だべるとは?だべるの意味
無駄話をする、とりとめのないおしゃべりをすること
だべるの説明
「だべる」は漢字で「駄弁る」と表記し、その語源は「駄弁(だべん)」という名詞から来ています。駄弁とは「無駄話」や「くだらない話」を意味し、これが動詞化されて「駄弁る」となりました。また、「駄弁を弄する(だべんをろうする)」という表現が略されたという説もあります。明治時代の旧制第一高等学校の学生たちが使い始め、大正から昭和初期にかけて流行語として広まった歴史を持ちます。カフェで友人と雑談を楽しむときや、久しぶりに会った知人と話に花を咲かせるときなど、気楽な会話を指して使われる言葉です。
時代とともに消えつつある言葉ですが、こうした表現こそ日本語の豊かさを感じさせてくれますね。
だべるの由来・語源
「だべる」の語源は、名詞「駄弁(だべん)」が動詞化したものとされています。「駄弁」とは「無駄な弁舌」「取り留めのない話」を意味し、これに動詞化の接尾辞「る」が付いて「駄弁る」となりました。もう一説には、「駄弁を弄する(だべんをろうする)」という表現が省略されて生まれたとも言われています。明治時代の旧制第一高等学校の学生たちの間で使い始められ、大正から昭和初期にかけて全国的に広まった若者言葉でした。当時の学生文化から生まれた言葉として、知識層を中心に流行しました。
時代を超えて受け継がれる言葉の魅力を感じさせてくれる、日本語の豊かさを象徴する表現ですね。
だべるの豆知識
面白いことに、「だべる」は方言として認識されることも多いですが、実際には全国的な流行語として広まった経緯があります。特に面白いのは、この言葉が「ダベル」とカタカナ表記されることがあり、英語由来の言葉と誤解されるケースがあることです。また、戦後しばらくは漫画や小説などでも頻繁に使われ、当時の日常会話を描写する際の定番表現として親しまれていました。現代では使われる機会が減りましたが、年配の方が使うとどこか懐かしい雰囲気を感じさせる言葉です。
だべるのエピソード・逸話
作家の太宰治は作品の中で「だべる」という表現をよく使用しており、『津軽』などでは登場人物たちのくだけた会話を生き生きと描写しています。また、漫才師の古今亭志ん生は高座で「だべる」を巧みに使い、庶民の日常会話をユーモラスに表現していました。戦後の映画では、笠智衆や森繁久弥などが演じる庶民的な役柄が「だべる」を使うシーンが多く、当時の日常会話をリアルに伝えています。特に昭和30年代の家庭劇では、父親が近所の人と「だべっている」場面がよく描かれ、当時の人間関係を垣間見ることができます。
だべるの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「だべる」は名詞から動詞への転成語の典型例です。接尾辞「る」を付けて動詞化するパターンは日本語に多く見られ、「サボる」(サボタージュから)、「ミスる」(ミステイクから)などと同じ形成プロセスです。また、この言葉はポライトネス(丁寧さ)の観点からも興味深く、くだけた親しい間柄で使われるインフォーマルな表現として機能していました。社会言語学的には、世代間での使用頻度の差が大きく、これは言語変化における時代的な変遷を示す良い例と言えます。さらに、関東地方を中心に広まったことから、方言から共通語化する過程の研究対象としても価値があります。
だべるの例文
- 1 久しぶりに友人と会ったら、気づけば3時間もだべり続けていて、喉がカラカラになった
- 2 母が近所のおばさんと立ち話でだべっていて、買い物に出かけるのをずっと待たされたこと、あるある
- 3 仕事終わりに同僚とだべっているうちに、最終電車を逃しそうになった経験、誰にでも一度はありますよね
- 4 カフェでだべりすぎて、いつの間にか夕方になっていた。話が尽きない友人関係って最高
- 5 電話でだべってたら、スマホのバッテリーがなくなって通話が切れた。話に夢中になりすぎた典型例
「だべる」の使い分けと注意点
「だべる」はカジュアルで親しい間柄での会話に適した表現ですが、使用する場面には注意が必要です。ビジネスシーンや目上の人との会話では避けるべき表現であり、あくまで友人や家族とのくだけた会話で使うようにしましょう。
- 親しい友人とのカフェでの会話 → ○「今日はゆっくりだべろう」
- ビジネスミーティングでの発言 → ×「この件についてだべりたい」
- 目上の人との会話 → ×「先生、ちょっとだべりませんか」
- 家族での団らん → ○「食後にみんなでだべらない?」
また、現代ではやや古風な印象を与える表現なので、若い世代との会話では通じない可能性があることも覚えておきましょう。
「だべる」と関連する表現
「だべる」には多くの類義語や関連表現があります。それぞれ微妙なニュアンスの違いがあるので、状況に応じて使い分けると表現の幅が広がります。
| 表現 | 意味 | ニュアンス |
|---|---|---|
| だべる | 無駄話をする | 最もカジュアルで親しい印象 |
| 雑談する | 気楽に話す | ややフォーマルで広く使える |
| おしゃべりする | 楽しく話す | 女性語的な柔らかい印象 |
| 語らう | 打ち解けて話す | 文学的なやや格式ばった印象 |
| 立ち話する | 立ったまま話す | 短時間の会話に限定 |
これらの表現は、話す相手や場面、話す内容の深さによって使い分けることで、より豊かなコミュニケーションが可能になります。
「だべる」の文化的背景と歴史的変遷
「だべる」は明治時代の学生文化から生まれた言葉で、当時の知識層の間で流行しました。大正から昭和初期にかけて一般に広まり、戦後しばらくは日常的に使われる表現でした。
「だべる」という言葉は、戦後の復興期において、人々がつかの間の安らぎを求めて交わす会話を象徴する表現として親しまれてきた
— 日本語社会史の研究
高度経済成長期以降、テレビの普及や標準語の浸透とともに使用頻度が減少し、現在では主に年配の方が使うか、ノスタルジックな効果を意図して使われることが多くなりました。この言葉の変遷は、日本の社会変化やコミュニケーションスタイルの移り変わりを反映していると言えるでしょう。
よくある質問(FAQ)
「だべる」は方言ですか?
いいえ、「だべる」は方言ではなく、明治時代から全国的に使われていた共通語です。特に旧制第一高等学校の学生たちの間で流行し、大正から昭和初期にかけて広まりました。現在では使われる機会が減り、地域によっては方言のように感じられることもありますが、元々は全国的な表現でした。
「だべる」と「しゃべる」の違いは何ですか?
「しゃべる」は単に「話す」という意味ですが、「だべる」は特に「取り留めのないおしゃべりをする」「無駄話を楽しむ」というニュアンスがあります。カフェで友人とだべる、といったように、くつろいだ雰囲気での会話を指すことが多いです。
若い人でも「だべる」を使いますか?
現代の若い世代ではほとんど使われなくなりましたが、年配の方や昭和の雰囲気を出す時など、意図的に使うこともあります。SNSや漫画などでレトロな表現として登場することはありますが、日常会話では稀です。
「だべる」を英語で言うとどうなりますか?
英語では「chat idly」や「shoot the breeze」などと表現されます。また、「gab」という動詞も「だべる」に近い意味で使われます。いずれもくだけた会話を楽しむ様子を表す表現です。
「だべる」を使う時の注意点はありますか?
「だべる」は非常にカジュアルな表現なので、目上の人や公式の場では避けた方が良いでしょう。親しい友人や家族とのくだけた会話で使うのが適しています。また、現代ではやや古風な響きがあるため、状況に応じて使い分けることが大切です。