「挫折」とは?意味や使い方を英語表現も含めて詳しく解説

人生で一度は経験する「挫折」。計画がうまくいかなかったり、夢や目標を諦めざるを得なかったり、そんな時に感じるあの複雑な気持ち。でも、そもそも「挫折」とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか?読み方や意味、英語表現まで詳しく解説していきます。

挫折とは?挫折の意味

計画や仕事が途中で失敗して駄目になること、またその結果として意欲や気力を失うことを表します。

挫折の説明

「挫折」は「ざせつ」と読み、文字通り「挫ける(くじける)」と「折れる」という二つの漢字が組み合わさった言葉です。これは単なる失敗ではなく、心が折れてやる気を失ってしまう状態までを含む深い意味を持っています。例えば、勉強について行けずに諦めてしまうことや、大きなプロジェクトが予想外の事態で頓挫してしまうことなど、様々な場面で使われます。英語では「failure」や「frustration」といった単語が近い意味を持ち、特に「frustration」は欲求不満や失望といったニュアンスを含む点で「挫折」に通じるものがあります。関連語としては「仕損ずる」や「不手際」などがあり、いずれも何かがうまくいかない状況を表しますが、「挫折」は特に心理的なダメージに焦点が当てられているのが特徴です。

挫折は誰にでも訪れるもの。大切なのはそこで終わらせず、どう立ち直るかですね。

挫折の由来・語源

「挫折」の語源は、それぞれの漢字が持つ意味に深く関連しています。「挫」という字は「くじける」という意味を持ち、物理的にも精神的にも力が弱まる様子を表します。一方、「折」は「おれる」という意味で、物が途中で断絶するイメージを示しています。これらが組み合わさることで、計画や意欲が途中で断ち切られ、くじけてしまう状態を表現する言葉となりました。もともとは物理的な破損を指すこともありましたが、次第に精神的な意味合いが強まっていき、現在のような心理的なニュアンスを持つようになりました。

挫折は終わりではなく、新たな始まりの合図かもしれませんね。

挫折の豆知識

面白いことに、「挫折」は日本語ではネガティブな意味合いが強いですが、海外では少し違った捉え方をされることがあります。例えば英語圏では「failure is not the opposite of success, it's part of success」(失敗は成功の反対ではなく、成功の一部である)という考え方があり、挫折を成長のプロセスとして前向きに捉える文化があります。また、心理学の分野では「有能な無力感」という概念があり、過去の挫折経験が現在の無力感につながることが研究で明らかになっています。さらに、脳科学的には挫折を経験すると脳内で新しい神経回路が形成され、同じ失敗を繰り返さないように学習するメカニズムが働くことも分かっています。

挫折のエピソード・逸話

トーマス・エジソンは電球を発明するまでに数え切れないほどの失敗を経験しました。ある記者に「千回も失敗してどう思う?」と聞かれた時、彼は「私は一度も失敗などしていない。千通りの方法で電球は光らないということを発見したのだ」と答えたという逸話は有名です。また、スティーブ・ジョブズは30歳の時に自身が創業したAppleから解雇されるという大きな挫折を味わいました。しかし彼は後に「人生で最高の出来事だった」と語り、この経験が後のピクサー設立やApple復帰につながりました。日本の有名人では、プロ野球のイチロー選手も高校時代に挫折を経験しており、当時は甲子園に出場できず、プロ野球のドラフトでもどの球団からも指名されませんでした。しかしこれらの挫折が後の大記録達成への原動力となったのです。

挫折の言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「挫折」はサ行変格活用(サ変活用)をする動詞としての性質を持っています。つまり「挫折する」という形で用いられ、未然形「挫折し」、連用形「挫折し」、終止形「挫折する」、連体形「挫折する」、仮定形「挫折すれ」、命令形「挫折しろ/せよ」と活用します。また、名詞としても機能し、「挫折を味わう」「挫折からの再生」などの表現が可能です。心理状態を表す言葉でありながら、具体的な行動や結果と結びついて使用される点が特徴的で、これは日本語の情緒的な表現の豊かさを示す好例と言えます。さらに、類義語として「失敗」「頓挫」「失意」などがありますが、それぞれニュアンスが異なり、「挫折」は特に心理的なダメージに焦点が当てられている点が言語学的に興味深い特徴です。

挫折の例文

  • 1 ダイエットを始めたはいいけど、3日目にケーキを見て挫折してしまった。
  • 2 新しい仕事に意気込んでいたのに、思っていたのと全然違って早くも挫折しそう。
  • 3 語学学習アプリで連続記録を100日目指していたのに、90日目でうっかり忘れて挫折…
  • 4 一念発起してジムに通い始めたけど、筋肉痛がひどくて1週間で挫折した経験ある。
  • 5 貯金すると決めたその日に、どうしても欲しいものが発売されて即挫折したことない?

挫折と類義語の使い分け

挫折にはいくつかの類義語がありますが、それぞれ微妙にニュアンスが異なります。適切に使い分けることで、より正確な表現が可能になります。

言葉意味使用場面
挫折計画が失敗し、意欲を失うこと長期的な目標が達成できなかった時
失敗物事がうまくいかないこと単発的なミスや不成功
頓挫途中で止まってしまうこと計画や交渉が途中で止まる
失意希望を失ってがっかりすること期待外れの結果に対する失望

例えば、受験に落ちた場合は「失敗」、その結果やる気を失ったら「挫折」、合格したのに入学できなくなったら「頓挫」というように使い分けられます。

挫折に関する心理学の知見

心理学では挫折について様々な研究が行われており、人間の成長にとって重要な要素として捉えられています。

  • 「学習性無力感」理論:繰り返し挫折を経験すると、やがて挑戦すること自体を諦めてしまう現象
  • レジリエンス(精神的回復力):挫折から立ち直る能力は訓練によって高められる
  • 成長マインドセット:挫折を「成長の機会」と捉える考え方の重要性
  • 脳科学の視点:挫折経験が神経回路を強化し、同じ失敗を繰り返さないように学習する

最も深い傷は、私たちに最も深い教訓をもたらす

— カール・ユング

現代の心理学では、挫折を単なるネガティブな体験ではなく、人間成長に不可欠なプロセスとして捉える傾向が強まっています。

文化的・歴史的な挫折観の変遷

挫折の捉え方は時代や文化によって大きく変化してきました。日本では特に戦後の経済成長期以降、挫折に対する見方が顕著に変化しています。

  1. 戦前:挫折は個人の努力不足や能力不足と見なされる傾向が強かった
  2. 高度経済成長期:社会の急激な変化により、環境要因による挫折が増加
  3. バブル期~現在:挫折を経験すること自体が珍しくなくなり、むしろ「挫折からの再生」が評価されるように
  4. 現代:多様な価値観の広がりとともに、挫折の定義そのものが多様化

特にインターネットの普及後は、挫折体験の共有が容易になり、個人の悩みが社会全体で共有されるようになりました。これにより、挫折を恥ずかしいことではなく、人間らしい自然な感情として捉える風潮が強まっています。

よくある質問(FAQ)

「挫折」と「失敗」はどう違うのですか?

「失敗」は単に物事がうまくいかなかった結果を指しますが、「挫折」はそれに加えて、やる気や意欲を失ってしまう心理状態までを含む点が大きな違いです。失敗しても再挑戦する気力がある場合は挫折とは言いません。

挫折から立ち直るためのコツはありますか?

小さな成功体験を積み重ねること、完璧主義を手放すこと、そして「失敗は学びのプロセス」と捉えるマインドセットが効果的です。また、信頼できる人に相談することで客観的な視点を得られることもあります。

挫折を英語で表現するにはどんな言葉がありますか?

「frustration」が最も近い表現で、欲求不満や失望といったニュアンスを含みます。他にも「failure」や「setback」も使われますが、文脈によってニュアンスが異なるので注意が必要です。

挫折しやすい人の特徴は何ですか?

完璧主義者や白黒思考の傾向がある人、自己評価が低い人、過去の失敗を引きずりやすい人が挫折しやすいと言われています。また、目標設定が高すぎる場合も挫折のリスクが高まります。

挫折を前向きに捉える方法はありますか?

挫折を「成長のチャンス」と捉え、そこから学べることを明確にすることが大切です。また、多くの成功者が挫折経験を糧にしている事実を知ることで、自分だけではないと安心できるでしょう。