「台頭」とは?意味や使い方をご紹介

「台頭」という言葉は、権力者が新たに出てきた流れなどで、日本史や世界史の授業で耳にしたことがあるかもしれません。また、新しい物事が出てきた時に新聞記事で目にする表現という印象を持つ人もいるでしょう。こちらでは「台頭」の意味や使い方について説明しています。

目次

  1. 「台頭」の意味とは?
  2. 「台頭」の使い方と例文
  3. 「台頭」の類語

「台頭」の意味とは?

「台頭(擡頭)」(たいとう/「だいがしら」と読む場合も)の意味は以下の通りです。

  1. 勢いを増す
  2. 上奏文(旧憲法で天皇に意見を申し上げる際の文書)で身分の高い人の名前や関連した語が出てくる時に、改行し一段高い所に書くこと。その人物などに敬意を払うために行った。

国の体制が変わったため、現在は1の意味で使われることがほとんどです。もともと「擡頭」という熟語でしたが、時代が下るにつれて読みが同じ「台頭」に置き換わるようになりました。

この記事では、1の意味の「台頭」について解説します。

「擡頭」とは

「台頭」のもとになった「擡頭」とは、「頭を擡げる(もたげる)」ことです。「もたげる」は持ち上げることを。「頭をもたげる」は、隠していたことや隠れていたことが考えに浮かぶ様子や、勢いを増すことを表します。

なお、「擡頭」は、「擡」の異体字の「抬」を使って「抬頭」と表記する場合もあります。

「台頭」の使い方と例文

「台頭」は、人物、組織や団体、物事などが勢力を増すことを表します。その際、それらの性質の良し悪しに関わらず使えます。

もともとの「擡頭」の意味は「頭を持ち上げること」ですから、今までも隆盛を誇っていた人物や団体、物事などがさらに勢いづいた時に使う例はあまり見られません。

次の項目から、「台頭」の使い方について、「勢いを増す」「歴史で使う場合」の2つのケースに分けて説明しましょう。

勢いを増す

「台頭」を使う場合、新興国や新しい物事、それまで少数派だった団体などが、徐々に力を付けて目立つようになり勢力を増していく様子を表現する場合に使います。

【例文】

  • 鳴りを潜めていた改革派の政党は、民意を受けて台頭し、議席を増やした。
  • 経済の発展がめざましいA国は、次第に国際社会に台頭してきている。
  • 新しい技術が台頭し、多くの人が恩恵を受けている。

歴史で「台頭」を使う場合

歴史を語る時、取るに足らない存在だった人物や組織などが権力を得て勢いを増し、旧勢力を駆逐して広範囲に影響を及ぼしていく様子を表すために、「台頭」を使うこともあります。

【例文】

  • 平清盛は武士として貴族に仕える身だったのが、台頭して太政大臣まで上りつめた。
  • 第1次世界対戦の後に、イタリアやドイツなどでファシズムが台頭していった。
  • 戦国時代に台頭した武将と言えば、織田信長を挙げる人も多いだろう。

「台頭」の類語

頭角を現す

頭角を現す」(とうかくをあらわす)とは、優れた才能や技能が他の人よりも際立って目立つような存在になることを表す言い回しです。目に見えて才能などが際立ってくることを、「めきめきと頭角を現す」と言うことがありますね。

「頭角を現す」の出典は、中国の文人、韓愈(かんゆ)が作った『柳子厚墓誌銘』(りゅうしこうぼしめい)です。

亡き友人で文人の柳宗元(りゅうそうげん)(「子厚」は字)の墓の碑文に、「(故人が)国家試験に及第するほど抜きん出て、頭角を現した」と記したところから来ています。

【例文】

  • 彼は若い頃から頭角を現し、リーダーシップに富んだ人間だった。
  • 彼女は、昨年あたりからデザイン界でめきめきと頭角を表し始めた。

勃興

勃興」(ぼっこう)とは、団体や組織などが急に力をつけて勢力が盛んになることです。勢力が増すのは「台頭」と似ていますが、「台頭」には「急速に」というニュアンスはありません。

【例文】

  • ITの分野ではベンチャー企業が勃興して、老舗の企業はうかうかしていられなくなった。
  • 若い世代を味方に付けた新しい派閥が勃興して、無視できない流れになっている。

存在感を増す

存在感を増す」(そんざいかんをます)は、人もしくは物事が重要な位置を占めているという印象が強くなることを表す言い回しです。「存在感」とは、人や物事へ強い印象が残る感じを表しています。

「台頭」とは意味合いが異なりますが、勢力が増すことにより、多くの人にその存在を知らしめる点では「存在感を増す」と似ています。

【例文】

  • 天皇の外祖父となることで、藤原氏は貴族の中で存在感を増すことができた。
  • 大株主となって、ある企業への存在感が増し、発言力を強められた。


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