「ヤバみ(やばみ)」とは?意味や使い方をご紹介

「ヤバみ」は形容詞「ヤバい」が変化して名詞化したものです。若者言葉として最近にうまれた言葉ですが、形容詞が「~み」となり名詞化する例はあり、必ずしも文法的に誤っているとは言えない面があります。以下では「ヤバみ」とそれに関わる「~み」について紹介します。

目次

  1. はじめに
  2. 「ヤバみ」とは
  3. 「ヤバい」とは
  4. 形容詞の名詞化の原則は「~さ」
  5. 「~み」の全てが形容詞の名詞化ではない
  6. 「~味(み)」
  7. 「厚み」はあるのに「熱み(暑み)」はない不思議
  8. 「~み」を真面目に考える
  9. 「ヤバみ」まとめ

はじめに

本記事の作成にあたって大阪教育大学 井上博文教授より助言をいただきました。御礼申し上げます。本記事はいただいた助言を元に執筆者の見解により記述しています。

「ヤバみ」とは

「ヤバみ」は若者言葉の1つです。形容詞「ヤバい」の語尾が「み」となり、名詞化したものと考えられます(この「名詞化」は国語や言語学では「体言」が正確ですが、この記事では分かりやすく「名詞化」とします)。同様の変化をする形容詞の例は他にもあり、
 

  • 重い→重み
  • 厚い→厚み

などがあります。つまり「ヤバみ」は必ずしも通常の文法から外れたものとは言いきれません。ただし、この「~み」という変化は全ての形容詞で適用されるわけではありません。例えば、
 
  • 薄い→薄み
  • 暗い→暗み
  • 早い→早み

と変化したものが名詞として使われることは、まずありません。

「ヤバい」とは

「ヤバい」は若者言葉のように思えますが、実は江戸時代から使われている言葉のようです。牢屋や缶看守を「厄場(やば)」と言い、厄場に関わることを「ヤバい」と言ったそうです。

「ヤバい」は後に危ない、まずいという意味で使われるようになりました。さらに1980年代になり若者言葉として「ヤバい」に素晴らしい、魅力的だ、という意味も加わりました。

形容詞の名詞化の原則は「~さ」

形容詞は、原則として語尾の「い」を「さ」にすることで名詞になります
 

  • 暑い→暑さ
  • 厚い→厚さ
  • 寒い→寒さ
  • 薄い→薄さ
  • 悲しい→悲しさ
  • 楽しい→楽しさ
  • 嬉しい→嬉しさ
  • つらい→つらさ

これに従い「ヤバい」を「ヤバさ」と名詞化することに違和感を感じる方は少ないのではないでしょうか。例えば、
 
  • この事案は「ヤバさ」しか感じない。
  • あの映画の「ヤバさ」はハンパない。

といった表現はあり得ます。

「~み」の全てが形容詞の名詞化ではない

形容詞の語尾が「み」に変化したように見えて、実はそうではない言葉があります。例えば以下のような言葉です。
 

  • 悲しい→悲しみ
  • 楽しい→楽しみ
  • 痛い→痛み

これらは形容詞「○○い」が名詞化して「○○み」になったように思えます。しかし実は、
 
  • 悲しむ→悲しみ
  • 楽しむ→楽しみ
  • 痛む→痛み

という、動詞からの変化です。これは動詞の連用形が名詞となる「居体言(きょたいげん)」とよばれる変化です。他にも
 
  • 叫ぶ→叫び
  • 試みる→試み
  • あきらめる→あきらめ

などがあります。つまり「悲しみ」「楽しみ」「痛み」は形容詞から変化したものではありません。一方、
 
  • 厚む
  • 重む

といった動詞はありませんから、冒頭の「厚み」「重み」は形容詞から変化したものです。

「~味(み)」

「~み」となっていても実は「~味(み)」である場合もあります。例えば
 

  • 旨い(うまい)→旨味(うまみ)
  • 甘い(あまい)→甘味(あまみ)
  • 辛い(からい)→辛味(からみ)
  • 苦い(にがい)→苦味(にがみ)

などです。これらは「厚い」「重い」という形容詞が「厚み」「重み」となった変化とは性質が異なると言えそうです。

「厚み」はあるのに「熱み(暑み)」はない不思議

形容詞「厚い」が「厚み」となることは既に何度も記載しました。ここで不思議なことがあります。同じ発音、活用である「あつい」でも、「熱い(暑い)」は「熱み(熱み)」とならないことです。

「うまい」も、「旨い」の場合は「旨み」となり「上手い」の場合は「上手み」とはなりません。しかし既に記述した通り「旨み」は「味」がつくことによる「旨味」への変化です。それに対し「上手い」は「味」がつかないため「上手味」にならないことは説明可能です。

一方、「厚い」と「熱い(暑い)」は発音も活用も同じです。もちろん「厚み」は「厚味」ではありません。なぜ「厚み」はあるのに「熱み(暑み)」はないのでしょうか

結論としては、これは現時点では、明確な答えはないようです。以下で、詳しく見てみたいと思います。

「~み」を真面目に考える

「厚み」はあるのに「薄み」はありません。「重み」はあるのに「軽み」はありません。「明るみ」はあるのに「暗み」はありません

これらの違いは何でしょうか。1つは「程度」が大きいものが「~み」になるという考え方ができるかもしれません。しかし、すぐに例外を多数見つけることができます。
 

  • 大きい→大きみ
  • 多い→多み
  • 早い→早み

これらは程度が大きいものですが「~み」という変化はありません。なお程度が小さい「小さみ」「少なみ」「遅み」もありません。

また「熱い(暑い)」「あたたかい」「ぬるい」「冷たい」「冷い(ひやい)」「寒い」のうち、「~み」となるものは「あたたかい」→「あたたかみ」だけです。「~み」という変化ができるものより、できないもののほうが多いのかもしれません。しかし法則は容易にみつかりそうにありません。

この記事では特に「ヤバい」→「ヤバみ」という変化は文法的に正しいのかという疑問があるのですが、そもそも形容詞が「~み」となる場合、ならない場合のルールが明確でなく、なんとも言えなさそうです。ただ間違いないのは、文法的な問題はともかく「ヤバみ」は最近まで使われていなかったことです。(2018年11月執筆)

ひょっとすると「ヤバい」の意味が危ない、まずいという意味から、最近になり素晴らしい、魅力的だという意味に変化したことと関係があるかもしれません。

「ヤバみ」まとめ

以上のように「ヤバみ」は若者言葉として最近にうまれたものですが、必ずしも文法的に誤ったものとは限らないようです。また「厚み」はあるのに「熱み(暑み)」はないことなど、形容詞が「~み」という変化ができるかどうかには国語・日本語学としても未解決な部分があるようです。


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