「眷属」とは?意味や使い方をご紹介

「眷属」という言葉をご存知でしょうか。日ごろなかなか使わない言葉ですので、読み方からしてわからないという方も多いかもしれません。「眷」の字の意味も確認しておきましょう。ここでは、「眷属」という言葉の意味や使い方を、字義や類語も含めてご紹介します。

目次

  1. 「眷属」とは?
  2. 「眷属」の使い方
  3. 「眷」の字義
  4. 「眷属」の類語

「眷属」とは?

「眷属」(「眷族」とも書く)は、<けんぞく>と読み、以下のような意味があります。

  1. 一族、親族、身内、族(うから)
  2. 従者、家の子、腹心(ふくしん)のもの
  3. 仏・菩薩に付き従うもの

このうち、いちばんわかりやすいのは1の意味かもしれません。「家族」より意味の幅が広く、同じ血統や同じ氏(うじ:血縁関係のある集団)に属するものを集合的に言い表します。

2や3の意味は、血統に代表されるある種の「原理」を中心・本源とみなして、それに従い属する者たちを指しています。例えば、仏教における「十二神将」は、薬師如来の眷属であるということができます。

「眷属」の使い方

「眷属」は、例えば「〇〇の眷属」というかたちで、血統や、何らかの本源的概念に属する存在、およびそれに付き従い、それのために奉仕する存在を指して使います。

現代日本語においては、人間の血統や血縁集団についてこの言葉が使われることはほとんどありません。自由主義の市民社会において、血統や一族の思想に属するという考えがあまり支配的でないことが要因として挙げられるかもしれません。

そのため、実際の使い方としては「神の眷属」「闇の眷属」のように概念的・比喩的な用法が目立ちます。創作物の中などでは想像上の怪物などが「原理」として据えられることもあり、オカルトで呪術的なイメージをともなうことも少なくありません。

例文

  • かつて栄華をきわめた家も今は見る影もなく、眷属たちは方々へ離散してしまった。
  • 〇〇一族の長は、妻子や眷属たちのことを思うとまだ死ねないと息巻いた。
  • アフリカのある文化圏では、野生の動物を神の眷属として信仰の対象とし、畏敬の念をもって接していた。
  • ヴァンパイアの若き姫君は、侍(はべ)らせた蝙蝠(こうもり)たちを眷属と呼んでかわいがっていた。

「眷」の字義

「眷」(ケン)の字は、「還」(カン)の字に通じており、以下のような意味を持っています。

  1. かえりみる。振り返ってみる。目をかける、慈(いつく)しむ。
  2. 心が向かう。心ひかれる。こいしたう。
  3. めぐみ。なさけ。
  4. みうち。親族。ともがら。

こうして意味を並べてみると、何かをもう一度見つめなおしたり、自らの心や思いをじっと内省したりするさまが浮かぶのではないでしょうか。

語源そのものは定かではありませんが、4の意味は、自らが属するもの、血統や一族の絆などをあらためて気にかけ、省みることから、「眷属」という言葉にも通じたのかもしれません。

「眷」の字を含む熟語など

  • 眷焉(けんえん)…思いをかけてかえりみるさま。眷然。
  • 眷遇(けんぐう)…目をかけて手厚くもてなす。眷接。
  • 眷々(けんけん)…かえりみるさま。こいしたうさま。
  • 眷厚(けんこう)…情けをかけて親切なこと。
  • 眷命(けんめい)…いつくしんで命令をくだす。

「眷属」の類語

「眷属」の類語としては、以下のような言葉が該当します。

  • 類縁…同じ血を引いている人。一族。
  • 血族…同じ祖先から出て血統がつながっている人々。
  • 同族…同じ血筋・種族に属すること。
  • 宗族(そうぞく)…本家と分家の全体。
  • 一門…一家族または同家系の一族。流派を同じくする人々。同じ法門のもの。

上に挙げた類語は、自身がその一族に一体化しており上下関係には言及されていません。しかし、「従属」(命令を受ける下位の存在)というニュアンスに注目すれば、以下のような言葉も「眷属」の類語足り得ます。
  • 手下…ある人の命令を受けて行動する人。部下。配下(はいか)。手先(てさき)。
  • 使い魔…使役される魔物。例えば、吸血鬼が操る蝙蝠など。


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