予々とは?予々の意味
「かねがね」と読み、「前もって・前々から・かねて」という意味を持つ副詞
予々の説明
「予々」は「かねがね」と読む副詞で、「兼ね兼ね」と表記されることもあります。この言葉の核心は「前からずっと」という時間的な継続性にあります。例えば「お噂は予々承っております」という表現は、単に「噂を聞いた」ではなく「以前から繰り返し耳にしていた」というニュアンスを含みます。漢字の「予」自体に「あらかじめ・かねて」という意味があり、「予約」「予定」などの熟語にもその意味が反映されています。「予」を二重にすることで、より強い「前からの」という意味を表現しているのが特徴です。ビジネスシーンでは、相手に対する敬意を示す表現としてよく用いられ、丁寧な印象を与えることができます。
知っていると一目置かれる、大人の語彙力の一つですね!
予々の由来・語源
「予々」の語源は古語の「兼ね(かね)」に遡ります。「兼ね」は「同時に持つ」「重ねる」という意味を持ち、これを重ねて「かねがね」という副詞が生まれました。漢字の「予」は中国語で「あらかじめ」を意味し、日本では「かねて」という和訓が当てられました。平安時代の文献にも類似の表現が見られ、中世以降に現在の「予々」の表記が定着しました。もともとは時間的な重なりを表現する言葉から発展し、現代では「前々から」という時間的継続の意味で使われるようになりました。
知性と教養が感じられる、大人の日本語ですね。
予々の豆知識
「予々」の「々」は踊り字(繰り返し記号)と呼ばれ、正式な漢字ではありません。パソコンで入力する際は「おなじ」や「くりかえし」と打って変換すると出てきます。面白いことに、この言葉は書き言葉としての印象が強いですが、実は格式ばったスピーチやビジネスシーンではよく使われます。また、「予々」は「兼ね兼ね」と書かれることもありますが、意味は全く同じです。さらに、この言葉は若者言葉としてはあまり使われず、どちらかと言えば年配の方や改まった場面で好まれる傾向があります。
予々のエピソード・逸話
作家の夏目漱石は『こころ』の中で「予々」という表現を巧みに使用しています。主人公が先生に対して抱いていた長年の思いを「予々承っておりました」と表現する場面があり、ここで使われる「予々」は、単なる前からの知識ではなく、深い理解と共感を含んだニュアンスを持っています。また、元首相の吉田茂は外交交渉の際、相手国の事情について「予々伺っておりました」と前置きすることで、相手への敬意と十分な下調べをアピールし、交渉を有利に進めたという逸話が残っています。
予々の言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「予々」は畳語(じょうご)と呼ばれる語形成の一種です。同じ語基を繰り返すことで、意味を強めたり、ニュアンスを加えたりする特徴があります。品詞としては時間を表す副詞に分類され、文の中で時制を修飾する役割を持ちます。また、この言葉は日本語の敬語体系と深く結びついており、丁寧語や謙譲語と組み合わされることで、より格式高い表現となります。歴史的には、上代日本語には既に類似の畳語表現が存在しており、日本語の語彙形成の豊かさを示す良い例と言えます。
予々の例文
- 1 SNSで話題のあのカフェ、おいしいと予々聞いていたけど、実際に行ってみたら行列ができていて入れなかった…あるあるですよね。
- 2 あの映画、予々面白いと評判だったから期待して観に行ったら、まさにその通りで感動してしまいました。みんなの口コミって本当に当たるんですね。
- 3 新しい上司の方は仕事ができると予々噂で聞いていたけど、実際に一緒に働いてみるとその通りで、毎日勉強になることばかりです。
- 4 このお店のパンケーキ、予々美味しいと友達から聞いていたので、ようやく食べられて感激!長い間の憧れが叶った気分です。
- 5 あの歌手のライブ、予々チケットが取りにくいと聞いていたから、発売と同時にアクセスしたのにやっぱり落選してしまいました…みんな同じこと考えてるんですね。
「予々」の使い分けと注意点
「予々」は格式ばった印象を与える言葉なので、使用する場面には注意が必要です。ビジネスシーンや改まった場では効果的ですが、友人同士のカジュアルな会話では不自然に響くことがあります。
- 適している場面:就職面接、ビジネスメール、公式スピーチ、お礼状
- 避けた方が良い場面:友人同士の日常会話、SNSでのカジュアルな投稿
- 言い換え例:カジュアルな場面では「前から」「ずっと前から」が自然
また、相手によっては堅苦しい印象を与える可能性があるため、年齢層や関係性を考慮して使用するようにしましょう。
関連用語と類語のニュアンスの違い
| 言葉 | 読み方 | 意味 | ニュアンス |
|---|---|---|---|
| 予々 | かねがね | 前々から | 格式ばった、時間的経過を強調 |
| 常々 | つねづね | 普段から | 習慣的・継続的な状態 |
| かねてより | かねてより | 前から | やや改まった表現 |
| かねがね | かねがね | 前々から | 予々のひらがな表記 |
これらの類語は似ているようで、それぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。特に「予々」と「常々」の混同に注意が必要で、時間的な経過を強調するか、習慣的な状態を強調するかで使い分けましょう。
歴史的背景と現代での使われ方
「予々」の歴史は古く、平安時代の文献にも類似の表現が見られます。江戸時代には既に現在の意味で使われており、明治時代以降、ビジネス文書や公式の場でよく使われるようになりました。
「予々承りて居りし御名に相違なく、感服致し候」
— 夏目漱石『吾輩は猫である』
現代ではやや古風な印象があるものの、ビジネスシーンや格式を重んじる場では依然として重要な表現として使われ続けています。特に年配の方が好んで使う傾向があり、丁寧で教養のある印象を与えることができます。
よくある質問(FAQ)
「予々」と「かねがね」、どちらの表記が正しいですか?
どちらも正しい表記です。「予々」は漢字表記、「かねがね」はひらがな表記となります。文章の格式や読み手に合わせて使い分けると良いでしょう。公式文書では漢字表記が、柔らかい印象を与えたい場合はひらがな表記がよく使われます。
「予々」はビジネスメールで使っても失礼になりませんか?
失礼にはなりません。むしろ、「前々から認識していました」という敬意を含んだ表現として、ビジネスシーンで好んで使われる言葉です。取引先や目上の方に対しても問題なく使用できます。
「予々」と「常々」の違いは何ですか?
「予々」が「前々からある時点まで」という時間的な経過を表すのに対し、「常々」は「普段からずっと」という継続的な状態を表します。例えば「予々伺いたいと思っていました」は機会を伺っていたニュアンス、「常々お世話になっております」は日頃からのお礼の表現です。
「予々」は話し言葉として使っても自然ですか?
格式ばった印象を与えるため、日常会話ではあまり使われません。しかし、改まったスピーチやビジネスプレゼンなどでは自然に使えます。友人同士のカジュアルな会話では「前から」や「かねてより」と言い換える方が自然です。
「予々」を使うのに適したシチュエーションを教えてください
就職や転職の面接での志望動機、取引先との初対面の挨拶、お礼状や感謝のスピーチなどが適しています。特に「お噂は予々承っておりました」という表現は、相手への敬意と関心を示すのに効果的です。結婚式のスピーチなどでもよく使われる表現です。