「粗相」の意味
「粗相」(そそう)には、以下の4つの意味があります。
- 粗末(そまつ)なこと。粗略(そりゃく)なこと。
- そそっかしいこと。軽率。
- あやまち。不始末。ぶしつけなこと。
- 大小便をもらすこと。
「粗」の字について
「粗」(ソ)の字は、「米」と「ばらばら(「疏」の字に通じる)」の意から、精白されていないねばりけのある米のことを表しましたが、転じて「あらい」意に用いられるようになったと考えられています。
「あらい」は「荒い」の字も使いますが、「粗い」と書く場合、事物が細かくなく、おおざっぱで雑なこと、十分に手が加えられていないことを意味します。「粗悪」「粗品」「粗暴」などの熟語からのその意味が窺えますね。
「粗相」の「相」は「すがた、ありさま」などの意味ですから、「粗相」は単純に「粗」である「ありさま」と捉えて良いでしょう。
「粗相」の使い方
「粗相」は、主に「粗相をする」「粗相がある」「粗相をしでかす」などのかたちで使います。使用上のポイントは、多くの場合、「粗相」の具体的内容に言及しない点です。
例えば、「目上の人間に会うので、粗相があってはならない」と言う場合、どのような種類のものであれ、「粗相」=「雑でおおざっぱな姿」を見せられないという意味であり、その言葉の中にはさまざまな種類の「粗」や「あやまち」があらかじめ内包されています。
何を「粗相」と感じるかは人次第であり、そもそも「粗」とそうでないものの境目は客観的に定義しにくく、不確かです。そのため、「粗相」は、「相手に見せにくいもの、そう思われるものの有り様」全般を抽象化して言い表す言葉でもあるのです。
「大小便をもらすこと」の婉曲表現
「粗相」は、大小便をもらすことを意味する婉曲表現(露骨にならないようにする遠回しな言い方)であることも珍しくありません。
清潔さ(衛生的であること)を貴ぶ社会通念上、排泄行為は「粗相」の代表的な例と言うこともでき、特に人間に対して用いる場合は、その人の尊厳を守るためにこの言葉が使われることもあります。
中でも、「子ども」や、犬・猫などの「ペット」、あるいは介護の現場などで「粗相」と使う場合は、この使い方に該当しやすいかもしれません。
例文
- 誠心誠意を尽くしてもてなしたつもりだったが、客人は常に仏頂面で、何か粗相があったのかと私は心配になった。
- レストランで注文した料理がなかなか出てこない。さきほど厨房のほうで何か割れるような音がしたので、ウェイターが何か粗相でもしたのかもしれない。
- 友達の家に遊びいった息子が何か粗相をしでかして、友達に怪我をさせたらしい。これから謝りにいかねばならない。
- 彼女の家に遊びに行ったところ、「飼い猫が廊下で粗相をしたので、ちょっと待ってて」と言われて、家の前で20分待たされた。
「粗相」の類語
不注意
「粗相」は、基本的には「不注意」によって引き起こされる失敗や過ちのニュアンスです。逆に言えば、よくよく注意して慎重に事に当たることが、「粗相」を防ぐための手段でしょう。
【例文】:いつも備品を雑に扱っていた店員の不注意によって、店は大損害を負った。
失態
「体裁を失うこと」や「やりそこなうこと」「体裁の悪い失敗」のことを「失態」と言います。「体裁」は外から見える物の様子や、他人から見たときの自分の状態の感じですから、他人に見せにくい「粗相」のニュアンスにかなり近いでしょう。
【例文】:今回の失態については、言い訳のしようもない。
へま・ぽか
間の抜けたこと、気の利かないこと、失敗することを「へま」、思いがけない失敗のことを「ぽか」と言います。どちらもやや軽い言い方で、軽率さを表すこともある「粗相」のニュアンスに近いといえるでしょう。
【例文】
- へまばかりする部下をかばっていられない。
- 彼は基本的に優秀だけど、たまにぽかをする。