親会やランチミーティングなど、カジュアルな場面で「執り行います」と書くと違和感が強く、読み手に堅苦しい印象を与えてしまいます。

類義語「行う」「催す」「営む」との違い

「執り行う」と似た意味を持つ動詞には「行う」「催す」「営む」などがあります。意味は重なる部分も多いですが、それぞれが得意とする場面やニュアンスが異なります。違いを表で整理しておきましょう。

言葉中心的な意味得意な場面執り行うとの違い
行う 事を実施する 日常から公式まで幅広く使える 中立的でフォーマル度は控えめ
催す イベントを企画・開催する パーティー・展示会・コンサートなど 華やかさや企画性に焦点が当たる
営む 継続して行う・経営する 葬儀・法要・商売・事業など 主催側の運営や継続性を含意する
執り行う 儀式・行事を厳かに進める 葬儀・結婚式・式典・神事など 格式と段取りの厳粛さを強調する

ざっくり言えば、「執り行う」は儀礼性の高い場面に限定して使う改まった語で、「行う」は何にでも使える中立語、「催す」はイベントの華やかさを伝える語、「営む」は主催側の継続的な営みを含む語、と覚えておくと迷いにくくなります。

使い方の注意点とよくある誤用

「執り行う」は便利な改まり語ですが、使い慣れていないと表記や場面でつまずきやすい言葉でもあります。特に弔事や式典の案内では誤用が悪目立ちしやすいので、以下のような点には注意しましょう。

  1. 「執」を「取」と書き間違えない(公式文書では「執り行う」が標準)
  2. 日常的な業務・雑務には用いず、儀礼性の高い場面に限定する
  3. 「執り行わさせていただきます」のような二重使役・過剰敬語にしない
  4. 弔事では華やかな印象を避け、「厳粛に執り行いました」など落ち着いた表現にする
  5. 自分の冠婚葬祭は「執り行います」、相手のものは「執り行われます」で使い分ける

迷ったときは、「これは儀式や式典と呼べる場面か?」「弔いや祝いに値する厳かさが必要か?」と自問してみるのがおすすめです。そこに当てはまるなら「執り行う」、そうでなければ「行う」「開催する」「実施する」に置き換えるのが、自然な使いこなしの近道です。

よくある質問(FAQ)

「執り行う」の読み方は何ですか?

「執り行う」は「とりおこなう」と読みます。「執」を「しゅう」と音読みしないように注意してください。送り仮名は「執り行う」とするのが一般的で、新聞などでは「とり行う」と仮名書きにされる場合もあります。

「執り行う」と「行う」はどう使い分ければよいですか?

「行う」は日常の業務から公式行事まで幅広く使える中立的な表現ですが、「執り行う」は儀式・式典・葬儀・神事など、改まった場面でのみ用いる格式の高い言葉です。普段の会議や雑務には「執り行う」は不自然なので、フォーマルな儀礼の場かどうかで使い分けるのがポイントです。

「葬儀を執り行う」と「葬儀を営む」はどちらが正しいですか?

どちらも正しい表現で、ほぼ同じ意味で使われます。やや乱暴に整理すると、「執り行う」は儀式の進行・段取りに、「営む」は遺族や寺院など主催側の継続的な運営に焦点が当たるとされます。案内状やニュース原稿では「執り行う」、遺族の心情を語る文脈では「営む」が比較的なじみやすいでしょう。

ビジネスメールで「執り行う」を使っても大丈夫ですか?

株主総会・記念式典・周年行事・取引先との合同セレモニーなど、儀礼性の高い行事の案内であれば自然に使えます。一方、通常の社内会議・打ち合わせ・研修などには大げさすぎるため、「開催いたします」「実施いたします」の方が適切です。場面の格に合わせて選ぶことが重要です。

「執り行う」の敬語表現にはどんな形がありますか?

尊敬語としては「執り行われる」「執り行われます」、謙譲語的に主催側がへりくだる場合は「執り行わせていただきます」「執り行います」がよく使われます。案内文では「下記のとおり執り行います」「左記の日程にて執り行わせていただきます」といった定型表現が定着しています。