講じるとは?講じるの意味
問題解決のための手段を考え、実際に実行すること。また、講義をすること。
講じるの説明
「講じる」は主に「対策を講じる」のように、何らかの問題に対して具体的な解決策を考え、それを実施するという意味で使われます。例えば、企業が売上減少に対して新しいマーケティング戦略を実行する場合などが該当します。また、本来の意味として「講義をする」という用法もありますが、現代ではこちらの意味で使われることは少なく、どちらかと言えば堅い印象のある表現です。類語には「計する」「策する」などがありますが、これらは計画を立てる段階までを指し、実際の実行までは含まない点が「講じる」との大きな違いです。
「講じる」は計画だけでなく実行まで含む点がポイントですね!
講じるの由来・語源
「講じる」の語源は、中国から伝わった漢字「講」に由来します。「講」は元々「話し合う」「説明する」という意味を持ち、日本では平安時代頃から使用され始めました。時代とともに意味が拡大し、中世以降には「手段を考える」「対策を立てる」という現在の意味合いが加わりました。もともとは学問的な文脈で使われることが多かったのですが、武家社会で戦略を練る際にも用いられるようになり、現代的なビジネスシーンでの用法へと発展していきました。
時代を超えて愛される策略の言葉ですね!
講じるの豆知識
面白い豆知識として、「講じる」と「講ずる」は実は同じ意味ですが、使い分けに世代差があります。年配の方は「講ずる」を好んで使う傾向があり、若い世代では「講じる」がより自然に受け止められることが多いです。また、法律文書や公文書では現在でも「講ずる」が優先して使用されることが多く、これは戦前の文語体的な表現の名残と言えるでしょう。さらに、「対策を講じる」という表現は経済ニュースで最も頻繁に登場するフレーズの一つでもあります。
講じるのエピソード・逸話
豊臣秀吉は水攻めで有名な備中高松城の戦いにおいて、独自の対策を講じたことで知られています。通常の攻城戦ではなく、周囲に堤防を築いて城を水没させるという画期的な方法を講じ、兵士の損害を最小限に抑えながら勝利を収めました。また現代では、ソフトバンクの孫正義氏が事業拡大において常に新しい戦略を講じ続け、業界の常識を覆してきたことが有名です。特にボーダフォン買収時には、巨額のリスクを冒しながらも周到な対策を講じ、見事に成功させています。
講じるの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「講じる」はサ行変格活用動詞「講ずる」の口語形として発達しました。日本語の動詞には、文語から口語へ移行する過程で「〜ずる」から「〜じる」へ変化するパターンが多く見られます(例:論ずる→論じる、信ずる→信じる)。この変化は、発音のしやすさと表現の柔軟性を求めた自然な言語進化の一例です。また、「講じる」は他動詞として機能し、目的語を必要とする点が特徴的です。社会的には、計画性や戦略性を強調する語として、特に組織的な文脈で好んで使用される傾向があります。
講じるの例文
- 1 締切直前になって、徹夜で対策を講じた経験、誰にでもありますよね。
- 2 子どものスマホ依存が心配で、使用時間制限という手段を講じた親御さんは多いはず。
- 3 急な雨に傘がない!コンビニのビニール袋で即席レインコートを講じるのはあるあるです。
- 4 リモートワーク中の運動不足解消に、階段の上り下りを運動代わりに講じている人、きっと多いです。
- 5 予算オーバーしそうなとき、なんとか節約策を講じるのが主婦の知恵というものです。
「講じる」と類語の使い分けポイント
「講じる」には多くの類語がありますが、それぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。適切に使い分けることで、より正確な表現が可能になります。
| 言葉 | 意味 | 使用場面 | ニュアンス |
|---|---|---|---|
| 講じる | 計画を立てて実行する | ビジネス、公式文書 | 計画的で正式な対応 |
| 実施する | 実際に行う | プロジェクト、計画 | より具体的な実行 |
| 実行する | 実際に行動に移す | 個人の行動 | 即時性のある行動 |
| 措置をとる | 対応策を講ずる | 緊急時、公的対応 | 緊急性・公的性質 |
特に「講じる」は、事前の計画や検討を経た上での実行という意味合いが強く、単なる「する」「行う」よりも戦略性や意図性が感じられる表現です。
使用時の注意点とよくある間違い
「講じる」を使う際には、いくつかの注意点があります。誤用を避けるために、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 「講じる」は他動詞なので、必ず目的語が必要です(例:❌「講じた」→ ⭕「対策を講じた」)
- 「講ずる」と「講じる」は意味は同じですが、公式文書では「講ずる」が好まれる傾向があります
- 「講義を講じる」は重言(冗長な表現)になるため、通常は「講義をする」が自然です
- カジュアルな会話では「講じる」は堅苦しく聞こえることがあるため、状況に応じて使い分けましょう
言葉は生き物である。時代とともに変化し、使い手によって新たな命が吹き込まれる。
— 金田一春彦
歴史的な変遷と現代での使われ方
「講じる」は時代とともにその使われ方を変化させてきました。元々は学問的な文脈で使用されていましたが、現代ではビジネスや政策の分野で頻繁に使われるようになりました。
- 平安時代:主に学問的な講義や説明を指して使用
- 鎌倉・室町時代:武家社会で戦略や策を練る意味が加わる
- 江戸時代:学問と実務の両方で使用されるように
- 明治時代:近代化の中で公文書や法律用語として定着
- 現代:ビジネス用語として一般化、特に「対策を講じる」が頻出
特に1990年代以降のビジネスシーンでの使用頻度が急増しており、問題解決型の思考が重視される現代社会を反映していると言えるでしょう。
よくある質問(FAQ)
「講じる」と「講ずる」はどちらが正しいですか?
どちらも正しい日本語です。「講ずる」は文語的な響きがあり、公文書や法律文書で使われる傾向があります。一方、「講じる」は口語的で日常会話やビジネスシーンでより自然に使われます。意味に違いはありませんので、場面に応じて使い分けると良いでしょう。
「対策を講じる」と「対策を立てる」の違いは何ですか?
「対策を立てる」は計画を考える段階までを指すのに対し、「対策を講じる」は計画を考え、実際に実行に移すところまでを含みます。つまり、「講じる」には「実施する」という行動の要素が強く含まれている点が大きな違いです。
「講じる」を英語で表現するとどうなりますか?
状況に応じて様々な表現が可能です。例えば「take measures」(対策を講じる)、「devise a plan」(計画を講じる)、「give a lecture」(講義を講じる)などが適切な訳となります。文脈に合わせて適切な英語表現を選びましょう。
「講じる」を使った具体的なビジネス例文を教えてください
「売上減少に対し、新たなマーケティング戦略を講じる」「顧客満足度向上のために、迅速な対応体制を講じる」「コスト削減策として、業務の効率化を講じる」などがビジネスシーンでよく使われる表現です。問題解決のための具体的な行動を表す際に適しています。
「講じる」の類語と使い分けはどうすればいいですか?
主な類語には「実施する」「実行する」「措置をとる」などがあります。「実施する」はより形式的、「実行する」は個人的な行動、「措置をとる」は公的な対応というニュアンスの違いがあります。「講じる」は特に計画性や戦略性が強調された表現として使い分けると効果的です。