「糾弾」とは?意味や使い方から類語・英語表現まで徹底解説

ニュースでよく耳にする「糾弾」という言葉、具体的にどんな場面で使われるのか気になったことはありませんか?政治家の不正や企業の不祥事を報じる記事で見かけるこの言葉、実は特定の状況でしか使われない重要なニュアンスを含んでいるんです。

糾弾とは?糾弾の意味

罪状や失敗、責任などを問いただして厳しく非難すること

糾弾の説明

「糾弾」は「きゅうだん」と読み、特に集団が個人や組織を厳しく追及する場面で使用されます。漢字の「糾」は問いただす意味を持ち、「弾」は罪をただす意味があります。1922年の水平社運動で初めて使われた比較的新しい日本語で、英語では「denounce」や「blame」に相当します。重要なのは、個人間の責め合いではなく、多数が少数を組織的に非難する状況で用いられる点です。マスコミが政治家を追及するときや、市民団体が企業の責任を問うときなど、社会的な批判の文脈でよく使われる表現です。

社会的な不正に対して声を上げる際の強い表現として、現代でも重要な役割を果たしていますね。

糾弾の由来・語源

「糾弾」の語源は中国の古典に遡ります。「糾」は「糸をより合わせる」意味から転じて「間違いを正す」「取り締まる」という意味に発展しました。「弾」は「弓を射る」動作から「非難する」「責める」意味を持ちます。これらが組み合わさり「間違いを正し厳しく非難する」という現在の意味になりました。1922年の水平社宣言で初めて現代的な意味で使用され、それ以降社会的な批判表現として定着しました。

社会的な不正に対して声を上げる大切さを教えてくれる言葉ですね。

糾弾の豆知識

面白いことに「糾弾」は日本で生まれた新しい漢語の一つです。大正時代までは「弾劾」が一般的でしたが、「弾劾」が「壊す」というネガティブなイメージが強かったため、より適切な表現として「糾弾」が考案されました。現在では法律用語として「弾劾」、一般的な社会的批判として「糾弾」と使い分けられるようになり、日本語の表現の豊かさを示す好例となっています。

糾弾のエピソード・逸話

2017年、森友学園問題をめぐり安倍晋三首相夫人の昭恵夫人が国会で証人喚問された際、野党議員から厳しい糾弾を受けました。また、2020年の東京オリンピック組織委員会会長の女性差別発言では国内外から激しい糾弾が寄せられ、辞任に追い込まれる事態となりました。これらの事例は「糾弾」が社会的な圧力として機能する典型例です。

糾弾の言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「糾弾」は漢語由来の二字熟語でありながら、日本で独自の発展を遂げた和製漢語的な側面を持ちます。社会的な批判表現として機能する点で、英語の"denunciation"やフランス語の"dénonciation"と類似するが、集団による組織的な非難というニュアンスが強いのが特徴です。また、個人間の非難には使用されず、あくまで社会的・公共的な文脈で用いられる点が、日本語ならではの用法と言えます。

糾弾の例文

  • 1 SNSで有名人の不正が発覚すると、たちまちネットユーザーたちから激しい糾弾の声が上がり、炎上状態になりました
  • 2 会社のパワハラ問題が明るみに出たとき、社内の若手社員たちが結束して上司の行為を糾弾する声を上げました
  • 3 環境汚染を繰り返す大企業に対し、市民団体が本社前で糾弾の抗議活動を展開しているのをニュースで見ました
  • 4 保育園の待機児童問題について、若い母親たちが市役所前で行政の対応の遅れを糾弾する集会を開いていました
  • 5 食品会社の偽装表示が発覚した際、消費者団体が一斉に商品ボイコットと糾弾のキャンペーンを始めました

「糾弾」の正しい使い分けと注意点

「糾弾」を使用する際の重要なポイントは、個人間の非難には使わないことです。上司が部下を叱る場合や、友人間のトラブルでは「注意」「叱責」「批判」などの表現が適切です。糾弾はあくまで社会的な文脈で、多数が組織的に非難する場合に限定されます。

  • 個人対個人の非難には使用不可
  • 社会的に重大な問題が対象
  • 組織的な批判であることが前提
  • 法的な手続きを伴わないことが多い

関連用語との比較

用語意味使用場面
糾弾集団が罪状を問いただして非難社会的な不正への批判
弾劾公職者の罷免を求める法的措置裁判や議会での手続き
非難欠点や過ちを責めること個人間の批判全般
批判物事の良し悪しを判断すること広範な評価や評論

歴史的な背景と現代的な意義

「糾弾」が日本で定着したのは大正時代の水平社運動がきっかけです。当時は被差別部落への差別に対し、組織的な抗議活動としてこの言葉が用いられました。現代ではSNSの発達により、一般市民が企業や公人を糾弾する力が強まり、社会的な監視機能として重要な役割を果たしています。

糾弾は社会的な不正に対する市民の声であり、民主主義社会における健全な批判精神の表れです

— 社会言語学者

よくある質問(FAQ)

「糾弾」と「非難」の違いは何ですか?

「非難」は個人が相手の欠点を責めることですが、「糾弾」は集団が組織的に罪や責任を問いただして厳しく非難する点が異なります。糾弾は社会的な文脈で使われることが多いです。

「糾弾」は個人対個人でも使えますか?

基本的には使えません。糾弾は多数が少数を組織的に非難する場合に用いられる言葉で、個人間の責め合いには「叱責」や「注意」などの表現が適切です。

「糾弾」の英語表現は何ですか?

「denounce」や「condemn」が近い表現です。名詞では「denunciation」が使われ、公的な非難や批判を意味します。

「弾劾」と「糾弾」はどう使い分けるのですか?

「弾劾」は法律用語として公職者の罷免を求める手続きを指し、「糾弾」は社会的・道義的な批判を表す一般的な表現として使い分けられています。

糾弾されるような行為にはどんなものがありますか?

汚職や不正、差別行為、環境破壊、企業の不祥事など、社会的に許容できないと判断される行為が糾弾の対象となります。特に公人や大企業の不適切な行為が対象になりやすいです。