「図々しい」の意味と使い方|類語や英語表現も徹底解説

「図々しい人だな」と思ったことはありませんか?周囲の目を気にせず自分勝手に振る舞う人に対して使われるこの言葉、実はさまざまなニュアンスを含んでいます。今回は「図々しい」の本当の意味や使い方、似た表現との違いまで詳しく解説します。

図々しいとは?図々しいの意味

状況をわきまえず遠慮なく振る舞う様子、周囲に迷惑をかけても気にしない態度を表す形容詞

図々しいの説明

「図々しい」は、他人への配慮がなく自己中心的に行動する人を表現する際に使われる言葉です。例えば、約束を平気で破る、人のものを無断で使う、目上の人にタメ口で話すといった行為が該当します。ただし、親しい間柄では軽いからかいとして使われることもあり、必ずしも悪意だけを含むわけではありません。ビジネスシーンでは「図々しいお願いで申し訳ありませんが」のように、クッション言葉として謙遜の意を表す使い方も見られます。この言葉が指す行動の背景には、社会常識の欠如や自己愛の強さなど、さまざまな心理的要因が考えられます。

時には図々しいと思われるくらいの度胸が必要な場面もありますよね。バランスが大切かもしれません。

図々しいの由来・語源

「図々しい」の語源は、古語の「図(ず)」に由来します。「図」は「企て・計画・策略」といった意味を持ち、これが重なって「図図しい」となりました。元々は「計算高い」「策略家のような」というニュアンスで使われていましたが、時代とともに「厚かましい」「ずぶとい」という現代の意味に変化しました。江戸時代頃から現在の意味で使われるようになったとされ、人の性格や行動を表す形容詞として定着していきました。

時には図々しさも必要なスキルかもしれませんね。ほどよいバランスが人生を豊かにするかも!

図々しいの豆知識

面白いことに「図々しい」は、関西地方では「ずうずうしい」よりも「ずうず」と略して使われることがあります。また、ビジネスシーンでは「図々しいお願いで恐縮ですが」という謙遜表現として使われることも。さらに心理学の分野では、適度な「図々しさ」は自己主張能力として評価されることもあり、すべてが悪い意味ではないという見方もあります。海外では日本ほど「図々しさ」を否定的に捉えない文化も存在します。

図々しいのエピソード・逸話

有名な逸話として、作家の太宰治が「図々しい」性格を逆手に取ったエピソードがあります。出版社に原稿を催促する際、「先生、原稿が遅れているようですが」と言われると、「いや、私は図々しい男だから、まだまだ待ってもらうよ」と返し、編集者を困らせつつも愛嬌で許されてしまったという話が残っています。また、現代ではお笑い芸人の松本人志さんが、デビュー当から「図々しい」を武器にしたトークで注目を集め、その図太さが番組の枠を飛び越えるような自由な発想につながったと言われています。

図々しいの言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「図々しい」は日本語特有の「重畳形式」という語形成の特徴を持っています。同じ語基を重ねることで意味を強調するパターンで、「長々しい」「慌ただしい」などと同じ構造です。また、この言葉は「シク活用」の形容詞に分類され、主観的な感情や評価を表す性質があります。歴史的仮名遣いでは「づうづうしい」と表記され、現代仮名遣いへの変更過程も興味深い研究対象です。さらに、ポライトネス理論の観点からは、日本語の「遠慮」文化と対極をなす概念として、社会的規範と言語表現の関係性を考察する上で重要な語彙と言えます。

図々しいの例文

  • 1 先輩に『これやっておいて』と仕事を押し付けられて、『自分でやれよ』と思いながらも断れない...図々しいよね。
  • 2 電車で隣の人がどんどん席を占領してきて、こっちが窮屈になるのに平然としてる。図々しいにもほどがある!
  • 3 ランチの割り勘の時、いつも小銭がないと言って少ない額しか出さないあの子、図々しいなって思う。
  • 4 SNSでいきなりDMしてきて『フォローして』『いいねして』と要求してくる人、図々しすぎない?
  • 5 会社の冷蔵庫に入れておいたお茶を、『美味しそうだったから』と勝手に飲まれるの、図々しくてムカつくよね。

「図々しい」の使い分けポイント

「図々しい」は状況によってニュアンスが変わる言葉です。適切に使い分けるためのポイントを紹介します。

  • 批判的に使う場合:相手の行動を非難するときは強い口調で
  • からかいとして使う場合:親しい間柄では笑いを含んだ軽いトーンで
  • 謙遜表現として:ビジネスでは「図々しいお願いですが」と控えめに

特にビジネスシーンでは、直接相手を「図々しい」と評するのは避け、自分の行動を謙遜する表現として使うのがスマートです。

関連用語との比較

言葉意味ニュアンス
図々しい遠慮なく振る舞う行動面に重点
厚かましい羞恥心がない心理面に重点
ずぶとい神経が太いポジティブにも使える
傍若無人人目を憚らないより強い非難

これらの言葉は似ていますが、微妙なニュアンスの違いがあります。状況に応じて適切な表現を選びましょう。

歴史的な変遷

「図々しい」は時代とともに意味が変化してきた興味深い言葉です。江戸時代以前は「策略家のような」という意味で使われ、現代のような「厚かましい」という意味は二次的なものでした。

図々しき者は、とかく人を出し抜くことを考える

— 江戸時代の随筆『可笑記』

明治時代以降、西洋文化の影響を受けて個人の自己主張が重視されるようになり、現在の「遠慮なく振る舞う」という意味が主流になりました。

よくある質問(FAQ)

「図々しい」と「厚かましい」の違いは何ですか?

「図々しい」は状況をわきまえず遠慮なく振る舞う様子を指し、「厚かましい」は羞恥心がなく平然としている態度を表します。図々しいは行動面、厚かましいは心理面に重点があると言えるでしょう。

ビジネスで「図々しい」を使うのは失礼ですか?

直接相手を「図々しい」と評するのは避けるべきですが、「図々しいお願いで申し訳ありませんが」のように謙遜表現として使うことは可能です。状況と関係性を見極めて使い分けましょう。

「図々しい」の英語表現は何がありますか?

「cheeky」「bold」「shameless」「brazen」などが近い表現です。文脈によって「presumptuous」(思い上がった)や「audacious」(大胆な)も使えます。

図々しい人に対処する方法は?

明確に境界線を示し、優しく断るのが効果的です。『今回はご遠慮ください』『ルールなので』など、個人攻撃ではなく客観的事実を伝えると良いでしょう。

適度な図々しさは必要ですか?

自己主張やチャンスを掴むためには、適度な図々しさが役立つこともあります。特にビジネスでは、遠慮しすぎずに自分の意見を伝える姿勢が評価される場面も多いです。