翻るとは?翻るの意味
「ひるがえる」と読み、以下の3つの意味を持つ。1. 反対の面が出る、さっと裏返しになる 2. ひらひらと動く 3. 今までの態度や言動が急に変わる
翻るの説明
「翻る」は、風になびく旗や落ち葉の動きを表現するだけでなく、人の心の変化や態度の急転も表せる豊かな言葉です。漢字の「翻」は「番(種まき)」と「羽(鳥の翼)」から成り立ち、鳥が羽を広げてひるがえる様子をイメージさせます。使い方のポイントは、物理的な動きの場合は「旗が翻る」のように広がりを持つものに使うこと、比喩的な意味では「急激な変化」に限定すること。類語には「覆る」や「手のひらを返す」などがあり、関連表現として「反旗を翻す」「翻って」といった慣用句も覚えておくと表現の幅が広がります。
風に揺れる旗も、人の心の変化も、同じ言葉で表現できるなんて日本語って面白いですね!
翻るの由来・語源
「翻る」の語源は、漢字の「翻」自体に由来します。「翻」は「番(種をまく動作)」と「羽(鳥の翼)」が組み合わさった漢字で、もともと鳥が羽を広げてひるがえる様子、つまり空中で羽ばたきながら方向を変える動作を表していました。この物理的な動きから、物が裏返る様子、さらに転じて人の態度や意見が急に変わる比喩的な意味へと発展しました。古くは『万葉集』など古典文学でも使われており、日本語の中で長い歴史を持つ表現の一つです。
一つの言葉がこれほど多彩な意味を持っているなんて、日本語の深さを感じますね!
翻るの豆知識
「翻る」と「翻す」は同じ語源ですが、自動詞と他動詞の違いがあります。また、この言葉はスポーツ中継でよく使われるのをご存知ですか?特にサッカーやバスケットボールで、試合の流れが一瞬で逆転する様子を「ゲームの趨勢が翻る」と表現します。さらに天気予報でも、天候が急変する様子を「天気が翻る」と言うことがあり、日常生活の様々な場面で使える便利な言葉なんです。
翻るのエピソード・逸話
戦国時代の武将、豊臣秀吉は「城攻めの名人」として知られていますが、彼の代表的なエピソードに「水攻め」があります。備中高松城の戦いでは、湿地帯に堤防を築いて城を水没させるという奇策で、状況を一気に自軍有利に翻しました。また現代では、プロ野球の長嶋茂雄元監督が現役時代、逆転ホームランを打った際に「風が吹けば桶屋が儲かるじゃないけど、風が吹いたらボールが翻ると思ってた」と語ったという逸話が残っています。
翻るの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「翻る」は日本語のオノマトペ(擬態語)の影響を受けた興味深い例です。「ひらひら」「ひるひる」といった擬態語が動詞化した可能性が指摘されています。また、自動詞「翻る」と他動詞「翻す」のペアは、日本語の自他動詞の対応体系を典型的に示しています。歴史的には、平安時代から使われていたことが文献で確認でき、時代とともに意味が拡張してきたことが分かります。現代日本語では、物理的な動作から抽象的な変化まで幅広く使える、多義語の良い例と言えるでしょう。
翻るの例文
- 1 強い風が吹いた瞬間、洗濯物がひっくり返ってしまい、せっかく干したタオルがすべて翻って地面に落ちてしまった。
- 2 会議で賛成すると発言したばかりなのに、上司の一言で意見が翻り、結局反対派につくことになってしまった。
- 3 春先の強い風でスカートが翻ってしまい、慌てて押さえるのが毎年の恒例行事のようになっている。
- 4 子どもの頃は嫌いだった野菜が、大人になってから好みが翻り、今では大好物になっている。
- 5 試合終了間際の同点ゴールで試合の流れが翻り、あっという間に逆転勝ちしてしまった。
「翻る」の使い分けと注意点
「翻る」を使う際には、文脈に応じた適切な使い分けが重要です。物理的な動きを表す場合と、比喩的な意味で使う場合では、ニュアンスが大きく異なります。
- 旗や布など、ある程度の広がりを持つものに使用する
- 風などの自然な力によって動く様子を表す
- 「ひらひら」「ふわふわ」という軽やかな動きをイメージする
- 急激な変化や転換を表す場合に適している
- ゆっくりとした変化には不向き
- 好転・悪化のどちらの場合にも使用可能
関連用語と表現
「翻る」には多くの関連用語があり、状況に応じて使い分けることで表現の幅が広がります。
| 用語 | 読み方 | 意味 | 使用例 |
|---|---|---|---|
| 翻す | ひるがえす | 意図的に裏返す | ページを翻す |
| 翻って | ひるがえって | 反対に、別の面から | 翻って考えると |
| 反旗を翻す | はんきをひるがえす | 謀反を起こす | 部下が反旗を翻す |
風に翻る旗は、自由の象徴のように見える
— 三島由紀夫
歴史的な背景と文化的な意味
「翻る」という言葉は、日本の歴史や文化の中で特別な意味を持って発展してきました。特に戦国時代から現代に至るまで、様々な文脈で使用されてきました。
- 戦国時代:武将の旗印が風に翻る様子は戦場の風物詩
- 江戸時代:歌舞伎や文楽で衣装が翻る様子が演出に活用
- 現代:スポーツの試合で流れが変わることを「ゲームが翻る」と表現
この言葉は、物理的な動きから精神的な変化まで、多様な局面を表現できる日本語の豊かさを象徴しています。
よくある質問(FAQ)
「翻る」と「翻す」の違いは何ですか?
「翻る」は自動詞で物が自然にひっくり返る様子を表し、「翻す」は他動詞で誰かが意図的に物をひっくり返す動作を表します。例えば「旗が風で翻る」は自然現象ですが、「ページを翻す」は人の動作です。
「翻る」を使うときの注意点はありますか?
物理的な動きを表す場合は、旗や布など広がりを持つものに使うのが適切です。また、比喩的に使う場合は「急激な変化」に限定し、ゆっくりした変化には使いません。動作の細かさを表す語と一緒に使うのも避けましょう。
「翻る」と「ひらひらする」は同じ意味ですか?
似ていますが完全には同じではありません。「翻る」は風を受けて大きく動く様子を強調し、「ひらひらする」は軽やかに小刻みに動く様子を表します。「翻る」の方がダイナミックな印象があります。
ビジネスシーンで「翻る」を使うことはありますか?
はい、特に「態度が翻る」「方針が翻る」のように、意見や決定が急に変わる様子を表すときに使われます。ただし、ネガティブな変化を暗示することもあるので、使用する文脈には注意が必要です。
「翻る」の類語にはどんなものがありますか?
物理的な意味では「なびく」「たなびく」「ひっくり返る」、比喩的な意味では「覆る」「急変する」「手のひらを返す」などが類語です。状況に応じて適切な表現を選びましょう。