成功裡とは?成功裡の意味
物事が問題なく、順調に成功した状態を表す表現
成功裡の説明
「成功裡」は「せいこうり」と読み、「成功裏」と同じ意味を持つ言葉です。「裡」や「裏」には「〜のうちに」という意味があり、つまり「成功のうちに」というニュアンスになります。主にイベントや行事、大規模なプロジェクトなどが無事に完了したことを伝える際に用いられ、報道や公式文書などでよく見られる格式のある表現です。ただし注意したいのは、「成功裡のうちに」という使い方は重複表現になってしまう点。すでに「うちに」の意味を含んでいるので、余計な修飾は不要です。現代では「成功裡」よりも「成功裏」と表記されることが多くなっていますが、どちらも同じ意味として理解されています。
格式ばった場面で使えると、知性のある印象を与えられそうですね!
成功裡の由来・語源
「成功裡」の「裡」は、もともと「衣」と「里」を組み合わせた漢字で、衣服の内側や縫い目の裏側を意味していました。そこから転じて、物事の内側や内部という意味を持つようになり、「成功の内側」つまり「成功している状態の中」というニュアンスで使われるようになりました。一方、「裏」は表面に対する反対側を表す字で、両者は似ているようで微妙にニュアンスが異なります。歴史的には「裡」がより内面的なニュアンスを持ち、「裏」は物理的な反対側を指す傾向がありましたが、現代ではほぼ同じ意味で使われています。
知っていると教養があるように見える、大人の日本語表現ですね!
成功裡の豆知識
面白いことに、「成功裡」は新聞や公式文書ではよく使われますが、日常会話ではほとんど使われない「書き言葉」的な表現です。また、この言葉が特に好まれる分野はスポーツ報道で、オリンピックや大きな大会の閉会式の報道では「大会は成功裡に終了しました」という表現が頻繁に使われます。さらに、ビジネス文書では「プロジェクトは成功裡に完了した」という表現が好まれ、プロジェクト成功の格式ある報告として定着しています。
成功裡のエピソード・逸話
元プロ野球選手の長嶋茂雄氏は、現役引退会見で「巨人軍での選手生活は、多くの方々の支えがあり成功裡に終えることができました」と述べました。また、小泉純一郎元首相はある国際会議の閉会挨拶で「今回の会議は成功裡に終了しましたが、これは各国代表の努力の賜物です」と発言し、格式ある場面での適切な使用例を示しています。ノーベル賞受賞者の山中伸弥教授も、iPS細胞研究の成功に関するインタビューで「研究が成功裡に進んだ要因は、チームの協力にあります」と語り、学術的な成果発表にもこの表現が使われることを示しました。
成功裡の言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「成功裡」は「成功」という漢語に「裡」という接尾辞的な要素が結合した複合語です。この「裡」や「裏」は、日本語において「〜の状態の中で」「〜の過程において」という様態を表す機能語として発達してきました。類似の表現には「秘密裡」「隠密裡」などがあり、これらはすべて「〜という状態・方法によって」という様態修飾の機能を持っています。また、この表現は漢文訓読の影響を受けており、文語的な響きを現代に残す貴重な言語資料と言えます。現代日本語ではやや格式ばった印象を与えるため、使用場面が限定されるという特徴もあります。
成功裡の例文
- 1 大きなプロジェクトが成功裡に終わった瞬間、チーム全員が安堵の笑顔を見せ合ったあの感覚、たまりませんよね。
- 2 文化祭の準備はトラブル続きだったのに、本番は成功裡に進行して、終わった後の達成感は最高でした。
- 3 転職活動が成功裡に決まったとき、今までの不安が一気に吹き飛ぶあの瞬間、誰もが経験したいと思うものです。
- 4 子どもの入学式が成功裡に終わり、写真を撮りながら「よくここまで育てたな」とじんわりくるあの感動。
- 5 長年計画していた旅行が成功裡に実現し、帰りの飛行機で充実感に浸るあの時間、たまらなく幸せですよね。
「成功裡」の使い分けと注意点
「成功裡」は格式ばった表現のため、使用する場面を選ぶ必要があります。ビジネス文書や公式なスピーチ、報道など改まった状況で使われることが多く、日常会話ではやや不自然に聞こえることがあります。
- 適切な場面:公式文書、ビジネス報告、式典のスピーチ、ニュース報道
- 不適切な場面:友人同士の日常会話、カジュアルなメール
- 注意点:「成功裡のうちに」は重複表現なので避ける
関連用語と表現
「成功裡」と似た構造を持つ表現には、以下のようなものがあります。いずれも「〜という状態・方法によって」という様態を表す格式ある表現です。
| 表現 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 秘密裡 | ひみつり | 秘密のうちに |
| 隠密裡 | おんみつり | 人に知られないように |
| 円満裡 | えんまんり | 争いなく穏やかに |
これらの表現は、すべて格式ばった文章や公式な場面で使われる特徴があります。
歴史的背景と現代での使用状況
「成功裡」という表現は、明治時代以降の文語体の影響を強く受けており、漢文訓読調の格式ある表現として発達してきました。戦前の公文書や新聞記事では頻繁に使用されていましたが、戦後の口語化の流れの中で使用頻度が減少しました。
言語は時代とともに変化するが、格式ある表現は儀礼的な場面で生き続ける
— 金田一春彦
現代では主に報道機関や官公庁の文書、企業の公式発表などで使用され、特に大きなイベントやプロジェクトの成功を伝える際の「決まり文句」として定着しています。デジタル時代においても、格式を重んじる場面ではこの表現が使い続けられています。
よくある質問(FAQ)
「成功裡」と「成功裏」はどちらが正しいですか?
どちらも正しい表現です。「裡」と「裏」は同じ意味で使われますが、現代では「成功裏」と書かれることが多くなっています。公文書や新聞などでは「成功裏」が優先して使われる傾向がありますよ。
「成功裡のうちに」という表現は間違いですか?
はい、間違いです。「裡」自体に「〜のうちに」という意味が含まれているため、「成功裡のうちに」は重複表現になってしまいます。正しくは「成功裡に」だけで十分です。
日常会話で「成功裡」を使っても大丈夫ですか?
格式ばった表現なので、日常会話では少し堅苦しく聞こえるかもしれません。友達同士の会話では「無事に成功した」「うまくいった」などの方が自然です。改まった場面や文章で使うのがおすすめです。
「成功裡」はどんな場面で使うのが適切ですか?
大きなイベントやプロジェクト、式典などが無事終了したことを報告する格式ある場面で使われます。例えば、結婚式のスピーチやビジネスの報告書、ニュースの報道などでよく見かけます。
「成功裡」の類語にはどんなものがありますか?
「円満に」「滞りなく」「問題なく」「順調に」などが類語として挙げられます。ただし、「成功裡」には「大きな物事が無事成功した」という格式あるニュアンスがある点が特徴的です。