「凡ゆる」の読み方
「凡ゆる」と書いて<あら-ゆる>と読みます。明治時代ころから使われ始めた当て字ともいわれており、漢和辞典にはこの読み方は掲載されていません。
現在では、<あら-ゆる>は平仮名で「あらゆる」と表記されるのが一般的です。しかし、古くは、「所有」や「所在」という当て字も用いられていました。
「凡ゆる」の意味
「凡ゆる」とは、「すべての・あらん限りの」という意味です。動詞の「ある」と助動詞「ゆ」の連体形「ゆる」から構成されています。
「凡ゆる」の使い方
- この薬の効果や副作用について、凡ゆる角度から検証を重ねた。
- 凡ゆる点において妹は私に勝っていた。
- この事故についての凡ゆる混乱が収束するまで相当な時間がかかった。
「凡ゆる」の類語
「遍く・普く」
「遍く・普く」<あまね-く>とは、すべてに漏れなく及んでいる様子を表しており、「広く・一般に・隅々まで」といった意味です。
【例文】
- この事件のことは、遍く世間に知れ渡っている。
- 彼女は彼が立ち寄りそうな場所を普く尋ね歩いた。
「有りっ丈」
「有りっ丈」<ありったけ>とは、「有るだけ全部」という名詞として、また、「できるだけ多く・思う存分」という副詞として用いられる言葉です。
【例文】
- 彼は自分の店を持つために有りっ丈の金を注ぎ込んだ。
- 彼女は押し込めていた不満を有りっ丈ぶちまけた。
「網羅」
「網羅」<モウラ>とは、「(制裁・法律などの)人を束縛するもの」、あるいは「ある物事に関するすべてを集める」という意味です。後者は「凡ゆる」に通じるところがありますが、「凡ゆる」には、集めてくる・取り入れるといった含みはありません。
【例文】
- 今回のアルバムは今まで発売されたシングルすべてを網羅している。
- この宅配サービスはこの地域すべてを網羅したものではない。
「凡」とは
「凡」は、音読みでは<ボン・ハン>、訓読みでは<およ-そ・おおよ-そ・すべ-て・なみ>と読みます。その字義は「(全体を)押しなべて・おおよそ」や「当たり前である様子・すべて・一般的・普通」などです。
「凡」を含む熟語
【大凡】<おおよそ>
「凡そ」も<おおよそ>と読みますが、「大凡」と表記することもあります。「物事の大体のところ・普通」や「大雑把に・全体的に」などを表す言葉です。
【凡例】<ハンレイ>
「書物の初めにある、その本の編集方針や使い方、記号や略号のについての注釈などを記載した部分」のことです。
【平凡】<ヘイボン>
「とてもありふれていて、変わったところや優れたところがない」という意味です。
【凡庸】<ボンヨウ>
「特に優れたところがないこと、並みであること」を表す言葉です。