「失言」とは
「失言」という言葉をよく耳にするという方は多いのではないでしょうか。著名人の失言の話題は、しばしばマスメディアで取り上げられていますね。
「失言」は、「しつげん」と読みます。「しつごん」と読み間違えてしまう人もいるようなので注意しましょう。「失」は、「欠点、過ち」の意味で、「言」は、「ものをいうこと、言った言葉」の意味で使われています。つまり「失言」とは、「言うべきでないことを、うっかり言ってしまうこと、またはその言葉」を意味する熟語なのです。
例えば、サプライズの誕生日パーティーを計画しているときに、うっかり本人にそのことを話してしまったとしたら、それは失言です。「一言(いちごん)既に出ずれば駟馬(しば)も追い難し」といって、一度した発言は取り消せないということわざもあります。発言には重々気をつけたいものですね。
「失言」の例文
「失言」は、さまざまな場面で用いられる言葉です。ここでは、例文を紹介します。
- 「あの政治家は失言によって、政治生命を失った」
- 「記者会見では失言をしないように、最大限の注意をはらう」
- 「友人に失言が多いと注意された。」
- 「結婚式のスピーチをアドリブでしたら、失言をしてしまった。」
政治家の「失言」
「失言」と聞いて、一番最初に思い浮かぶのは政治家の失言ではないでしょうか。強い影響力を持つ政治家だからこそ、その発言には重い責任が伴います。しかし残念ながら、耳を疑うような発言で世間を賑わせた政治家というのは、枚挙にいとまがありません。具体的な過去の事例を、以下に紹介してみます。
今村雅弘 復興大臣
「まだ東北で、あっちの方だったから良かった。首都圏に近かったりすると、莫大な、甚大な額になった」
2017年4月25日、今村大臣は所属する自民党二階派のパーティで講演しました。その中での東日本大震災に関しての発言です。被災者の方に対し、あまりにも配慮に欠ける発言で非難されました。この問題で、今村大臣は辞職しました。
藤村修 官房長官
「要は、北のミサイルがいつ上がるかですよ。さっさと月曜日に上げてくれるといいんですけど。」
2012年12月7日、地元の大阪府吹田市での藤村官房長官の発言です。北朝鮮のミサイル問題に関する発言で、国民の安全を脅かす可能性もある問題に対し、あまりにも軽率な発言だったと非難されました。藤村官房長官は後に陳謝しています。
偉人の「失言」
失言は政治家の専売特許ではありません。歴史上の偉人たちもまた、失言エピソードを持っています。
ウィンストン・チャーチル
「お前はブスだ。ただブスってだけじゃない。本当に嫌なブスだよ。私は目を覚ましたらきっと冷静な紳士にもどるが、お前は永遠にブスのままだ。」
これは、元英国首相ウィンストン・チャーチルがある女性議員に「いやな酔っ払い」と呼ばれたときの「失言」です。とはいえ、毒舌家として知られるチャーチルらしい切り返しとも言えますね。
アーネスト・ヘミングウェイ
「かわいそうなフォークナー。彼は本当に難解な言葉が感動を生むとでも思っているんだろうか。」
これは『武器よさらば』などの著作で有名な作家アーネスト・ヘミングウェイが、同じく作家のウィリアム・フォークナーに「あいつは難しい言葉を使わない」と揶揄されたときに反論として言ってしまった「失言」です。主張としては間違っていない気もしますが、発言内容だけでなく言い方にも気をつけたいところですね。