打ちひしがれるとは?打ちひしがれるの意味
激しい精神的打撃やショックを受けて、気力や意欲を完全に失ってしまう状態を表す言葉です。
打ちひしがれるの説明
「打ちひしがれる」は、「打ち拉ぐ」という動詞に受け身の助動詞「れる」が付いた表現で、文字通り「打ち拉がれる」とも表記されます。外部からの衝撃だけでなく、自分自身の失敗によっても使われることが特徴です。例えば、大切な人を失った悲しみ、大きな挫折、予期せぬトラブルなど、心に深い傷を負った時にこの言葉がぴったり当てはまります。現代では「めちゃくちゃ落ち込む」「心が折れる」といった表現がよく使われますが、「打ちひしがれる」にはそれ以上の重みと深みがあります。類語の「打ちのめされる」が肉体的・精神的な打撃の両方に使われるのに対し、こちらは主に精神的なダメージに焦点が当てられている点も覚えておくと良いでしょう。
深い悲しみや絶望を表現するのにぴったりの言葉ですね。知っておくと、自分の気持ちを的確に表現できるようになります。
打ちひしがれるの由来・語源
「打ちひしがれる」の語源は、古語の「打ち拉ぐ(うちひしぐ)」に由来します。「打ち」は接頭語で強調を表し、「拉ぐ」は「押しつぶす」「打ち砕く」という意味を持ちます。これに受身の助動詞「れる」が付くことで、「精神的に打ち砕かれた状態」を表現する言葉となりました。元々は物理的な破壊を表す言葉でしたが、時代とともに比喩的に使用されるようになり、現代では主に精神的な打撃を受けた状態を指すようになりました。
深い感情を表現するのにぴったりの、日本語の豊かさを感じさせる言葉ですね。
打ちひしがれるの豆知識
「打ちひしがれる」と似た表現に「打ちのめされる」がありますが、両者には微妙なニュアンスの違いがあります。「打ちひしがれる」が主に精神的なダメージに焦点を当てるのに対し、「打ちのめされる」は肉体と精神の両方の打撃を表すことができます。また、文学作品では夏目漱石や太宰治などがこの言葉を効果的に使用しており、登場人物の深い心理描写に用いられる傾向があります。
打ちひしがれるのエピソード・逸話
プロ野球の長嶋茂雄元監督は、現役引退試合で涙ながらに「もう野球ができなくなると思うと、胸が打ちひしがれる思いです」と語り、ファンに深い感動を与えました。また、作家の村上春樹氏はインタビューで「小説を書き終えた直後は、いつも打ちひしがれるような虚しさを感じる」と創作活動の苦しみを語っています。芸術家の岡本太郎氏も、戦争で全てを失った経験から「打ちひしがれても、そこから這い上がるエネルギーが芸術を生む」という名言を残しています。
打ちひしがれるの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「打ちひしがれる」は日本語特有の複合動詞の構造を持っています。接頭語「打ち」+本動詞「拉ぐ」+受身助動詞「れる」という三重構造で、日本語の豊かな表現力を示す好例です。また、この言葉は「状態受身」に分類され、動作の結果としての状態に焦点が当てられている点が特徴です。歴史的には室町時代頃から使用例が見られ、江戸時代には現在とほぼ同じ意味で使われるようになりました。現代日本語ではやや文語的で硬い表現とされるため、日常会話では「めちゃくちゃ落ち込む」などの口語表現に置き換えられる傾向があります。
打ちひしがれるの例文
- 1 せっかく完成させた書類を保存せずにパソコンがフリーズして、一瞬で全てが消えた時は本当に打ちひしがれる思いだった
- 2 恋人にふられた次の日、雨の中を傘もさずに歩きながら、心が打ちひしがれるような感覚に襲われた
- 3 子供の運動会でビデオ撮影を任されていたのに、録画ボタンを押し忘れていて、我が子の活躍を見逃した時は打ちひしがれる思いだった
- 4 資格試験に合格するために一年間勉強したのに、あと一点足りなくて不合格通知を受け取った時は、全身の力が抜けるほど打ちひしがれた
- 5 大切に育てていた観葉植物が枯れてしまい、水やりを忘れた自分への後悔で胸が打ちひしがれるようだった
「打ちひしがれる」と類似表現の使い分け
「打ちひしがれる」と混同されがちな類似表現について、その微妙なニュアンスの違いを理解することで、より適切な場面で使い分けることができます。
| 表現 | 意味 | 使用場面 | ニュアンス |
|---|---|---|---|
| 打ちひしがれる | 精神的打撃で気力を失う | 深い悲しみや絶望 | 受身的で内面的 |
| 打ちのめされる | 肉体的・精神的打撃 | 大きな挫折や敗北 | より衝撃的で外部的 |
| 意気消沈する | やる気を失う | がっかりした時 | 比較的軽い落ち込み |
| 心が折れる | 頑張る気力を失う | 継続的な困難 | 現代的な口語表現 |
特に「打ちひしがれる」は、時間の経過とともに深く沈んでいくような、持続的な精神的苦痛を表現するのに適しています。
文学作品での使用例と効果
「打ちひしがれる」は文学作品において、登場人物の深い心理描写や情感の表現に効果的に用いられてきました。
彼はその知らせを聞いた瞬間、全身の力が抜けるように打ちひしがれた。
— 夏目漱石『こころ』
愛する人を失った悲しみに打ちひしがれ、彼女は数日間、部屋から一歩も出ることができなかった。
— 太宰治『斜陽』
これらの例からわかるように、この表現は登場人物の内面の深い苦悩や、人生の転換点となるような重大な出来事を描写する際に特に効果的です。
現代における使用頻度と変化
現代の日本語において、「打ちひしがれる」はやや文語的で硬い表現として認識されることが多くなっています。その使用頻度の変化と代替表現について見ていきましょう。
- 若年層では「めっちゃ落ち込む」「心が折れる」などの口語表現が好まれる
- ビジネスシーンでは依然として正式な表現として使用される
- SNSや日常会話では「打ちのめされた」の使用頻度が高い
- 文学作品や新聞記事では現在も頻繁に使用される格式のある表現
このように、使用場面や話者の年齢層によって好まれる表現が異なるため、状況に応じた適切な表現選択が重要です。
よくある質問(FAQ)
「打ちひしがれる」と「打ちのめされる」の違いは何ですか?
「打ちひしがれる」は主に精神的な打撃による落ち込みを表すのに対し、「打ちのめされる」は肉体と精神の両方の打撃を表します。また、「打ちのめされる」はポジティブな感動に対しても使われることがある点が特徴です。
「打ちひしがれる」は日常会話で使えますか?
やや文語的で硬い表現なので、日常会話では「めちゃくちゃ落ち込む」「心が折れる」などの口語表現がよく使われます。ただし、深い感情を強調したい時には効果的に使用できます。
「打ちひしがれる」の適切な使い方を教えてください
「〜に打ちひしがれる」という形で使うのが一般的です。例えば、「失敗に打ちひしがれる」「悲しみに打ちひしがれる」など、原因となる事柄や感情を「に」で示します。
「打ちひしがれる」の類語にはどんなものがありますか?
「意気消沈する」「落ち込む」「絶望する」「気力を失う」「がっかりする」などが類語として挙げられます。状況に応じて使い分けると良いでしょう。
「打ちひしがれる」から立ち直る方法はありますか?
時間の経過とともに自然と回復することも多いですが、信頼できる人に話を聞いてもらう、気分転換をする、小さな成功体験を積み重ねるなど、積極的なアプローチも効果的です。