「逢引」とは?
読み・表記
「逢引」は、<あいびき>と読みます。
「逢引」のほかに「媾曳」「相引」「合引」と書く場合もあるほか、送り仮名をつけて「逢い引き」や「逢引き」とすることもあります。
意味
「逢引」とは、互いに語り合ってひそかに何かを企むことをいい、特に、恋人同士の男女の密会のことを言います。
「逢」(ホウ、あ-う)の字は、「偶然に出会う」が主な意味です。例えば「出会う」を「出逢う」と書く場合、偶然に、思いがけなく会うというニュアンスが出ます。
すなわち「逢引」は、二者(以上)が思いがけなく、引かれ合うように会うこと(≒密会)と捉えれば、意味がわかりやすいかもしれません。
「逢引」の使い方
主に男女関係で使う
「逢引」は、現代では「親しい関係にある男女(恋人など)が密かに会うこと」という意味での使い方が主です。辞書的には、色恋とは関係のない密会も意義として含まれる言葉ですが、あまり使われていないようです。
男女間に限定して使用するにせよ、あくまでも「密会」の意味合いですので、計画を前もって公表して「逢引」することは原則的にありません。人の目を盗み欺いたり、はばかったりしながらするものというイメージです。
「後ろめたい関係」「禁断の恋」といったニュアンスも含まれることがあるため、ただ「恋人に会う、デートする」という意味で「逢引」と言わないようにご注意ください。
やや古風なイメージ
「逢引」は、現代日本社会では少々古風なイメージを持たれがちな言葉です。自由恋愛の風潮が一般的となり、封建的な家督制度の意識が薄れていることも原因のひとつかもしれません。
また、通信機器の発達と普及により、家族などの監視がなくても自由にコミュニケーションができるようになった点も、実際に相手に会う必要がある「逢引」の機会と、その欲求の低下に拍車をかけていると考えることもできるでしょう。
『ロミオとジュリエット』のような古典的な悲恋物語に見られる「逢引」という概念そのものもまた、現代ではやや古典的なまなざしを向けられがちかもしれません。
例文
- 世間に誇れないこととは知りながら、私は10も歳の離れた年上の男性と何度も逢引をしていました。
- やっと放蕩娘の逢引の現場を押さえたと思ったが、娘は同性の友人と遊んでいただけだった。
- パーティの途中、ジェフとジェシーは二人で密かに抜け出して、人目のない家の裏で逢引していたようだった。
「逢引」の類語
「逢瀬」
「逢瀬」(おうせ)とは、男女が密かに会うという意味の言葉です。「逢引」のほぼ同義語と言ってよいでしょう。
「逢瀬を重ねる」「逢瀬を楽しむ」のように「こっそり会う機会」について使用し、動詞的に「逢瀬する」とは用いません。
【例文】
- 親の目を盗み、彼女は愛しのジョニーとのひと時の逢瀬を楽しんだ。
「ランデブー」
「ランデブー」(フランス語:randez-vous)とは、恋人同士が日時・場所を決めて合うことという意味の言葉です。ただの「デート」の意味でも用いられますが、「逢引」のように「密かに」というニュアンスを持つことがあります。
このほかに「ランデブー」には、航空・宇宙用語で宇宙船などがドッキング(連結)するために近づくこと、という意味もあります。
【例文】
- 彼ときたら、平日昼間に女とランデブーしているなんて、仕事は何をしているのだろう。
「逢引」を英語で言うと?
「逢引」を英語で言いたい場合には、「こっそりデートをする」というニュアンスを取って「sneak dating」とするのが良いでしょう。
「sneak」は、「こそこそする、潜入する、内密に何かする」という意味の言葉です。
例文
- He broke the ban from his father and had been sneak dating with Miss Elizabeth many times.(彼は父親の禁を破り、エリザベス嬢と何度も逢引していた)