「極まりない」とは？意味や使い方をご紹介

「極まりない」とだけ言われても、なんの意味なのかわかりませんね。「極まりない」は、その前にほかの言葉が置かれてはじめて成立する言葉です。

「極まりない」とは、「極まる」の連用形「極まり」という、極限点、限界点を表す言葉に、形容詞化する接尾辞「ない」がついた構成の言葉で、形容詞として扱われます。

「極まりない」単体は、このうえなくはなはだしい、という意味の言葉です。形容動詞の語幹に付いて、このうえなく～だ、ということを表現します。「危険だ」という形容動詞を例とすれば、「このうえなく危険だ、危険極まりない」という意味になります。

「極まりない」がよく使われる表現をいくつか列挙してみます。「危険極まりない」「不愉快なこと極まりない」「失礼極まりない」「不潔極まりない」「軽率極まりない」…。枚挙にいとまありませんが、留意すべきポイントは、すべてネガティブな意味であることです。

「～極まりない」が使われる場合、上につく形容動詞はほぼ間違いなくネガティブな意味のものです。たとえば「綺麗極まりない」は文法的に誤りではありませんが、やや不自然です。ポジティブな形容動詞はまず使われないと理解してよいでしょう。

形容動詞の語幹は「極まりない」の前に置かれますが、形容動詞に「こと」をつなげて（～なこと極まりない）という用例もあります。「軽率極まりない」と「軽率なこと極まりない」はどちらも正しい使い方です。

• 私の軽率極まりない行いにより、皆様に多大なご迷惑をおかけしましたことをお詫び致します。
• 彼氏の不潔極まりない部屋に初めて入ったA子の頭に、別れの選択肢がよぎった。
• この遊具は危険なこと極まりない。即刻使用中止にすべきだ。
• 謝罪会見でのアイドルBの横柄極まりない態度に、かえって世論は批判的な見方を強めた。
• 突然自宅に押し掛けて文句を言うとは、失礼なこと極まりないぞ。

「極まる」が「極まりない」の類語であるということは、時に多くの混乱をもたらします。「極まりない」は「極まる」の否定形なのに、このふたつが同じ意味のわけがない、と疑問をもつ人も多いようです。

実は、「極まりない」は、「極まる」の否定形ではありません。「極まる」は動詞であり、その否定形は「極まらない」です。上述したように、「極まりない」は（このうえなくはなはだしい）という意味の形容詞ですから、「極まる」はその類語といえるのです。

「極まる」も「極まりない」と同様に、その前に形容動詞の語幹が置かれますが、「～なこと極まる」とはいいません。また、ネガティブな意味の形容動詞が接続することが多いですが、ポジティブな形容動詞も使われる点が異なります。

【例文】

• 君のその態度は無礼極まるよ。
• 嵐の前夜にボートを出すなどという危険極まる計画はやめてほしい。
• 三年ぶりの親友との再会に、C子は感極まって泣き出した。

「この上ない」は、これ以上ない、勝るものはない、無上の、などの意味を表す言い回しです。「極まりない」とは逆に、ポジティブな意味のものに付いて意味をなすことが多い傾向があります。

「～この上ない」「～なことこの上ない」「この上ない～」などの使い方がほとんどです。

【例文】

• 全員元気で楽しい家族旅行ができて、幸せこの上ない時間だった。
• 母校が甲子園で優勝したんだ、嬉しいことこの上ないよ。
• 子どもが幸せに巣立つことは、親にとってこの上ない喜びだ。