「一周回って」とは?意味や使い方をご紹介

最近「一周回って」という言葉をよく聞きますよね。この言葉は「一度ぐるりと回ってくる」という意味なのですが、それだけでなく、人の様々な心情が込められています。ここでは「一周回って」の使用例を見ながら、隠された心情を読み取ってみましょう!

目次

  1. 「一周回って」の意味
  2. 「一周回って」の使用例
  3. 「一周回って」はズバッと言えない心情のあらわれ

「一周回って」の意味

「一周回って」と聞くと、子どものころに校庭のグラントを走って回ったことを思い出す人もいるでしょう。でも最近使われている「一周回って」は、実際に動いて回ることではなく、時間や経験で一周回るということなのです。

「考え方が180度変わる」という言い方がありますが、これは180度回った状態、真逆の位置になることから「考えが正反対に変わる」ということですね。

「一周回って」は、360度回ってまたもとの位置に戻った状態、「同じ考えに戻る」ということなのです。

「一周回って」の使用例

「一周回って」という言葉が使われるとき、人はその言葉に様々な気持ちを込めています。例文からその心情を読み取ってみましょう。

「やっぱり〇〇が一番!」の気持ち

【一周回ってまた〇〇のところに戻ってきちゃった】

例えばアイドルを推すとき、最初はA子のことが好きだったけどB子に変えて、しばらくA子から離れていたとします。

でも時間が経ってA子を見てみると、またA子の良さを感じます。ほかのアイドルも見たけど、やっぱりA子が良いというとき、「一周回ったけどA子が好き」となります。

恋愛でも別れてから数年後に元カノに会うと、元カノの良さに気が付いて、また付き合い始めることがありますよね。「いろいろあったけどお前が一番」と、またもとに戻るのが「一周回って」です。

「いろいろ経験したぜ」の気持ち

【一周回って見つけた最強キャラだ】

単に良いなと思っただけではなく、たくさんのものと比較したり吟味したりしてきたのだという、自分の経験や努力を伝えたいときにも「一周回って」が使われます。

この場合、発言者は対象となるものに自信を持っています。太鼓判を押しているのです。「経験と試行錯誤の末に」というニュアンスの「一周回って」です。

「古いものの中に新しいものを見つけたよ!」の気持ち

【このバッグ、一周回ってオシャレだよね】

昔流行ったもの、今では時代遅れのファッションや音楽などの中に、良いものを見つけたときにも「一周回って」を使います。

昔の流行が復活したり、再評価されることを「リバイバル」といいますが、ちょうどそれが自分のなかだけで起きたような感覚とでも表現すべきでしょうか。この「一周回って」には、「時代遅れが新しい」という気持ちが込められています。

「逆に良いよね!」の気持ち

【一周回って笑っちゃう!】

「何それ、変よね」と思っても、おもしろくて笑ってしまうときなど、素直に良いと思えなくてもそれを受け入れるときに使われます。

一般的には良くないと評されるような発言でも、「なるほど」と思わせるような核心をついた発言だった場合、「一周回って」という表現を使って認められる場合もあるのです。

例えばゲス不倫でニュースになったある歌手が「誰に謝罪すればいいの?」と生意気ともとられる発言をしましたが、掲示板では「一周回って素晴らしい」という声があがったそうです。

この場合の「一周回って」は、俗語としての「逆に」と同じ用いられ方です。一周=360度ですから、厳密には「逆」ではないはずなのですが、用法としては定着しています。「そういうのもありかな」という気持のあらわれでしょう。

「一周回って」はズバッと言えない心情のあらわれ

「一周回って」という言葉を使う人の中には、ズバッと本当の気持ちを言いにくいから使っている人もいます。

たとえば、本音では「面白くない」と思っていても、素直にその気持ちを口にすることは避けて、「一周回っておもしろいかも」と遠回りするような言い方をする場合です。この場合の「一周回って」は、「逆に」の意味ですね。

「逆位置=面白い」ということは、「正位置=面白くない」ということですから、「一周回っておもしろいかも」は「面白くない」の婉曲表現となるわけです。

こういった用法は、「無難な、批判を浴びにくい言葉選び」をする傾向にある現代人特有のものといえるのではないでしょうか。


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