則りとは?則りの意味
規範として従うこと、標準となる決まり事に基づいて行動することを意味する言葉
則りの説明
「則り」は「のっとり」と読み、動詞「則る」の連用形です。この言葉の核心は「何らかの規範や基準に従って行動する」という意味合いにあります。例えば「法律に則り」「伝統に則り」といった使い方が代表的で、単に従うだけでなく、それを規範として重視しているニュアンスを含みます。ビジネスシーンでは「社内規定に則り対応いたします」など、公的な文書でよく用いられ、フォーマルな印象を与える表現です。なお、「乗っ取り」とは全く異なる言葉ですので、誤変換には注意が必要です。
知っていると文章の格段が上がる便利な表現ですね!
則りの由来・語源
「則り」の語源は古代中国にまで遡ります。漢字「則」は元々「𠟭」と書かれ、「鼎」(かなえ:祭祀用の器)と「刀」を組み合わせた象形文字です。一説には、鼎に刀で刻印を入れて規範を示したことから「基準・規則」の意味が生まれ、転じて「それに従う」という意味に発展しました。もう一説では、食事の準備時に刀を決まった位置に置く作法から「決まりに従う」意味が派生したとされています。いずれにせよ、古代から規範や秩序を重んじる文化の中で生まれた言葉なのです。
古くから受け継がれる格式高い表現だからこそ、正しく使いたいですね!
則りの豆知識
「則り」と「乗っ取り」は読み方が似ているため誤変換されやすいですが、全く逆の意味を持つ面白い関係にあります。「則り」が「規則に従う」ことを意味するのに対し、「乗っ取り」は「無理やり奪い取る」ことを表します。また、スポーツの選手宣誓で「スポーツマンシップに則り」という表現がよく使われますが、これはオリンピック憲章に基づく伝統的な表現で、国際的にも通用する格式高い言い回しです。ビジネス文書では「法規に則り」という表現がよく用いられ、法律的根拠を示す重要な役割を果たしています。
則りのエピソード・逸話
元プロ野球選手のイチローさんは、現役時代から「基本に則ったプレー」を何よりも重視していました。あるインタビューで「華々しいプレーよりも、基本に則った地味なプレーを積み重ねることが大事だ」と語り、毎日同じルーティンを欠かさないことで知られていました。また、小泉純一郎元首相は「市場原理に則った改革」をスローガンに掲げ、経済政策を推進。この「則った」という表現が政策の正当性をアピールする効果的なフレーズとして注目を集めました。
則りの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「則り」は動詞「則る」の連用形であり、日本語の文法において「〜し」形として用いられることで、後続の動作と結びつく接続機能を持っています。この表現は、規範や基準を示す名詞と共起する傾向が強く、「法律に則り」「規則に則り」などのコロケーション(連語)を形成します。歴史的には、室町時代頃から公文書や格式ばった文書で使用されるようになり、現代では主に書き言葉としての性格が強い表現です。また、「則り」は「拠り」「基づき」などの類義語と比べて、より形式的で公的なニュアンスを持つという特徴があります。
則りの例文
- 1 会議で上司が『前例に則り対応します』と言うけど、実は前例が全然ない案件なのでは?と内心ツッコミたくなる
- 2 マニュアルに則って丁寧に対応したのに、お客様から『融通がきかない』と言われてしまう悲しさ
- 3 社内規定に則って申請書を提出したら、却下理由が『規定通りすぎて面白みがない』だった時の絶望感
- 4 先輩から『慣例に則ってやっておいて』と言われるけど、その慣例が誰も知らない謎のルールであるある
- 5 取引先と『契約書の第3条に則り』と言いながら、実際にはその条項をしっかり読んだことがない自分がいる
「則り」と類義語の使い分けポイント
「則り」にはいくつかの類義語がありますが、それぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。適切に使い分けることで、より正確な表現が可能になります。
| 言葉 | ニュアンス | 適した使用場面 |
|---|---|---|
| 則り | 規範や規則に従従う | 法律・規則・伝統など公式なもの |
| 基づき | 根拠や基礎がある | データ・事実・理論など |
| 準じて | 基準や標準に合わせる | 前例・標準・模範など |
| 沿って | 方針や流れに合わせる | 計画・方針・流れなど |
特にビジネス文書では、これらの使い分けが重要です。例えば「市場動向に基づき」はデータを根拠にする意味で、「会社規定に則り」は規則に従う意味で使います。
使用時の注意点とよくある間違い
- 「乗っ取り」との誤変換に注意:特にスマートフォンでの変換ミスが多い
- 読み間違いに注意:「そくり」「即り」ではなく「のっとり」が正しい
- 重複表現ではない:「規則に則り」は文法的に問題ない正しい表現
- 話し言葉での使用:カジュアルな会話では「従って」などと言い換えるのが自然
言葉は時代とともに変化するが、格式ある表現は大切にしたい。『則り』のような言葉は、日本語の豊かさを伝える貴重な財産である。
— 金田一春彦
歴史的な変遷と現代での位置づけ
「則り」は平安時代頃から公文書や漢文訓読で使用されていた格式高い表現です。明治時代には法律文書や官公庁の文書で頻繁に使われるようになり、現代でも公的な文書やビジネス文書で重要な役割を果たしています。
近年では、企業のコンプライアンス意識の高まりとともに、「法令に則った事業運営」などの表現がより重要視されるようになりました。また、国際化が進む中で、日本のビジネス文化を表現する言葉としても注目されています。
よくある質問(FAQ)
「則り」と「基づき」の違いは何ですか?
「則り」は規範や規則に従うことを強調するのに対し、「基づき」は根拠や基礎となる事実があることを示します。例えば「法律に則り」は法律という規範に従う意味で、「データに基づき」はデータを根拠とする意味合いになります。
「則り」はビジネス文書以外では使わないのですか?
そんなことはありません。日常会話でも「伝統に則った行事」「母校の校風に則って行動する」など、格式ばった場面や改まった話題で使われます。ただし、カジュアルな会話では「従って」や「に沿って」と言い換えることが多いです。
「則り」を話し言葉で使うと堅苦しすぎませんか?
確かに日常会話ではやや格式ばった印象を与える場合があります。しかし、改まった場やビジネスシーンでは、正確でプロフェッショナルな印象を与えるため、適切に使うことで好印象につながります。
「規則に則り」は重複表現ではないですか?
確かに「則」の字が重なりますが、文法的には問題ない表現です。「規則」という名詞と「則り」という動詞の組み合わせであり、日本語として自然な表現です。むしろ、格式のある文書ではよく使われる正しい表現です。
「則り」の読み方を間違えやすい言葉はありますか?
「乗っ取り」との誤読に注意が必要です。また、「即り」(そくり)と読まれることもありますが、正しくは「のっとり」です。変換ミスを防ぐためには、最初に「のっとり」と入力して変換することをおすすめします。