「きたす」とは?「支障をきたす」の意味と使い方・例文一覧

「支障をきたす」の「きたす」とは、特定の結果や状況を「引き起こす」「もたらす」という意味の動詞です。電車の遅延アナウンスやビジネス文書で頻出するこの言葉、実は平安時代から使われてきた由緒ある日本語。正しい意味と使い方を例文たっぷりで解説します。

きたすとは?きたすの意味

特定の結果や状況を招く、引き起こす、もたらすという意味の動詞。特に「支障をきたす」「混乱をきたす」のように、好ましくない結果が生じることを表す。

きたすの説明

「きたす」は、何らかの原因によって特定の(多くの場合好ましくない)結果が生じることを表す動詞です。最も頻出するのが「支障をきたす」で、業務や日常生活に差し障りが出たことを意味します。その他「混乱をきたす」「不都合をきたす」「変調をきたす」など、ネガティブな結果に限定して使われるのが現代語の特徴です。語源は古語「来(き)たす」で、もともとは「来るようにする」「招き寄せる」という中立的な意味でしたが、時代とともにネガティブ文脈での使用が定着しました。ビジネス文書では「業務に支障をきたす恐れがあります」のように、リスクを伝える定型表現として重宝されます。注意点として、ポジティブな結果(「利益をきたす」など)には使わないのが現代の標準的な用法です。

知っているようで意外と詳しく知らない言葉のひとつですね。使いこなせると表現の幅が広がります。

きたすの由来・語源

「きたす」の語源は古語の「来(き)たす」に遡ります。元々は「来るようにする」「招き寄せる」という意味で使われていました。平安時代の文献では、人を招く際や物事を引き寄せる意味で用いられています。時代とともに意味が変化し、中世以降には「結果をもたらす」「引き起こす」という現在の意味合いが強まりました。特に「支障をきたす」のような否定形の結果を表す用法が定着したのは江戸時代以降とされています。

言葉の変化から歴史が見えるのは、本当に興味深いですね。

きたすの豆知識

面白いことに、「きたす」は現代ではほとんど「支障をきたす」「混乱をきたす」などネガティブな結果にしか使われませんが、かつては「幸せをきたす」「成功をきたす」といったポジティブな用法も存在しました。明治・大正期の文学作品には「繁栄をきたす」のような表現も散見されます。また、法律文書や公式文書で好んで使われる傾向があり、日常会話では「引き起こす」や「もたらす」に置き換えられることがほとんどです。

きたすのエピソード・逸話

作家の村上春樹氏は、インタビューで「長編小説を書いていると、時に思考の混乱をきたすことがある」と創作の苦労を語っています。また、イチロー氏はアメリカでのプレーを振り返り「言語の壁が当初は大きな支障をきたしたが、それを乗り越えることで成長できた」と述べています。さらに、小泉純一郎元首相は改革について「一時的な混乱をきたすことは避けられないが、長期的には必要だ」と発言し、話題になりました。

きたすの言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「きたす」は他動詞として分類され、目的語を必要とする点が特徴です。文法上、「~をきたす」という形で使用され、その結果が非意図的である場合が多いです。また、現代日本語では「きたす」が受身形で使われることは稀で、ほとんどが能動態で用いられます。歴史的には、上代日本語のカ行四段活用動詞「きたす」から発展し、中古日本語ではすでに現在の意味に近い用法が確認されています。英語の「cause」や「bring about」に相当しますが、ネガティブ結果に限定される点が日本語独特です。

きたすの例文

  • 1 夜更かしが続いて翌日の会議に支障をきたした。集中力が切れて上司の質問に答えられなかった。
  • 2 システム障害により、全国の支店で業務に重大な支障をきたしている。
  • 3 過密スケジュールが原因で心身に変調をきたし、医師から休養を勧められた。
  • 4 チーム内のちょっとした行き違いが、やがて大きな混乱をきたすことになった。
  • 5 過度なコストカットがかえって品質低下をきたし、顧客離れを招いた。

「きたす」の使い分けポイント

「きたす」を使う際には、いくつかの重要なポイントがあります。まず、この言葉は基本的にネガティブな結果や望ましくない状況を表す際に使用されます。例えば「支障をきたす」「混乱をきたす」などが典型的な例です。逆にポジティブな結果を表す場合は、「もたらす」や「招く」などの別の表現を使うのが適切です。

  • フォーマルな文書やビジネスシーンで効果的
  • 主語が物事や状況であることが多い
  • 「~をきたす」の形で使うのが基本
  • 受身形での使用は稀

言葉の選択は、場面と相手を考えて適切に行うことが大切です。

— 国語学者 金田一京助

歴史的な変遷と現代での位置づけ

「きたす」は、平安時代から使われている古い言葉です。元々は「来るようにする」という意味でしたが、時代とともに「結果をもたらす」という意味に変化しました。明治時代以降、法律文書や公文書で頻繁に使われるようになり、現在のような格式ばった印象が定着しました。

現代では、特にビジネス文書やニュース報道で重宝される表現です。ただし、若い世代では使われる機会が減っており、より平易な「引き起こす」や「もたらす」が好まれる傾向があります。

関連用語と表現のバリエーション

関連用語意味使用例
招く 人を呼ぶ、結果を引き起こす 誤解を招く
もたらす 結果を持って来る 利益をもたらす
引き起こす 原因となって起こす 問題を引き起こす
誘発する きっかけとなって起こす 反応を誘発する

これらの類語と「きたす」の大きな違いは、使用される文脈のフォーマルさと、結果の性質にあります。「きたす」は格式ばった表現で、主にネガティブな結果に使われる点が特徴的です。

よくある質問(FAQ)

「きたす」と「引き起こす」の違いは何ですか?

「きたす」はフォーマルな場面や書き言葉で使われ、「支障をきたす」のような定型表現で用いられます。一方「引き起こす」は日常的で、ポジティブな結果にも使えます。「きたす」はほぼネガティブな結果に限定される点が最大の違いです。

「きたす」をビジネスメールで使うのは適切ですか?

はい、非常に適切です。「ご不便をおかけして申し訳ありません」のような謝罪文や、「進行に支障をきたす可能性があります」というリスク伝達でよく使われます。フォーマルな印象を与えられるため、ビジネスシーンでは積極的に使いたい表現です。

「きたす」の過去形はどうなりますか?

「きたした」が過去形です。例:「システム障害が業務に支障をきたした」「その発言が会議の混乱をきたした」。現在進行形では「きている」、未来の可能性では「きたすだろう」「きたす恐れがある」を使います。

「きたす」の類語にはどんな言葉がありますか?

「招く」「もたらす」「引き起こす」「誘発する」が主な類語です。よりフォーマルな場面では「惹起する(じゃっきする)」「齎す(もたらす)」も使われます。文脈に応じて適切な言葉を選びましょう。

「きたす」はポジティブな意味でも使えますか?

現代語ではほぼネガティブな文脈に限定されます。かつては「幸せをきたす」のような用法もありましたが、現在では「好結果をもたらす」など別の表現を使うのが無難です。ビジネス文書でも「利益をきたす」とは言わず「利益をもたらす」とします。