「噴飯」とは?意味や使い方を由来を含めてご紹介

「噴飯」という言葉は、(ふんぱん)と読みますが、「飯を噴く」という状況が思い浮かぶとなんともユーモラスな言葉で、示す意味も推測できそうです。ところが、実は誤って解釈されている率がきわめて高い言葉です。今回は、「噴飯」の意味と使い方を由来を含めてご紹介します。

目次

  1. 「噴飯」とは?
  2. 「噴飯」「噴飯もの」の使い方
  3. 「噴飯」の類語

「噴飯」とは?

「噴飯」(ふんぱん)と読みます。「飯を噴く」という状況を想像すれば、誰でも身に覚えがあるかもしれません。食事中に面白い話題になり、思わず大笑いすると、食べていたものが…。

「噴飯」という言葉の由来は、まさにそのように「笑いすぎて口のなかの食べ物を噴きだしてしまう」ことにあります。

「噴飯」とは、おかしさやばかばかしさに思わず食べかけの飯を噴きだしてしまうほどに笑ってしまうこと、こらえきれずに吹きだして笑ってしまうこと、失笑すること。食べている物を実際に噴きださずとも、それほどに笑う、という意味で使われてれています。

とはいえ、実際に笑いすぎて口のなかの物をポロリ、飲んでいるものをプッと噴きだしてしまうことは結構ありますから、なかなかリアルな言い回しです。若い人たちが、そんな状況で「噴いた!」とよく言っていますね。

「噴飯もの」とは?

「噴飯もの」(ふんぱんもの)という言葉は、「噴飯」以上に頻繁に用いられますので、ここでしっかりと理解しておきましょう。同時に、特筆すべきは、「噴飯もの」がもっとも誤って使われている言葉の代表であるということです。

「噴飯もの」とは、食べかけの飯を思わず吹き出してしまうほどに、おかしくてばかばかしい出来事、物笑いの種になるようなみっともない事柄、という意味の言葉です。それが、なぜ、どのようにして、異なる意味に誤解されがちなのでしょうか。

「噴飯もの」における誤解

平成24年に文化庁が発表した「国語に関する世論調査」において、「噴飯もの」を「おかしくてたまらないこと」と正しく理解し使う人は19.7%。それに比べ、「腹立たしくて仕方ないこと」と誤解している人は、49%を占めたのです。

不正解率のほうが上回ってしまう理由は何でしょう。「噴飯」に「失笑」という意味がありましたが、ここが肥大化していったのかもしれません。

例えば、政治家などの隠ぺい工作での姑息で稚拙な対応を、メディアや対立党派が「噴飯もの」と称するような使い方が実に多く見られます。失笑をこえて侮蔑の笑いに、それも越えて立腹の対象へと「噴飯もの」の意味が変遷しつつあります。

各方面で「茶番劇」が繰り返されるたびに「噴飯もの」という言葉は「腹立だしいこときわまりない」という誤ったニュアンスを強めていったと思われます。やがては辞書にも、正しい意味として加わるかもしれませんね。

「噴飯」「噴飯もの」の使い方

(A男)

鈴木君は晴れ舞台のスピーチの登壇で、300人の前で転んだのか。噴飯の事態だなあ。

(B子)

昔、脱税で摘発された山田君が今はライフプランナーになっているなんて、噴飯ものよね。

(C男)

保身のために悪事を末端に責任転嫁する政治家が、選挙で「政治の透明化」と演説していたよ。噴飯ものだな。

「噴飯」の類語

「片腹痛い」の意味と使い方

「片腹痛い」(かたはらいたい)と読みます。身の程を知らない他人の態度や行為がこっけいで、苦々しくもおかしくてたまらない、という意味をもちます。侮蔑を含む笑い、という意味で「噴飯」や「噴飯もの」の「失笑」の意味における類語たりえます。

文例:しょっちゅう仕事をさぼって喫茶店で居眠りしている中村君が課長昇進を狙っているとは、片腹痛いなあ。

「ちゃんちゃらおかしい」の意味と使い方

「ちゃんちゃらおかしい」とは、身の程知らずな他者の行いなどが、吹き出したくなるほど滑稽でおかしいことを意味する言い回しです。「噴飯」と同様に、単に愉快でおかしい、というのではなく、あざけりのニュアンスが含まれています。

文例:君のピアノの実力で、権威あるあのコンテストに出たいなどとはちゃんちゃらおかしいよ。


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