「満身創痍」とは?意味や使い方をご紹介

「満身創痍」という言葉は、身体や心、もしくはその両方がひどく傷ついている状態のことを表現する言葉です。交通事故にあった人、故障を抱えたスポーツ選手など、様々な状態の人を形容するのにとても重宝します。ここでは、そんな「満身創痍」の意味や使い方をご紹介しています。

目次

  1. 「満身創痍」の意味
  2. 「満身創痍」という四字熟語
  3. 「満身創痍」の使い方
  4. 「満身創痍」の関連語句
  5. 「満身創痍」のまとめ

「満身創痍」の意味

「満身創痍(まんしんそうい)」には、二つの意味があります。

「満身創痍」の一つ目の意味は、全身傷だらけという意味です。最近では、傷はなくても病気でひどく苦しい場合にも用います。二つ目の意味は、激しい非難や中傷で精神的に痛めつけられている状態のことを指します。実際に傷が有るわけではありませんが、精神的なダメージが身体にも影響し、疲れはてている様子を表現しています。

「満身創痍」という四字熟語

「満身」は全身や身体中のことを指しています。

また、「創」と「痍」は傷のことですが、特に「創」の文字は傷の中でも刃物で受けた傷のことを表しています。似た意味の言葉が重なって、傷を受けている状態を強調しています。

ちなみに、「満身創痍」は漢字検定一級レベルの四字熟語です。

「満身創痍」の使い方

「満身創痍」の使い方を、例文を通して見てみましょう。

「満身創痍」の例文

  1. その老女は全身に癌が転移し「満身創痍」の状態であったが、孫が見舞いに来た時だけは気丈に笑顔で振舞い、癌を患っていることなど微塵も感じさせなかった。
  2. ラグビー・ワールドカップの決勝戦では、両チームともに数々の熱戦を制した「満身創痍」の選手たちが気迫溢れるプレーを見せてくれた。
  3. ネット上の心無い誹謗中傷の言葉に心が傷つけられ「満身創痍」だ。

「満身創痍」の引用

“右隣りにゐる李さんの如きは全身疵だらけで、文字通り満身創痍だ。”
『重病室日誌』:北條民雄
 
“既に満身創痍の観ある日本帝国は、果して跳ねかえすだけの力があるだろうか。”
『空襲葬送曲』:海野十三
 
“中学を卒へてから私は遊学のため上京叔父のもとへころがりこんだが、已にそのころ満身創痍の態にあつた傷心の叔父に懇望され、夏は山、冬は南海へといふ式にまことに道行のやうな愚劣な旅をつづけねばならず、帰省する折がなかつた。”
『狼園』:坂口安吾

※青空文庫出典

例文から「満身創痍」という言葉は、肉体的・精神的に傷ついている状態を表していることがわかります。ただし、スポーツの場面では怪我に至らなくても、肉体を酷使して疲れ切っている状態を「満身創痍」と表現することがあります。

「満身創痍」の関連語句

「満身創痍」の類義語や対義語です。

「満身創痍」の類義語

・百孔千傷(ひゃっこうこうせん)
たくさんの傷がありボロボロな様子。

・気息奄奄(きそくえんえん)
息が絶え絶えで、今にも死にそうな様子。また、物事が非常に苦しい状態のこと。
 
・半死半生(はんしはんしょう) 
・半生半死(はんしょうはんし)

ほとんど死にかかっていること。 ※物のたとえであり、実際に瀕死の状態の人に用いない。

・疲労困憊(ひろうこんぱい)
疲れ切っている様子、ひどく疲れて苦しんでいる様子。

・残息奄々(ざんそくえんえん)
息も絶え絶え、なんとか呼吸ができている様子、しんでしまいそうな状態。ある事柄な消えてしまいそうなほど苦しい状況のこと。

「満身創痍」の対義語

・元気溌剌(げんきはつらつ)
非常に元気で、生き生きとしている様子。

・無傷(むきず)
傷がないこと。

・平穏無事(へいおんぶじ)
何事もなく穏やかで平和な状態。

・無病息災(むびょうそくさい)
病気がなく、健康な様子。

「満身創痍」のまとめ

例えば、交通事故にあって重傷の人に「全身傷だらけで骨折もしていて、ボロボロですね。」と面と向かって言うことは、通常でしたらはばかられるところだと思います。しかし、そういう場面で「満身創痍のお身体でお気の毒です。」などと使用すれば、相手の状況をオブラートで包んだ表現が可能になります。

みなさんも、この機会に「満身創痍」という言葉の理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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