「贔屓」とは?意味や使い方・類語から由来まで徹底解説

「贔屓」という言葉、日常生活でよく耳にしますよね。でも、具体的にどんな意味で、どう使うのが正しいのか、意外と知らない人も多いのではないでしょうか?実はこの言葉、中国の伝説上の生き物が由来となっている面白い背景を持っているんです。今回は「贔屓」の本当の意味や使い方、類義語まで詳しく解説していきます。

贔屓とは?贔屓の意味

特定の対象を特に気に入り、応援したり引き立てたりすること。また、公平であるべき場面で一方だけを優遇する不公平な行為も指します。

贔屓の説明

「贔屓」は「ひいき」と読み、アクセントは最初の「ひ」にあります。この言葉の由来は中国の伝説上の生き物で、竜の子の一つである「ひき」から来ていると言われています。その生き物は亀に似た姿で、重いものを背負う性質から、柱の土台などの装飾に使われることが多かったそうです。日本では、お気に入りの人や物を特別に扱う様子を表す言葉として定着しました。例えば、スポーツで応援するチームが決まっている時や、常連客を大切にする店などで使われます。ただし、公平性が求められる場面で偏った扱いをする「えこひいき」というネガティブな意味合いでも使われるので、文脈に注意が必要です。

誰にでも贔屓にしているものはあるものですね。でも、度が過ぎると「贔屓の引き倒し」になってしまうので要注意です!

贔屓の由来・語源

「贔屓」の語源は中国の伝説上の生き物「贔屓(ひき)」に由来します。これは竜の九子の一つで、その姿は亀に似ており、重いものを背負う性質から、石碑や建築物の土台として使われることが多かったそうです。日本には仏教とともに伝来し、重荷を背負うイメージから「特定のものを特に引き立てる」という意味で定着しました。漢字自体も「貝」が三つ重なっていることから、財貨を積み重ねる様子を連想させ、贔屓される側が利益を得ることを暗示しているとも解釈できます。

贔屓には良い面も悪い面もありますが、誰かに特別な思いを寄せる気持ち自体は人間らしい素敵な感情ですね。

贔屓の豆知識

面白い豆知識として、「贔屓」と「依怙贔屓(えこひいき)」は実は別物です。本来の「贔屓」は単なる「お気に入り」を指す中立的な言葉でしたが、江戸時代頃から「依怙」(えこ:偏ったこと)と結びついてネガティブな意味合いが強まりました。また、歌舞伎の世界では「贔屓筋」という言葉があり、特定の役者を熱心に支援するファンのことを指します。さらに、スポーツ界では「地元贔屓」という現象がよく知られており、審判が無意識に地元チームに有利な判定を下しがちだという研究結果もあります。

贔屓のエピソード・逸話

有名な逸話としては、戦国武将の織田信長が明智光秀を特に贔屓していたというエピソードがあります。信長は光秀の教養や能力を高く評価し、他の家臣よりも厚遇していました。しかし、この贔屓がかえって他の家臣の妬みを買い、最終的には本能寺の変につながったとする説もあるほどです。また、現代ではプロ野球の長嶋茂雄元監督が特定の選手を贔屓することで有名で、その熱烈なサポートが時にはチームの戦略に影響を与えることもあったと言われています。さらに、芸能界では吉本興業の創業者・吉本せいが渋谷天外を特に贔屓し、彼の才能を見出して大きく育てたという話も伝えられています。

贔屓の言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「贔屓」は日本語における漢語の受容の良い例です。中国語では「贔屓」は「bìxì」と読み、もともと「力強く進む様子」を意味していましたが、日本では意味が変化して「ひいき」という読み方とともに独自の発展を遂げました。これは漢字文化圏における意味の変遷の典型例です。また、アクセント面では、東京方言では「ひいき」は頭高型(ヒィキ)で発音されますが、関西方面では平板型(ヒイキ)で発音される地域もあります。さらに、この言葉は名詞としてだけでなく、「贔屓する」のようにサ変動詞としても使用可能で、日本語の品詞の柔軟性を示す例とも言えます。

贔屓の例文

  • 1 学生時代、先生が特定の生徒だけを贔屓しているとクラス中が不公平感でいっぱいになったこと、ありますよね。
  • 2 スポーツ観戦で応援しているチームが負けそうになると、つい審判の判定が贔屓に見えてしまうこと、誰にでもあるあるです。
  • 3 職場で上司が同じミスをしても、贔屓されている同僚だけが注意を免れるのを見ると、なんだかモヤモヤしてしまいます。
  • 4 親が兄弟のうちの一人だけを贔屓しているように感じて、子供心に寂しい思いをした経験、多くの人が共感できるでしょう。
  • 5 推しのアイドルやアーティストがいるけど、それはただの贔屓じゃなくて本物の才能を見極めているんだと自分に言い聞かせること、ありますよね。

「贔屓」の使い分けと注意点

「贔屓」を使う際には、文脈によってニュアンスが大きく変わるため注意が必要です。基本的に「贔屓」単体では中立的な意味ですが、状況によってはネガティブな印象を与える可能性があります。

  • ビジネスシーンでは「ご贔屓に」という表現が使えますが、目上の人には「ご愛顧」の方が無難
  • 「あの先生は特定の生徒を贔屓している」のような使い方は批判的なニュアンスを含む
  • 「私の贔屓の選手は…」のように自分の好みを話す場合は問題ない
  • 公平性が求められる場面では「贔屓」という言葉自体を避けるのが賢明

関連用語とその違い

用語意味ニュアンス
贔屓特定のものを気に入って応援すること中立〜ややネガティブ
依怙贔屓不公平で偏った扱いをすること強いネガティブ
判官びいき弱者や敗者に同情して味方することややポジティブ
寵愛特に目をかけて可愛がることポジティブ

これらの言葉は似ているようで、それぞれ微妙にニュアンスが異なります。状況に応じて適切な表現を選ぶことが重要です。

歴史的な背景と文化的影响

「贔屓」という概念は、日本の伝統的な社会構造と深く結びついています。特に、江戸時代の縁故主義や、現代の日本的経営における「派閥」など、組織内での人間関係を反映しています。

贔屓は人の常、偏頗は人の罪

— 江戸時代の格言

この格言は、誰かに贔屓を持つことは人間の自然な感情だが、それが偏りとなって表れることは避けるべきだという教えです。日本の集団主義文化の中で、個人の好みと集団の公平性のバランスをどう取るかという問題は、昔から重要なテーマでした。

よくある質問(FAQ)

「贔屓」と「えこひいき」の違いは何ですか?

「贔屓」は特定の人や物を気に入って応援する中立的な意味合いがありますが、「えこひいき」は「依怙贔屓」の略で、不公平で偏った扱いをするネガティブな意味合いが強いです。つまり、贔屓は単なるお気に入り、えこひいきは不公平なお気に入りという違いがあります。

「贔屓」の正しい読み方は?アクセントはどこに置きますか?

「贔屓」は「ひいき」と読みます。アクセントは最初の「ひ」に強勢を置く「ヒィキ」が標準的な発音です。関西方面では平板に「ヒイキ」と発音されることもありますが、正式なアクセントは頭高型です。

ビジネスシーンで「ご贔屓に」を使うのは適切ですか?

はい、取引先や顧客に対して「今後ともご贔屓のほどよろしくお願いします」という表現は、丁寧で適切なビジネス表現です。ただし、目上の人に対しては「ご愛顧」という言葉を使う方がよりフォーマルで無難です。

「贔屓の引き倒し」とはどういう意味ですか?

「贔屓の引き倒し」は、過度な贔屓がかえってその人のためにならないという戒めの言葉です。例えば、子どもを甘やかしすぎて自立できなくなるような場合を指します。中国の伝説上の生き物「贔屓」が柱を支えている様子から、引き倒すという表現が生まれました。

スポーツでよく言う「地元贔屓」とは具体的に何ですか?

「地元贔屓」は、審判が無意識に地元チームに有利な判定を下してしまう現象を指します。特にボクシングや格闘技など審判の主観が入りやすい競技で起こりやすく、英語では「hometown decision」と呼ばれています。研究では、審判も人間なので完全な中立を保つのは難しいことが示されています。