「脚色」とは?意味や使い方を「脚本」との違いを含めてご紹介

「脚色(きゃくしょく)」は、主に舞台や映画で使われる用語です。「原作に手を加えて面白くすること」を言い、「脚色家」という専門の職業もあります。ここでは、「脚色」の意味や由来にくわえ、派生的な意味とその利用法についても解説します。

目次

  1. 「脚色」とは
  2. 「脚色」の使い方
  3. 「脚色」の語源
  4. 「脚本」と「脚色」はどう違う?
  5. 「脚色」の類語

「脚色」とは

「脚色(きゃくしょく)」には、大きく分けて二つの意味があります。

一般的な意味

まず、一般的な「脚色」の意味としては、「小説等の原作や実際にあった事件を題材に、映画や演劇を演出する際、より映える形になるように脚本を組み立てること」を言います。

派生的な意味

上記の意味から派生する形で、「事実や真実に枝葉を加えて、面白おかしくすること」という意味が生まれました。ほぼ同じ意味を指す言葉としては、「潤色(じゅんしょく)」という言葉があります。

「脚色」の使い方

「脚色」の使い方を紹介しましょう。

まず、ひとつめの意味では「このドラマは実際の出来事を脚色したものです」や、「地味なストーリーをいかに面白くするか。脚色家の腕の見せ所だ」といったような使われ方をします。

ふたつめの意味では「あの雑誌は、いつでも事実を面白おかしく脚色して掲載する」といった風に使います。

「脚色」の語源

「脚色」は古くからある言葉です。しかし、本来の使われ方は今とはかなり違っていたようです。

古代中国における「脚色」

もともと、宋代頃の中国で「脚色」は、「仕官のときに差し出す履歴書」のことを指しました。

また、中国の伝統演劇においては、登場人物の「役柄」のことを指しました。役柄は性別、年齢、身分、性格などによって分けられますが、なかでも「生旦浄丑(せいたんじょうちゅう)」と呼ばれる4つがもっとも典型的とされます。

「生(せい)」は男役、「旦(たん)」は女役、「浄(じょう)」は滑稽な敵役や特徴的な豪傑、「丑(ちゅう)」は道化や小悪人をそれぞれ指し、扮装や演技によって演じ分けられました。

日本における「脚色」

日本では、江戸時代の歌舞伎において、現代に通じる意味で「脚色」という言葉が用いられていました。

もともと歌舞伎狂言(作品)を作る際、作者が趣向を凝らして脚本を仕立てることを「仕組(しぐ)む」、「仕組(しぐ)み」と言っていました。この「仕組み」に対し、中国で使われていた「脚色」という字を当てたのが、言葉の起こりであったようです。

すでに江戸時代から、『南総里見八犬伝』のような有名な小説が「脚色」され、歌舞伎狂言として演じられていたようです。

「脚本」と「脚色」はどう違う?

「脚本(きゃくほん)」と「脚色」、どちらも似たような言葉ですが、両者の違いは何でしょう。

例えばアメリカの権威ある映画賞であるアカデミー賞には、「脚本賞」と「脚色賞」という2つの賞があります。これは一見するとわかりづらいような気がしますが、元の英語を見るとその違いがよくわかります。

「脚本賞」が“Award for Writing Original Screenplay”であるのに対し、「脚色賞」は“Award for Writing Adapted Screenplay”です。「原作(Original)」に対し、別の面白さを「付加(Adapted)」するのが「脚色家」の役割なのです。

「脚色」の類語

「脚色」には、上で紹介した「潤色」の他にもいくつかの類語があります。ここではそのうち4つについて、意味やニュアンスの違いを解説しましょう。

翻案

「翻案(ほんあん)」は「原作の筋や内容を生かして作り変えること」です。特に明治時代、まだ外国の生活様式が一般化されていなかった頃、海外の小説などが訳される際には、舞台を日本に移し、登場人物も日本名にした「翻案小説」が数多く書かれました。

改作

「改作(かいさく)」は「元の作品に手を加えて作り直すこと」です。小説なら小説、映画ならば映画を新しい形に作り直すことを言います。現在では「リメイク」と言った方が通りがいいかもしれません。

インスパイア

「インスパイア(inspire)」には「あるもの(作品)に影響を与える」という意味があります。よく“Inspired by〜”という使われ方をしますが、これは「(私は)〜という作品(人)に影響を受けました」という意味です。

アレンジ

「アレンジ(arrange)」には「配置・配列する」「手配する」「再構成する」という意味があります。また「編曲・脚色する」という意味もあります。「脚色」はもとより、翻案、改作、インスパイアなどの意味を包含する、より上位の概念と言えるでしょう。


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