「さんずいに王」は何と読む?汪=オウ、中国で多い姓・水の深さ

漢字クイズで「さんずいに王」を見かけて、『王様の王?水に王を足してどう読むんだろう』と首をかしげたことはありませんか。答えは「汪」と書いて、音読みは「オウ」、訓読みは「おお(きい)・ひろ(い)」です。水が深くて広いさまを表す漢字で、中国ではごく一般的な姓としても使われています。日本では常用漢字に入っておらず、日常会話で出ることは少ないものの、中国の人名や古い文献で思いがけず出会う一文字です。

さんずいに王とは?さんずいに王の意味

「さんずいに王」=「汪」=音読み「オウ」/訓読み「おお(きい)・ひろ(い)」。水が深く広いさまを表し、中国では姓として多い字。

さんずいに王の説明

「汪」はさんずい(氵)に「王」を組み合わせた漢字で、音読みは「オウ」、訓読みは「おお(きい)・ひろ(い)」です。常用漢字ではないため、日本の学校教育ではほとんど扱われず、新聞や公文書でも使われません。意味は「水が深くて広いさま」で、水がわき出て広がる様子を表します。代表的な熟語に「汪洋(おうよう)」があり、水面が広々としているさま、または文章や気量の広大なさまを意味します。「汪洋大海」「汪洋自恣」などの四字熟語にも使われ、「汪溢(おういつ)」は水があふれることを意味します。中国では「汪」は姓としても大変多く、漢字文化圏の人名で頻繁に見かけます。表記ゆれはほとんどありませんが、形が似た「沍(こ・水が凍る)」「汢(ぬた・日本製の国字)」と混同しやすいので注意が必要です。

水の広がりと中国の大姓、一文字に二つの顔があるのが面白いですね。

さんずいに王の由来・語源

「汪」は水に関する字なので、もしかして日本で作られた国字ではないかと思われるかもしれません。ところが「汪」は古代中国で生まれた由緒正しい漢字です。字源については諸説ありますが、有力なのは、さんずい(氵)が「水」の意味を担い、右側の「王」が「オウ」という音を表す形声文字という見方です。上古中国語で「王」は「*waŋ」に近い発音を持ち、「汪」もほぼ同じ音だったとされています。もう一つの説として、「王」の部分に「大きく広がる」というイメージが込められているという解釈もありますが、こちらは音重視の見方より支持は限定的です。いずれにせよ「汪」は中国製の漢字であり、日本で作られた国字ではありません。

「王」は王様ではなく音の担当だと知ると、漢字の構造が見えてきますね。

さんずいに王の豆知識

「汪」は中国語で「Wāng(ワン)」と読みます。中国では姓として圧倒的に有名で、現代中国の人口統計でも上位20位前後に入る大姓です。特に安徽省や江蘇省など華東地方に多く、歴史人物では清末の外交官・汪大燮、汪兆銘(おうちょうめい)らが知られます。ところが日本ではまったく扱いが異なり、人名に使われることはほとんどなく、漢文や熟語のなかでしか出会いません。意味の面では日中ともに「水が深く広い」で一致しますが、中国では「汪」と聞けばまず姓を思い浮かべる点が、日本での印象と大きくズレています。

さんずいに王のエピソード・逸話

「汪洋」は中国古典で水の広がりを表す言葉として古くから使われ、『荘子』の「汪洋自恣(おうようじし)」が有名です。これは水が広々としているさまから、自由奔放で伸びやかな文章や言説を指すようになった表現で、現代中国語でも雄大な筆致をほめる言葉として生きています。日本でも漢詩文で「汪洋」はたびたび詠まれ、湖や海の広がりをうたう場面で目にすることができます。また中国の安徽省徽州地方では、明代に「汪」姓の商人が「徽商」として栄え、経済史に名を残しました。現在の中国でも汪姓の人物は政治・経済・スポーツの各分野に多く、ニュースの人名表記で日常的に出会います。

さんずいに王の言葉の成り立ち

「汪」は、意符のさんずい(氵)と、声符の「王」からなる形声文字です。形声は意符が意味を、声符が音を担うしくみで、「汪」の場合、水に関わる意味はさんずいが、発音の「オウ」は「王」が表しています。上古中国語では「王」も「汪」も「*waŋ」に近い発音で、同じく「王」を声符に持つ「枉(おう)」などと音のグループを形成しています。なお、さんずいの字には中国製の「江・河・海」と、日本で独自に作られた国字「汁(しる)」「汢(ぬた)」の二系統があり、「汪」は前者に属します。常用漢字表にない字ですが、JIS第一水準に収録されているため、フォントによっては表示が可能です。

さんずいに王の例文

  • 1 漢字クイズで『さんずいに王』を出されて、答えの「汪」を「おう」と読むんだと知り、中国の姓だったのかと納得した
  • 2 中国出張の名簿を見ながら同僚が『汪さんって中国ではありふれた姓なんだって』と教えてくれて、そのまま汪洋大海の話に発展した
  • 3 子どもに『さんずいに王は何て読むの?』と聞かれ、辞書を一緒に引いて「おう」と読むことと、水が広いさまを表すことを教えた
  • 4 中華料理店の領収書に「汪」の文字を見つけ、オーナーの姓だと知って、中国の姓の話で店の人と盛り上がった
  • 5 スマホで「おうよう」と打ったら「桜花」ばかり出て「汪洋」が出てこず、やっぱり常用漢字じゃないんだと実感した

「汪」の字源をひもとく

「王」が右側にあるので、王様の権力や大きさが由来かと想像する人が多いのですが、実は「王」は意味ではなく音を担当しています。「汪」はさんずい+「王」の形声文字で、さんずいが「水」の意味を、右側の「王」が「オウ」という発音を表しているというのが通説です。つまり王様とは関係がなく、水が深くて広いさまを表す字として中国で作られました。

  • 形声文字:さんずい(氵)が「水」の意味、右の「王」が音「オウ」を表す
  • 国字ではなく、古代中国で成立した漢字
  • 熟語「汪洋」は水面の広がり、転じて文章・気量の雄大さを指す
  • 「汪溢(おういつ)」は水があふれる意
  • 中国では「ワン」と読み、人口上位に入る大姓

紛らわしいさんずいの漢字と見分ける

さんずいの字はどれも水に関係するため、一見すると見分けがつきにくいもの。特に「汪」は「沍」「汢」「江」などと右側の形が違うだけで、読みも意味もまったく別になります。表にまとめて確認しましょう。

漢字〇へんに読み方意味
さんずいに王 オウ・おお(きい)・ひろ(い) 水が深く広いさま。中国の姓
さんずいに互 コ・こお(る) 水が凍る。寒さが身にしみる
さんずいに土 ぬた 湿地・沼地。日本製の国字
さんずいに工 コウ・え 大きな川
さんずいに立 キュウ・な(く) 涙を流してなく

「汪」の覚え方と使いどころ

「さんずいに王」を忘れないための覚え方は、音に注目する方法です。「王」は音「オウ」を表すので、『王様のオウ』とセットで覚えると読み間違いにくくなります。意味の面では、さんずいが水を表すので、『水が深くて広い』というイメージを水に結びつけましょう。中国の人名で出会ったときに『この汪は水の広がりの字だ』と想起できると、記憶に残りやすいはずです。

  • 中国では「汪」は姓として頻出。汪兆銘などの人名で目にする
  • 四字熟語「汪洋大海」で水面がどこまでも広がるさまを表す
  • 「汪溢」は水があふれる意。水に関わる字だと再確認できる
  • 常用漢字・人名用漢字には入っていないので、正式文書では使わない
  • 沍(こ)・汢(ぬた)とは右側の形で見分ける

よくある質問(FAQ)

「汪」の読み方は?

「汪」は音読みで「オウ」、訓読みで「おお(きい)」「ひろ(い)」と読みます。漢音・呉音ともに「オウ」で、日本語の辞書には「おう」で収録されています。常用漢字ではないため、新聞や公的文書では使いませんが、中国の人名や古典文学で読む機会があります。

なぜ「さんずいに王」というつくりなの?

「汪」はさんずい(氵)に「王」を組み合わせた形声文字です。さんずいが「水」の意味を表し、「王」は「オウ」という音を表しています。つまり右側の「王」には王様という意味はなく、発音を借りているだけです。水が深くて広いさまという意味は、主にさんずいが担っています。

「汪」は常用漢字?スマホで変換できる?

「汪」は常用漢字にも人名用漢字にも入っていない表外漢字です。ただしJIS第一水準に収録されているため、機種や環境によってはスマホやパソコンの変換で「おう」から出てくることもあります。日本の官公庁や新聞の表記では使われないので、変換できない環境も多いのが実情です。

「汪」に似た漢字との見分け方は?

「汪(おう)」と「沍(こ)」、「汢(ぬた)」はさんずいが付く点で形が似ています。沍は「氵+互」で、水が凍る・寒さの意味を持ち、汢は日本で作られた国字で湿地・沼地を表します。見分け方は右側の形に注目するのがコツで、右が「王」なら汪、右が「互」なら沍、右が「土」なら汢です。

「汪」はどんな場面で使う?

日本では「汪洋(おうよう)」という熟語で、水面が広々としているさまや、文章・気量が雄大なさまを表すときに使います。四字熟語では「汪洋大海」が代表的です。また中国では姓として非常に多いため、中国人の名前や名簿、ニュースの人名表記でよく出会います。