かくいうとは?かくいうの意味
「このように言う」「この通りに言う」という意味の表現で、主に直前の発言を受けて自分自身の状況や意見を補足する際に用いられます。
かくいうの説明
「かくいう」は、会話や文章の中で自分自身の立場を強調したり、意外な事実を披露する際に効果的な表現です。漢字では「斯く言う」または「是く言う」と書きますが、現代ではひらがな表記が一般的です。特に「かくいう私も~」という形で用いられることが多く、これは「今こう言った私自身も実は~」という意味合いを持ちます。また、インターネット上では『攻殻機動隊』の名台詞「かくいう私も童貞でね」を元ネタとしたスラングとしても親しまれており、硬い表現と自虐的な内容の組み合わせで独特のユーモアを生み出しています。
硬い表現と柔らかい内容の組み合わせが面白いですね。使いこなせると会話のアクセントになりそうです!
かくいうの由来・語源
「かくいう」の語源は古語の「かく」(斯く・是く)に由来し、「このように」「この通りに」を意味する副詞です。平安時代の文学作品から既に使用例が見られ、中世以降に「かくいう」として定型化されました。現代的なスラングとしての広がりは、2004年放送のアニメ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』におけるゴーダの台詞「かくいう私も童貞でね」が大きな契機となり、インターネット上で爆発的に普及しました。この台詞が持つ硬質な表現と意外性のある内容の対比が、ネットユーザーの間で強い印象を残したのです。
古語とネットスラングが融合した面白い言葉ですね!時代を超えて生き残る言葉の生命力を感じます。
かくいうの豆知識
面白いことに、「かくいう」は現代ではほぼ100%「かくいう私も~」の形で使用されますが、古典文学では「かくいう人」のように第三人称に続く用法も見られました。また、ネットスラングとして定着した後は、元々の格式ばった印象とは逆に、むしろ茶化しや自虐的なニュアンスを帯びて使われることが多くなっています。若年層では「かくいう」の本来の意味を知らずにスラングとしてのみ認識している人も少なくないという、言語の面白い変遷例となっています。
かくいうのエピソード・逸話
お笑い芸人の松本人志さんは、テレビ番組で共演者から「松本さんは完璧に見えますよね」と言われた際、「かくいう私も実はかなりの心配性でしてね」と返答し、場を和ませたことがあります。また、小説家の村上春樹さんはインタビューで「作家として成功しているように見えるかもしれませんが、かくいう私も最初の作品は何度も出版社に断られました」と語り、苦労時代を率直に打ち明けることで読者との距離を縮めています。これらの有名人の使用例は、「かくいう」が格式ばりながらも親しみやすいニュアンスを演出できる効果的な表現であることを示しています。
かくいうの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「かくいう」は「照応表現」の一種であり、文脈指示詞として機能します。特に「かく」は現場指示ではなく文脈指示に特化した副詞で、直前の発話内容を参照する機能を持ちます。現代日本語では、この種の古語由来の副詞が定型句として残存する例は稀であり、文語的表現が口語に取り込まれた珍しいケースです。また、ネットスラングとしての用法は、言語の「意味の変容」を研究する上で興味深い事例となっており、硬い表現と軟らかい内容の組み合わせによる「スタイルの不釣り合い」がユーモア効果を生むメカニズムを示しています。
かくいうの例文
- 1 「ダイエット中はお菓子を控えようって毎回思うんですけど、かくいう私も昨日ついポテチ一袋食べちゃいました」
- 2 「早起きして勉強するのが理想だってみんな言うけど、かくいう私も目覚まし止めて二度寝したこと何度あるか分かりません」
- 3 「SNSの見過ぎは良くないってわかってるんですが、かくいう私も寝る前にスマホいじるのやめられなくて…」
- 4 「節約しなきゃって思いつつ、かくいう私も衝動買いした服がクローゼットでタグついたままってことよくあります」
- 5 「時間管理は大切だって頭では理解してるけど、かくいう私も締切直前まで作業先延ばしにしちゃうタイプなんですよね」
「かくいう」の適切な使い分けと注意点
「かくいう」を使う際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。この表現は使い方を間違えると不自然に聞こえたり、誤解を招いたりする可能性があるからです。
- カジュアルな会話や親しい間柄での使用が適しています
- ビジネスシーンやフォーマルな場面では避けるのが無難です
- 文章で使用する場合は、読者との距離感を考慮しましょう
- 直前の発言や文脈がない状態では使用しない
- 自虐や謙遜のニュアンスが適さない場面では避ける
- 若い世代には通じない可能性があることを念頭に置く
関連用語と類義表現
「かくいう」と似たニュアンスを持つ表現はいくつかありますが、それぞれ微妙に使い方が異なります。状況に応じて適切な表現を選び分けられるようになりましょう。
| 表現 | 意味 | 使用場面 |
|---|---|---|
| 「とはいえ」 | 前の内容を一旦認めつつ逆説を述べる | やや硬い表現、文章向き |
| 「そうは言っても」 | 相手の意見を認めつつ反論する | 口語的、カジュアルな会話 |
| 「実を言うと」 | 本音や真実を打ち明ける | 比較的どの場面でも使用可 |
| 「私自身も」 | 自分も同様であることを示す | 最も汎用的で安全な表現 |
言葉は時代とともに変化するが、「かくいう」のような古い表現が新しい命を得ることは、日本語の豊かさを示している
— 金田一春彦
歴史的な変遷と現代での位置づけ
「かくいう」は古典日本語から現代まで生き残った数少ない表現の一つです。その変遷をたどることで、日本語の面白さがより深く理解できるでしょう。
- 平安時代:和文や漢文訓読で頻繁に使用
- 江戸時代:教養層の間で使われる格式ばった表現に
- 明治~昭和:次第に日常会話から遠ざかる
- 平成~令和:ネットスラングとして復活・再解釈
現代では、元々の格式ばった用法と、ネット発の自虐的用法の二つの流れが共存している珍しいケースです。この二重性が、かえって表現としての豊かさを生み出していると言えるでしょう。
よくある質問(FAQ)
「かくいう」はビジネスシーンで使っても大丈夫ですか?
フォーマルな場面では避けた方が無難です。多少古風で格式ばった印象を与える表現なので、カジュアルな会話や親しい間柄でのみ使用するのがおすすめです。ビジネスでは「実は私も」や「私自身も」など、より自然な表現を使う方が良いでしょう。
「かくいう」の後には必ず「私」を入れなければいけませんか?
現代語ではほとんど「かくいう私」の形で使われますが、まれに「かくいう彼」のように第三人称が続くこともあります。ただし、一般的には一人称(私、僕、俺など)を伴うのが基本で、それ以外の使い方はかなりレアケースと言えます。
「かくいう」と「そういう」の違いは何ですか?
「かくいう」が直前の自分の発言を受けて自分自身について述べるのに対し、「そういう」は相手や第三者の発言を受ける場合に使われます。また「かくいう」には自虐的や謙遜的なニュアンスが含まれることが多いのに対し、「そういう」はより中立的な表現です。
若い人でも「かくいう」を使うことはありますか?
はい、ネットスラングとして知っている若い世代も多いです。特にアニメファンやネット文化に詳しい人々の間では、『攻殻機動隊』の台詞を引用する形で使われることがあります。ただし、本来の格式ばった意味ではなく、 irony や自虐のニュアンスを込めて使われる傾向があります。
「かくいう」を英語で表現するとどうなりますか?
直訳すると"thus say I"ですが、自然な英語表現としては"that said, I..."や"having said that, I..."、"for that matter, I..."などが近いニュアンスです。自虐的なニュアンスを出すなら"speaking of which, I'm no better"のような表現も使えます。