「追憶」の意味
「追憶」(ついおく)とは、過去の物事や、親しくしていた人のことを懐かしく思い出すことです。過去を偲ぶ、と言い表すこともできます。
「追」は、ここでは過去にさかのぼること、という意味で用いられています。「憶」は、さまざまなことを思ったり、心に留めておぼえていたりすることです。それぞれの字義から、昔あったことに思いを馳せたり、思いを寄せたりすることをいいます。
「追憶」の使い方
「追憶」は、苦い思い出、嫌な記憶には使いません。自分が心地よいと感じていた昔のできごとが、あるきっかけによって、頭の中に思い浮かぶイメージです。
たとえば、幼い時代の夏休みの思い出や、大切なペットと過ごした日々。戻れない過去を惜しみながら、感慨深く想起するようなニュアンスです。
「追憶」の例文
- カブトムシを捕るのに夢中になった少年時代を追憶する。
- 目を閉じて、学生時代の追憶にふける。
- 大漁旗を目にして、腕の良い漁師だった祖父を追憶する。
- 日々を忙しく過ごしていると、過去の追憶にひたるほどの猶予もない。
作品における「追憶」
タイトルに「追憶」が含まれた作品は数多く挙げられます。映画ではガス・ヴァン・サント監督の『追憶の森(邦題)』、音楽では沢田研二さんの『追憶』、ゲーム・エンタメの分野では『誰ガ為のアルケミスト 聖石の追憶』などですね。
過去を振り返るような形でストーリーが進んだり、大切な人と過ごした時間を回想したり、といったものが多いでしょう。
「追憶」の類語
思い出
「思い出」には、大きく分けて2つの意味があります。
- 過去に経験したことが心のなかに浮かび上がること
- 昔のことを思い出すきっかけになる
このうち1の意味が、「追憶」の類語と言えるでしょう。「追憶」は、どちらかといえば良い過去の体験を思うのに対し、「思い出」はプラスの感情、マイナスの感情を問いません。
【例文】
- 登校中他の生徒の前で、派手に転んだのは苦い思い出だ。
- 富士山の頂上から御来光が見られたことは、私にとって素晴らしい思い出になった。
- このマトリョーシカは、ロシア旅行の思い出の品です。