「つるべ落とし」とは?意味や使い方をご紹介

みなさんも「つるべ落とし」という言葉を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?この「つるべ」、じつにさまざまな言葉の由来となっています。本記事では「つるべ落とし」の意味や使い方はもちろん、「つるべ」が由来の妖怪や地名などを幅広くご紹介いたします。

目次

  1. 「つるべ落とし」の意味
  2. 「秋の日はつるべ落とし」の意味
  3. 秋の季語「釣瓶落し」
  4. 妖怪「つるべ落とし」
  5. 地名の由来となった「つるべ落とし」

「つるべ落とし」の意味

よく「秋の日はつるべ落とし」などと言いますが、この「つるべ」とは何か、みなさんはご存じですか? 現代人には馴染みの薄いものなので、つるべと聞いて真っ先に思い浮かぶのが“えびす顔の有名コメディアン”なんて方も多いでしょう。

「つるべ」とは「釣瓶」と書き、「縄や竿の先につけて井戸の水を汲み上げる桶(おけ)」のことです。時代劇などで滑車に通した縄を引っ張って、桶を井戸の底から引き上げているシーンがありますが、その桶が「つるべ」なんですね。

引き上げる際は水の重みがあるので楽々とはいきませんが、空っぽのつるべを井戸に落とすのは簡単です。そのように、「まっすぐ早く落ちること」を「つるべ落とし」といいます。

「秋の日はつるべ落とし」の意味

「秋の日はつるべ落とし」とは、秋の日暮れのはやさを、空っぽのつるべが井戸の底へ落ちるさまにたとえた言葉です。「秋の日」の「日」は日々のことではなく、おひさまの「日」のことなのです。つまり、つるべが落ちるように、秋の夕陽はすぐに沈んでしまうということですね。

「秋の日々はすぐに過ぎ去ってしまう」という意味で使うと誤用になるので注意しましょう。

秋の季語「釣瓶落し」

「つるべ落とし」は俳句の季語にもなっています。文芸評論家の山本健吉が提唱し、秋の季語として定着しました。漢字では「釣瓶落し」という記載が一般的なようです。

ただし、俳句の季語にはなり得ますが、それ以外の文章では「つるべ落とし」が即、秋を意味するわけではないことに留意してください。

時候の挨拶などで使う場合には、「秋の日はつるべ落としと申しますが」「つるべ落としとはよく申しましたもので、近頃はめっきりと日が短くなりました」などと秋の話であることが相手にわかるよう文章を作成しましょう。

妖怪「つるべ落とし」

「つるべ落とし」は、東海・近畿地方に伝わる妖怪の名前でもあります。その行動にはいくつかバリエーションがあるのですが、「つるべ落とし(あるいはつるべ下ろし)」と呼ばれるだけあり、大木の上からつるべのように落ちてくる、実際につるべを落とすなど、高低差を利用したアクションは共通しています。

バリエーションに関しては、たとえば木の上から落ちてきて通行人を驚かせるという他愛ないものや、罠を仕掛けて人間を食い殺すという凶悪なものなど、なかなか多彩です。妖怪には座敷わらしのような幸福をもたらす類のものも存在しますが、つるべ落としはそれには該当しないでしょう。

外見についてはあまり語られておらず、一部地域の伝承では生首だけの姿であるとされています。この伝承を元にしたのか、『ゲゲゲの鬼太郎』のなかで作者水木しげるは、妖怪・つるべ落としを髭面で頭髪のない男性の生首として描いており、現在はこのイメージがポピュラーなものとなっています。

地名の由来となった「つるべ落とし」

秋の季語やことわざ、妖怪の名前など、さまざまなものの由来となっている「つるべ落とし」。じつは地名の由来にもなっているのをご存じですか?

青森・秋田県は、ユネスコ世界遺産にも登録された、標高1,000メートル級の山岳地帯「白神山地」を有していますが、その東端に「釣瓶落峠(つるべおとしとうげ)」という峠があります。ちょうど青森と秋田の県境に位置しており、「釣瓶トンネル」というトンネルが2つの県にまたがる形で通っています。

釣瓶トンネルができる以前、この峠は200メートルの崖を鎖を使って行き来しなければならない難所でした。このことから、「つるべ落とし」に見立てて「釣瓶落峠」と呼ばれるようになったのです。

残念ながら平成30年度は道路補修のため通行規制が敷かれているようですが、紅葉の時期の釣瓶落峠は景勝なので、つるべ落としの秋を満喫に出かけてみてはいかがでしょう。

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