「勝って兜の緒を締めよ」とは?意味や使い方をご紹介

「勝って兜の緒を締めよ」とは、勝利や成功の時こそ油断して注意を怠ってはいけないという意味の戒めの言葉です。みなさんもよく耳にすることがある言葉なのではないでしょうか。この記事では、そんな「勝って兜の緒を締めよ」の意味や使い方を詳しくご紹介しています。

目次

  1. 「勝って兜の緒を締めよ」の意味
  2. 「勝って兜の緒を締めよ」の由来
  3. 「勝って兜の緒を締めよ」の使い方
  4. 「勝って兜の緒を締めよ」の類語
  5. 「勝って兜の緒を締めよ」のまとめ

「勝って兜の緒を締めよ」の意味

「勝って兜の緒を締めよ(かってかぶとのおをしめよ)」とは、勝利したり成功した時こそ油断することなく、さらに気を引き締めなくてはならないという戒めの言葉です。

「兜」とは、昔の武士が戦の時に頭を守るために被った防具で、帽子のような形をしていて紐をあごの下で結んで固定していました。戦に勝って安心して兜を脱いだ時に、思いがけず敵に襲われる可能性もあるのだから、勝っても油断せずにより一層注意しなければいけないということを「勝って兜の緒を締めよ」とたとえています。

現在ではそこから転じて、スポーツに勝利した時や仕事で成功を収めた時などに、油断したり驕ったりすることなく、より一層気を引き締めて謙虚に物事に取り組まなくてはならないという意味で使われるようになりました。

「勝って兜の緒を締めよ」の由来

「勝って兜の緒を締めよ」は、戦国時代の武将・北条氏綱(ほうじょう うじつな)が病で自分の死期を悟った際に、若い息子・氏康(うじやす)を心配して遺した『五か条の訓戒』の次の項目が由来となっています。
 

一、手際なる合戦にて夥敷勝利を得て後、驕の心出来し、敵を侮り、或は不行義なる事、必ある事也。可慎。散々如斯候而、滅亡の家、古より多し。此心、万事にわたるそ。勝て甲の緒をしめよ、といふ事忘れ給ふへからす。

合戦で見事な勝利が続くと、驕りの心が生まれ、敵を侮ったり、行儀が悪くなることが必ずあるから、これを慎みなさい。散々このようにして滅亡した家は昔から多い。この精神は万事に共通している。勝って兜の緒を締めよということを忘れてはいけない。

北条氏綱は、上杉謙信や武田信玄と同じ波乱の戦国時代に数々の戦を生き抜いてきた名将でした。氏綱は多くの戦いや政治的駆け引きを繰り返す中で、物事が順調に進んでいるときほど油断をしてはならないと身に染みる出来事があったのかもしれませんね。

「勝って兜の緒を締めよ」の使い方

「勝って兜の緒を締めよ」は、スポーツや仕事で勝ったり成功した人が自分自身に言い聞かせたり、周囲から言われたりする言葉です。勝ったからと言って、油断や驕りからつまらない失敗をしたり上げ足を取られることが無いように、気を引き締めて注意を怠ってはならないと戒めています。例文を見てみましょう。

「勝って兜の緒を締めよ」の例文

  • 今回の大会は優勝できたが、次回の大会はチャンピオンとして研究され苦戦を強いられるに違いない。「勝って兜の緒を締めよ」だ。もっと精進して頑張ろう。
  • 競合他社とのコンペを勝ち抜いて契約をものにしたが、「勝って兜の緒を締めよ」というように、ここからが本番の勝負だと思って全力を尽くそう。
  • 「勝って兜の緒を締めよ」と散々言われたにもかかわらず、勝利の美酒に酔いしれ階段を踏み外し、怪我をしてスタメンを外されてしまった。

「勝って兜の緒を締めよ」の類語

「勝って兜の緒を締めよ」の類語をご紹介します。
 

  • 油断大敵(ゆだんたいてき)/気を緩めて注意を怠れば思わぬ失敗を招くので、十分に注意して警戒しなさいという戒め。
  • 好事魔多し(こうじまおおし)/良いことはとかく邪魔が入りやすいということ。
  • 敵に勝ちて愈々戒む(てきにかちていよいよいましむ)/敵に勝っても、ますます気を引き締めて警戒すること。

「勝って兜の緒を締めよ」のまとめ

この「勝って兜の緒を締めよ」は、さまざまな場面で今も昔も教訓として使われています。連合艦隊総司令官・東郷平八郎が、日露戦争の折にロシア・バルチック艦隊を撃沈させ歴史的勝利を勝ち取った後、講和条約の場で兵士たちに「勝って兜の緒を締めよ」と言ったことが、アメリカのルーズベルト大統領を感動させたエピソードはとても有名です。

「兜の緒を締めよ」は、勝ったからこそ謙虚に気を緩めることなくより一層の精進が必要と考える、真面目な日本人の気質が現れた言葉なのかもしれませんね。

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