「粗相」とは?意味や使い方をご紹介

「粗相」(そそう)の意味をご存知でしょうか。最も基本的な意味は「粗末なこと、粗略なこと」ですが、その内実を具体化することなく、直接口にはしにくい不都合なことをぼかして言うための言葉でもあります。ここでは、「粗相」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「粗相」の意味
  2. 「粗相」の使い方
  3. 「粗相」の類語

「粗相」の意味

「粗相」(そそう)には、以下の4つの意味があります。

  1. 粗末(そまつ)なこと。粗略(そりゃく)なこと。
  2. そそっかしいこと。軽率。
  3. あやまち。不始末。ぶしつけなこと。
  4. 大小便をもらすこと。

「粗」の字について

「粗」(ソ)の字は、「米」と「ばらばら(「疏」の字に通じる)」の意から、精白されていないねばりけのある米のことを表しましたが、転じて「あらい」意に用いられるようになったと考えられています。

「あらい」は「荒い」の字も使いますが、「粗い」と書く場合、事物が細かくなく、おおざっぱで雑なこと、十分に手が加えられていないことを意味します。「粗悪」「粗品」「粗暴」などの熟語からのその意味が窺えますね。

「粗相」の「相」は「すがた、ありさま」などの意味ですから、「粗相」は単純に「粗」である「ありさま」と捉えて良いでしょう。

「粗相」の使い方

「粗相」は、主に「粗相をする」「粗相がある」「粗相をしでかす」などのかたちで使います。使用上のポイントは、多くの場合、「粗相」の具体的内容に言及しない点です。

例えば、「目上の人間に会うので、粗相があってはならない」と言う場合、どのような種類のものであれ、「粗相」=「雑でおおざっぱな姿」を見せられないという意味であり、その言葉の中にはさまざまな種類の「粗」や「あやまち」があらかじめ内包されています。

何を「粗相」と感じるかは人次第であり、そもそも「粗」とそうでないものの境目は客観的に定義しにくく、不確かです。そのため、「粗相」は、「相手に見せにくいもの、そう思われるものの有り様」全般を抽象化して言い表す言葉でもあるのです。

「大小便をもらすこと」の婉曲表現

「粗相」は、大小便をもらすことを意味する婉曲表現(露骨にならないようにする遠回しな言い方)であることも珍しくありません。

清潔さ(衛生的であること)を貴ぶ社会通念上、排泄行為は「粗相」の代表的な例と言うこともでき、特に人間に対して用いる場合は、その人の尊厳を守るためにこの言葉が使われることもあります。

中でも、「子ども」や、犬・猫などの「ペット」、あるいは介護の現場などで「粗相」と使う場合は、この使い方に該当しやすいかもしれません。

例文

  • 誠心誠意を尽くしてもてなしたつもりだったが、客人は常に仏頂面で、何か粗相があったのかと私は心配になった。
  • レストランで注文した料理がなかなか出てこない。さきほど厨房のほうで何か割れるような音がしたので、ウェイターが何か粗相でもしたのかもしれない。
  • 友達の家に遊びいった息子が何か粗相をしでかして、友達に怪我をさせたらしい。これから謝りにいかねばならない。
  • 彼女の家に遊びに行ったところ、「飼い猫が廊下で粗相をしたので、ちょっと待ってて」と言われて、家の前で20分待たされた。

「粗相」の類語

不注意

「粗相」は、基本的には「不注意」によって引き起こされる失敗や過ちのニュアンスです。逆に言えば、よくよく注意して慎重に事に当たることが、「粗相」を防ぐための手段でしょう。

【例文】:いつも備品を雑に扱っていた店員の不注意によって、店は大損害を負った。

失態

「体裁を失うこと」や「やりそこなうこと」「体裁の悪い失敗」のことを「失態」と言います。「体裁」は外から見える物の様子や、他人から見たときの自分の状態の感じですから、他人に見せにくい「粗相」のニュアンスにかなり近いでしょう。

【例文】:今回の失態については、言い訳のしようもない。

へま・ぽか

間の抜けたこと、気の利かないこと、失敗することを「へま」、思いがけない失敗のことを「ぽか」と言います。どちらもやや軽い言い方で、軽率さを表すこともある「粗相」のニュアンスに近いといえるでしょう。

【例文】

  • へまばかりする部下をかばっていられない。
  • 彼は基本的に優秀だけど、たまにぽかをする。


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