仰せつかるとは?仰せつかるの意味
目上の人から指示や命令を受けること
仰せつかるの説明
「仰せつかる」は、上司や目上の方から何らかの指示や命令を受ける際に用いられる敬語表現です。「仰せ」という部分が「目上の人のお言葉」を意味し、「つかる」が「受ける」というニュアンスを持っています。つまり、単に「言われた」ではなく、「尊敬すべき方からお言葉をいただいた」という敬意が込められた表現なのです。ビジネスシーンでは「部長からプロジェクトリーダーを仰せつかる」のように、重要な役割や任務を任されたときに使われることが多く、自分がその指示を受けることを謙遜して表現する場合にも適しています。ただし、社外の人に対して自社の上司について「社長が仰せつかりまして」などと言うのは、身内を敬う表現になるため避けるべきというルールもあります。
こうした丁寧な表現を使いこなせると、ビジネスパーソンとしての信頼感がぐっとアップしますね!
仰せつかるの由来・語源
「仰せつかる」の語源は、古語の「仰せ」(おおせ)に由来します。「仰せ」は「言う」の尊敬語で、目上の人の言葉や命令を敬って表現する言葉でした。これに受動の助動詞「つかる」が結びつき、「目上の人から言いつけられる」という意味が生まれました。平安時代頃から使われ始めたとされ、貴族社会で上位者からの指示を受ける際の丁寧な表現として発達しました。もともと「仰す」という動詞があり、その命令形「仰せ」が独立して名詞化し、さらに「つかる」(受ける)と結合して現在の形になったのです。
こうした由緒正しい表現を適切に使えると、教養の深さが伝わりますね!
仰せつかるの豆知識
面白い豆知識として、「仰せつかる」は現代でも皇族や非常に格式高い場面で使われることがあります。また、時代劇や歴史小説では頻繁に登場する表現で、武士が主君から命令を受けるシーンなどで耳にします。ビジネスシーンでは、取引先の重役から直接指示を受けたときなど、特に格式を重んじる場面で使われる傾向があります。ただし、最近ではやや堅苦しい印象を与えることもあるため、若手ビジネスパーソンは別の表現を使うことも多いようです。
仰せつかるのエピソード・逸話
有名なエピソードとして、元総理大臣の田中角栄氏が若手議員時代に、当時の大物政治家から「お前、次の選挙であの地区を仰せつかることになるかもしれん」と言われたという話があります。この言葉を受けて田中氏は大きな使命感を抱き、その後見事に当選を果たしたという逸話が残っています。また、歌舞伎役者の市川海老蔵さんが、父親である團十郎さんから「この役を仰せつかるのはお前が初めてだ」と言われ、伝統の重みを感じたというインタビューも有名です。
仰せつかるの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「仰せつかる」は尊敬語と謙譲語の要素を併せ持つ特殊な表現です。動作主(命令する側)を高める尊敬語的性質と、話し手(命令を受ける側)がへりくだる謙譲語的性質の両方を持っています。これは日本語の敬語体系の中でも比較的珍しいタイプに属します。また、文法上は「仰せ」が名詞でありながら動詞のように機能する点も特徴的です。歴史的には、室町時代から江戸時代にかけて武家社会で発達した表現で、上下関係が厳格な社会構造を反映していると言えるでしょう。
仰せつかるの例文
- 1 社長から急な出張を仰せつかって、週末の予定が全部パーになっちゃった…これ、あるあるですよね。
- 2 先輩から「君に任せる」と大事なプレゼン資料作成を仰せつかったはいいけど、締切が明日朝一番って…聞いてないよー!
- 3 部長から「お前がやってくれ」と厄介なクレーム対応を仰せつかるのは、なぜかいつも私の番のときなんですよね。
- 4 「このプロジェクトのまとめ役を仰せつかるよ」と言われたときのあの複雑な嬉しさとプレッシャー、分かる人には分かります!
- 5 上司から急に「帰りにちょっと寄って」と仰せつかるときって、だいたい残業確定の予感しかしないんですよね…。
「仰せつかる」の使い分けポイント
「仰せつかる」を使う際の重要なポイントは、状況や相手に応じて適切に使い分けることです。特にビジネスシーンでは、格式張りすぎず、かといってカジュアルすぎないバランスが求められます。
- 格式を重んじる場面(取締役会、公式行事など)では積極使用
- 日常的な業務連絡では「任されました」「担当することになりました」が自然
- 社外との会話では自社の人間に対して使わない
- メールでは件名や重要な部分で効果的に使用
特に若手社員の場合は、まずは上司や先輩の使い方を観察して、職場の文化に合わせた使い方を身につけることが大切です。
関連用語と比較
| 用語 | 意味 | 使用場面 |
|---|---|---|
| 仰せつかる | 目上の人から指示を受ける(尊敬語的) | 格式ある場面、重要な任務 |
| 拝命する | 命令を受ける(謙譲語的) | 公的な任命、役職就任 |
| お引き受けする | 引き受ける(丁寧な表現) | 一般的なビジネスシーン |
| 任される | 任せられる(中立な表現) | 日常的な業務指示 |
これらの表現は微妙なニュアンスの違いがありますが、基本的に「仰せつかる」は最も格式が高く、特別な任務や重要な役割を引き受ける際に適しています。
歴史的背景と現代での位置づけ
「仰せつかる」は元々、武家社会や宮中で発達した表現です。江戸時代には、武士が主君から命令を受ける際の正式な表現として確立されました。明治時代以降、ビジネス社会にも取り入れられ、現在では特に伝統的な企業や格式を重んじる業界でよく使われています。
言葉は時代と共に変化するが、由緒正しい表現を大切にすることは、日本の文化を守ることにもつながる
— 国語学者 金田一京助
現代では、特に若い世代にとってはやや堅苦しく感じられることもありますが、適切な場面で使えると、教養の深さや相手への敬意を効果的に伝えることができます。
よくある質問(FAQ)
「仰せつかる」はどんな場面で使うのが適切ですか?
「仰せつかる」は、主にビジネスシーンや公式の場で、上司や目上の方から指示や命令を受けるときに使います。例えば、重要なプロジェクトを任された時や、格式を重んじる場面での役割を引き受ける時などに適しています。日常会話で使うと堅苦しすぎる印象を与えることもあるので、状況に応じて使い分けるのがおすすめです。
「仰せつかる」と「命じられる」の違いは何ですか?
「仰せつかる」は敬意が込められた尊敬語的な表現で、目上の人からの指示を受けることへの謙遜や感謝の気持ちが含まれます。一方、「命じられる」はより直接的な命令を受けるニュアンスで、格式ばった場面では「仰せつかる」の方が適切です。ビジネスでは「仰せつかる」を使うことで、上下関係を尊重した丁寧な印象を与えられます。
「仰せつかる」を社外の人に使っても大丈夫ですか?
社外の人に対して自社の上司について「社長が仰せつかりまして」などと使うのは避けるべきです。これは身内を敬う表現になるため、外部の人に対しては失礼にあたることがあります。社外の方には「指示を受けまして」や「お引き受けしました」など、より中立な表現を使うのが適切です。
「仰せつかる」の類語にはどんなものがありますか?
「仰せつかる」の類語としては、「お言葉に甘える」「お引き受けする」「拝命する」「任される」などがあります。ただし、それぞれニュアンスが異なり、「拝命する」は特に公的な任命を受ける場合に、「お引き受けする」はより一般的なビジネスシーンで使われる傾向があります。状況に応じて適切な表現を選びましょう。
若手社員が「仰せつかる」を使うのは不自然ですか?
若手社員が使っても不自然ではありませんが、格式張った印象を与える可能性があります。特に最近のカジュアルな職場環境では、「任されました」や「担当することになりました」といった自然な表現の方が適している場合もあります。まずは職場の雰囲気や先輩の使い方を観察して、適切な表現を選ぶのが良いでしょう。