「しがらみ」とは?意味や使い方を例文も含めてご紹介

「しがらみ」という言葉の意味をご存知でしょうか。「世の中のしがらみ」や「過去のしがらみ」といった言葉に聞き覚えがある、苦い思い出がある、という方もいるかもしれません。漢字では「柵」と書きます。ここでは、「しがらみ」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「しがらみ」の意味
  2. 「しがらみ」の使い方
  3. 「しがらみ」の類語
  4. 「しがらみ」の役割

「しがらみ」の意味

「しがらみ」(漢字表記:「柵」)とは、川の中に杭を打ち並べて、横向きに竹や木などを渡した構造のことをいい、転じて「柵(さく)」「せきとめるもの」「まといつくもの」という意味があります。

一般に、「角材などを用いて地面に立てられて、土地の境界・区画を設けたり、敵の侵入を防ぐもの」を「柵:さく」と言い、構造は同じでも、川の中に立てられるものを「柵:しがらみ」と呼びます。

また、「流れをせきとめるもの」の意からか、慣用表現として「世の中のしがらみ」などのように、解きがたい因果、解決が難しい障害要素、複雑に入り組んだ問題や制約、頭を悩ますものと言った意味で使われることもあります。

「しがらみ」の使い方

物理的構造(川の中に設けられる柵)としての「しがらみ」は今日ではほとんど見られず、また言葉としてもほとんど見聞きしません。

「しがらみ」が使われるのはほとんどの場合、慣用句としてであり、本来あるべき理想的な「流れ」をせきとめ、まといついて束縛するような何らかの仕組み、システム、慣習、概念などを指して使います。

また、大抵の場合、「しがらみ」は単純で与しやすい種類の問題ではなく、大変複雑であったり、問題の規模が大きかったりするために「どうしようもないような」物事を指します。よく言われるのは「現実のしがらみ」「社会のしがらみ」などです。

基本的にひらがな表記でOK

「しがらみ」は「柵」と書くと「さく」の意味・読み方を連想する方が大多数と考えられますので、基本的にはひらがな表記で使いましょう。

例文

  • 自分の才能ひとつで名を上げた彼女でも、出身大学の学閥や、芸能界の暗黙のルールなど、社会のしがらみからは逃れられず、食べていくためには各界の大物の意向をうかがう必要があった。
  • 彼が家出同然に東京へ出てきたのは、封建的な家族や、固定化された人間関係など、地元のさまざまなしがらみに縛られたくなかったからだ。
  • このオンラインゲームは、「現実のしがらみから己を解放し、仮想空間で存分に遊べ」をキャッチコピーにしている。
  • あの子の実家は地方では有名な旧家だが、相続争いやら分家騒動やら、何かとしがらみが多いらしい。
  • 競争社会で生きる上でのさまざまなしがらみに疲れ果てた男は、静かな島国に隠居して、最愛の猫とともに余生を全うすることを望んだ。

「しがらみ」の類語

物理的な構造としての「しがらみ」は、「柵:さく」「フェンス」(英語:fence)などと言い換えられますが、慣用句としての「しがらみ」は何と言い換えたらよいでしょうか。

「しがらみ」自体が抽象的な言葉ですので、言い換えにはニュアンスを考慮する必要がありますが、主な類語としては義理」「邪魔」「束縛」「問題」「事情」「因縁」「関係(性)」「つながり」「面倒」「繋縛(けいばく)」「鬱陶しい」などが挙げられます。

「しがらみ」の役割

物理的構造としての「しがらみ」は、何のための構造なのでしょうか?結論からいうと、「しがらみ」は川の水の流れの向きを変えたり、水流をコントロールしたりするための構造物です。

耕作には水が欠かせませんから、河川に「しがらみ」を立てて田畑に水を引くのに利用したわけですね。水田の取水用途以外にも、洪水対策など治水のために作られた「しがらみ」もあると考えられています。

現在では河川工事の技術が発達していますからほとんど「しがらみ」を見る機会はないでしょう。しかし、かつては農耕、ひいては生活に欠かせないものであったと考えると、現代の慣用句としての意味が意外に思われるかもしれません。


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