睥睨とは?睥睨の意味
相手や周囲をにらみつけて威圧し、勢いを示すこと。また、横目でじろりとにらむことを意味します。
睥睨の説明
「睥睨」は「へいげい」と読み、権力者やリーダー的な立場の人物が、周囲を威圧するようににらみつける様子を表します。漢字の「睥」は身体をかがめて上を覗き見ること、「睨」は下方からにらみつけることを意味し、もともとは城の高い垣根から敵の様子を窺う様子から転じた言葉です。現代では、監督が選手を睥睨する、社長が社員を睥睨するなど、強い立場の人物が周囲を圧倒する眼光や態度を表現する際に用いられます。
なかなか日常では使わない言葉だけど、知っておくと文章の表現がぐっと深まるね!
睥睨の由来・語源
「睥睨」の語源は古代中国の城郭建築に遡ります。「睥」は城壁の上部に設けられた狭間(さま)や覗き穴を指し、敵の動きを監視する場所を意味しました。「睨」は鋭い眼光でにらみつける行為を表します。つまり、城壁上から敵を睨みつけて監視する様子から、威圧的に見下ろす・睨みつけるという意味が生まれました。この言葉は『史記』などの古典にも登場し、権力者が周囲を威圧する様子を表現する際に用いられてきました。
なかなか使う機会は少ないけど、知っているとカッコいい言葉だよね!
睥睨の豆知識
睥睨は現代ではあまり使われない言葉ですが、戦国時代の武将・織田信長のエピソードなどでしばしば引用されます。また、この言葉が使われる場面の多くは権力者やリーダーが周囲を圧倒する眼光を放つ様子で、実際に「睥睨する眼光」という表現が文学作品でよく用いられます。面白いのは、この言葉が単なる「にらむ」ではなく、上から見下ろすような高所からの視線を含意している点で、物理的な位置関係までを含んだ豊かな表現なのです。
睥睨のエピソード・逸話
徳川家康は関ヶ原の戦いの際、桃配山(ももくばりやま)から戦場全体を睥睨したと言われています。その眼光は非常に鋭く、家臣たちも恐れて近づけなかったという逸話が残っています。また、現代ではプロ野球の長嶋茂雄元監督が若手時代、バッターボックスで投手を睥睨するような鋭い眼光で見据え、相手投手を威圧していたというエピソードも有名です。ビジネスの世界では、ソフトバンクの孫正義氏が重要な会議で沈黙しながら周囲を睥睨する姿が関係者から語られており、その眼光の鋭さは「孫睥睨」とも呼ばれるほどでした。
睥睨の言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「睥睨」は漢語由来の熟語で、ともに「目」を部首とする漢字で構成される点が特徴的です。この言葉はサ変動詞として「睥睨する」の形で用いられることが多く、文語的な響きを持ちます。現代日本語ではやや古風な印象を与えるため、使用頻度は低いですが、文学作品や歴史解説文では依然として重要な表現として機能しています。また、この言葉は視覚的威圧の概念を極めて具体的に表現しており、日本語の豊かな表現力の一端を示す好例と言えるでしょう。
睥睨の例文
- 1 プレゼン中、上司がじっと睥睨しているのが背中で感じられ、冷や汗が止まらなかった経験、ありますよね。
- 2 試験監督の先生が教室中を睥睨しながら歩き回るあの緊張感、学生時代の誰もが通る道です。
- 3 大事な商談で、相手の重役が黙ったまま睥睨してくるだけで、なぜかこちらの弱みが全部見透かされている気がするあの感覚。
- 4 子供が悪さをしたとき、親が一言も発せずに睥睨するだけで、すべてがバレていると悟るあの瞬間。
- 5 会議で意見を求められたとき、周囲が睥睨する中で発言するあのプレッシャー、社会人あるあるです。
「睥睨」の使い分けと注意点
「睥睨」は強い威圧感や支配的な立場を強調したい場合に適していますが、使用する場面には注意が必要です。特に現代のビジネスシーンでは、パワハラと捉えられる可能性があるため、慎重に使い分ける必要があります。
- 文学的表現や比喩として使う場合は問題ない
- 実際の人間関係を描写する際は、権力関係を明確にすること
- 日常会話ではほぼ使われないため、使用時は説明を添えると良い
- 目上の人に対して使う場合は特に注意が必要
関連用語と表現
| 用語 | 読み方 | 意味 | 違い |
|---|---|---|---|
| 睥睨 | へいげい | 上から見下ろすように威圧的に睨む | 物理的な高所からの視線を含意 |
| 威圧 | いあつ | 威勢や権力で相手を圧倒する | より広範な圧迫方法を含む |
| 監視 | かんし | 注意して見張ること | 威圧的なニュアンスは薄い |
| 見下す | みくだす | 優越感を持って見る | 軽蔑の意味が強い |
眼光人を睥睨するが如し
— 吉川英治『宮本武蔵』
歴史的背景と文化的意味
「睥睨」は中国の古典『史記』や『漢書』などにも登場する古い言葉で、もともとは軍事用語として発展しました。城壁上から敵を監視する行為を指し、権力と支配の象徴的な行為として認識されていました。
日本では武士社会で重視され、戦国時代の武将たちの必須のスキルとされました。現代では物理的な城壁はなくなりましたが、組織や社会における「見える権力」の表現として、この言葉は生き続けています。
よくある質問(FAQ)
「睥睨」の正しい読み方は何ですか?
「睥睨」は「へいげい」と読みます。どちらの漢字も日常的に使わない難しい漢字なので、読み方を間違える人が多い言葉です。
「睥睨」と「威圧」の違いは何ですか?
「睥睨」は主に眼光や視線による威圧を指し、特に上から見下ろすようなニュアンスを含みます。一方「威圧」はより広い意味で、態度や言動全体による圧迫を表します。
日常生活で「睥睨」を使う場面はありますか?
日常会話で使うことは稀ですが、上司が部下を睨みつける様子や、先生が教室を見渡すときの眼光など、権力関係のある場面で使われることがあります。
「睥睨」を使った良い例文はありますか?
「部長は会議中、黙って参加者を睥睨していた」や「監督はベンチ前から相手チームを睥睨し、威圧感を与えていた」などの使い方ができます。
「睥睨」の類語にはどんな言葉がありますか?
「睨みを利かせる」「監視する」「見下す」「眼光鋭く見る」などが類語として挙げられます。状況に応じて使い分けると良いでしょう。