「一矢報いる」とは?意味や使い方をご紹介

皆さんは「一矢報いる」という言葉を日常的に耳にしたり、ご自身でも無意識で使っていると思います。そこで「一矢報いる」の意味、使い方やその言葉の由来、類語、英語表現などをご紹介いたします。この機会に今一度「一矢報いる」という言葉の正しい使い方を再認識しましょう。

目次

  1. 「一矢報いる」の意味
  2. 「一矢報いる」の由来
  3. 「一矢報いる」の使い方・例文
  4. 「一矢報いる」の類語
  5. 「一矢報いる」はことわざ?慣用句?
  6. 「一矢報いる」の英語表現

「一矢報いる」の意味

「一矢報いる」は「いっしむくいる」と読み、その意味は「自分に向けられた圧倒的な非難や攻撃に対して、状況を大きく変えることはできないものの、少しでもやり返す、反論する」ことを表します。

元々は、圧倒的な敵の軍勢に対して一本の矢を打ち返すことからきており、力の差は明らかで戦況が逆転することはありえない状況が背景にあります。

しかし、例えば、高校野球などで強豪校に粘り強い戦いをして、意外な結果を出した場合などでも結果はどうあれ「一矢報いた」と肯定的に表現されることもあります。

このように、「一矢報いる」は反撃を肯定的にとらえた場合も含んだ表現ですが、これを否定的にとらえると「焼け石に水」や「イタチの最後っ屁」といった表現になります。

「一矢」の意味

 一矢というのは文字通り「一本の矢」のことを表します。ここに深い意味はありません。

「報いる」の意味

報いるという言葉は、何か他人からされたことと同じようなことを相手に返すという意味合いになります。

したがって、仕返しをするという意味にもなりますが、必ずしも悪いことをされた時に仕返しするという意味に使われるだけではありません。良いことをしてもらった時のお礼にも「報いる」という言葉を使います。

「一矢報いる」の由来

「一矢を報いる」の「一矢」の由来は小弐景資(しょうに かげすけ)が劉復亭(りゅう ふくこう)に放った鏑矢(かぶらや)のことをいうとする説が有力です。

鎌倉時代の1200年代後半に、日本は、「元」つまり、現在のモンゴルから攻撃を受けました。この時に攻め込んできたのが、「流将校」と異名を持つ蒙古軍の猛将「劉復亭(りゅう ふくこう)」です。

劉は、日本の鳥飼、租原山から赤坂地帯を占領しました。しかしながら、この戦で討死した多くの日本の武士は首だけになっても、その屍は蒙古兵の喉元に噛みつき死に追いやったと伝えられています。

そんな戦況を見ていた劉は日本の武士に恐怖心を抱きます。そこに華美な鎧をまとった一人の武者が現れ、次の瞬間、その武者から一本の鏑矢(かぶらや)が放たれ、劉の左肩に突き刺さり、劉は馬上から転がり落ちます。

しかし、自らの矢で致命傷を負わすことに失敗したと悟った武者は身を翻して駆け去りました。その武者の名が「小弐景資(しょうに かげすけ)」であり、この時の矢が「一矢報いる」の由来といわれています。

「一矢報いる」の使い方・例文

スポーツでの使用例

  • ただ負けるのと一矢報いて負けるのでは、大きな違いがある。
  • 今年の県予選の初戦は強豪校と対戦して一方的に点を取られたが、終盤で1点を取り一矢報いた
  • 相手の一方的な攻めにより一矢報えるチャンスもなかった。 

ビジネスシーンや日常生活での使用例

「一矢報いる」という言葉はビジネスシーンでも様々な場面で使えます。例えば「今まで営業成績で負けていた営業二課が今年度は営業一課に一矢報いた」といったような表現ができます。

また、日常生活では「いつも彼には言われっぱなしで悔しいから、今日は少しでも言い返して一矢報いたいと思う」というように何気なく会話でも使用することができます。

「一矢報いる」の類語

一泡吹かせる

この「一泡吹かせる」の意味は、相手の意表を突き驚きあわてさせることです。

恨みをはらす

「恨みをはらす」とは、恨みを持った相手に復讐する・仕返しをするという意味になります。

逆襲する

「逆襲する」相手からの非難や攻撃に反論する。攻撃するという意味になります。

適わぬまでも一太刀

「かなわぬまでもひとたち」…なんとなく「一矢報いる」のイメージが湧く諺です。

蟷螂の斧

「とうろうのおの」と読みます。カマキリが前脚を上げて大きな車に向かってきたという「荘子」などの故事から、「自分の弱さをかえりみず強敵に挑むこと」、「はかない抵抗」の例えです。

「一矢報いる」はことわざ?慣用句?

ことわざと慣用句の違い

慣用句とことわざに絶対的な違いはありません。

違いを明確に表すとすれば、慣用句は2つ以上の言葉が合わさって、元の意味とは異なる言葉になります。
 
ことわざは、生活をしていく昔の人から受け継いだ知恵があります。ことわざは、ものや動物、人であることをたとえ、特有の教えや戒めの意味を持っている言葉になります。

「一矢報いる」は慣用句のくくり

一矢報いるは慣用句のくくりになります。「一矢」と「報いる」という2語の言葉を使って、「一矢」の本来の意味と「報いる」の本来の意味を付け加えた、プラスアルファの意味となった慣用句です。

「一矢報いる」の英語表現

「一矢報いる」一般的な英語表現

ここでご紹介する英語表現は一例ですが、そのほとんどが「やり返す」という意味につながります。

  • to retaliate :仕返しする、報復する
  • to return a blow:打ち返す
  • to strike back at:仕返しする、歯向かう
  • to retort:言い返す、歯向かう
  • to fight back:やりかえす

「一矢報いる」に一番近い英語表現

ここで一番日本語の意味に近いのは、「to return a blow」です。「blow」は風が吹く等の意味、「return」は戻る、戻すという意味になるので、「風を戻す=一矢報いる」という意味に近くなります。

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