「錯誤」とは?意味や使い方をご紹介

「錯誤」とは簡単に言えば誤り、間違いのことです。「錯誤」を含む四字熟語には「時代錯誤」「試行錯誤」などがあります。ただし法律用語としては国語一般表現と異なる意味があります。この記事では法律用語の「錯誤」についても簡単に紹介します。

目次

  1. 国語一般表現の「錯誤」
  2. 法律用語の「錯誤」
  3. 「錯誤」の種類
  4. 「動機の錯誤」は「法律行為の要素の錯誤」ではない
  5. 「錯誤」まとめ

国語一般表現の「錯誤」

一般表現の「錯誤」とは

「錯誤」は「さくご」と読み、誤り、間違いを意味します。「錯」には混じる、乱れるといった意味があります。
 

  • 「錯覚」を起こす
  • 「錯乱」状態にある
  • 捜査が「錯綜」する

といった言葉に「錯」が使われます。

「錯誤」を使った熟語

「時代錯誤」は、ちがった時代のものを一緒にして取り扱う誤り、昔の考え方で今の世の中を生きていこうとすること、時代遅れのやり方、という意味です。ただ、時代に合っていないかどうかは個人の価値観によるところが大きい面もあります。
 

  • 家事を女性だけに任せるのは時代錯誤だ。
  • 今どき、環境に配慮しないなんて時代錯誤だ。

「試行錯誤」は、あれこれ試して何度もやり直すこと、失敗を重ねだんだん適応することです。誤りや失敗をポジティブに捉えた意味で使われることが多い言葉です。
 
  • この画期的な製品は開発での試行錯誤のおかげだ。
  • 考えてばかりで何もしないよりは、やり始めて試行錯誤しながら改善すれば良いのではないか。

法律用語の「錯誤」

民法第95条では
 

意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない

と規定されています。ただし2020年4月1日より改正民法が施行され条文も変更される予定です。

「法律行為」とは例えば売買契約です。「要素」とはその法律行為の重要な部分、例えば価格です。「無効」とは法律用語では「はじめから起こらなかったことにする」ことです(「取り消し」とは異なります)。「表意者」とは意思表示をした人、例えば店員です。

例えば、自動車の販売で店員が3000万円の自動車を「錯誤」により300万円と表示して、それを見て購入したい人が現れて購入しようとした場合、店員に重大な過失がなければ、その売買契約は無効となります。「重大な過失」があったかどうかは個別に判断されます。もちろん過失の有無に関わらず購入側から無効にする(3000万円で購入する)ことは可能です。

「錯誤」の種類

あらゆる法律には解釈の議論がありますが、基本的には「錯誤」の種類は以下に分類されます。

表示上の錯誤

上に例示したように、3000万円と表示したつもりだったところを300万円と表示していた場合などが「表示上の錯誤」にあたります。

内容の錯誤

「内容の錯誤」は例えば、中身が砂糖の商品が欲しかったのに塩を買ってしまった場合や、国語辞典が欲しかったのに漢和辞典を買ってしまった場合です。ただ、通常は分かりやすく表示されていますので、それを無効とすることは難しいでしょう。

動機の錯誤

「動機の錯誤」は例えば、ライブDVDを観ることができると思ってCDを購入した場合です。「ライブDVDを観る」が動機です。

「動機の錯誤」は「法律行為の要素の錯誤」ではない

注意が必要ですが、「動機の錯誤」はあくまで「錯誤」の種類であり「法律行為を無効にできる」わけではありません。というのも、民法で「錯誤による無効」が認められるのは、既に記載した通り「法律行為の要素の錯誤」があった場合だからです。

例えば、CDショップ等でお客さんが価格を確認して、レジにCDを持ってきて、それを表示価格の通りに購入して持って帰り、封を開け、DVDプレイヤーで再生しようとしたところ再生できずに間違いに気づいたとします。この場合は購入者の過失の有無に関わらず無効は主張できません。

というのも、上記の法律行為=売買の「要素」は「表示価格で店頭でCDを陳列し、レジでそのCDを購入しようとした人に対して、その表示価格でそのCDを販売した」ことだけです。何も「錯誤」はありません。「DVDを観ようと思っている」という「動機」はこの法律行為の中で要素として店員には示されていないからです。ただし、もし店員に対して「私はライブDVDを観るためにこれを買うのだ」と伝えていれば、法律行為の要素になりえます。

「錯誤」まとめ

以上のように「錯誤」は一般の国語表現と法律用語で意味が大きく異なりますので、「錯誤」しないよう注意が必要です。

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