捲土重来とは？捲土重来の意味
一度失敗した者が再び勢いを盛り返し、巻き返しを図ること
捲土重来の説明
「捲土重来」は「けんどちょうらい」または「けんどじゅうらい」と読み、中国・唐時代の詩人・杜牧の漢詩「題烏江亭」が由来です。土煙を巻き上げる勢いを意味する「捲土」と、再び来ることを表す「重来」が組み合わさり、敗北から再起を図る様を表現しています。特に「項羽と劉邦」の故事と深く結びついており、戦いに敗れた項羽が再起を図らなかったことを惜しむ心情から生まれた言葉です。現代では、スポーツの試合での逆転勝利や、ビジネスでの失敗からの挽回など、さまざまな場面で使われるようになりました。
失敗しても諦めない心の強さを教えてくれる、前向きな言葉ですね
捲土重来の由来・語源
「捲土重来」の由来は、中国・唐時代の詩人である杜牧（とぼく）の漢詩「題烏江亭」に遡ります。この詩は、楚漢戦争で劉邦に敗れた項羽の最期を詠んだもので、「江東子弟多才俊 捲土重来未可知」（江東の子弟は才俊多し 土を捲いて重ねて来たらば未だ知るべからず）という一節が語源となっています。項羽が烏江で自刃せずに故郷の江東に戻り、再起を図っていたならば、どうなっていたか分からないという「もしも」の想いが込められた言葉なのです。
失敗を糧に再挑戦する希望に満ちた言葉ですね
捲土重来の豆知識
「捲土重来」は「けんどちょうらい」が正式な読み方ですが、「けんどじゅうらい」も広く使われており、辞書にも掲載されています。面白いことに、この言葉はスポーツの世界で特に好んで使われる傾向があり、逆転勝利を目指すチームや選手を鼓舞する際によく用いられます。また、ビジネスシーンでは、一度失敗したプロジェクトの再始動を宣言するときのキーワードとしても活用されています。
捲土重来の言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「捲土重来」は四字熟語の中でも「故事成語」に分類され、中国の歴史的出来事に基づいて成立した言葉です。構成要素として、「捲土」（土煙を巻き上げる勢い）と「重来」（再び来る）が組み合わさり、比喩的表現として機能しています。日本語における漢語の受容過程で、原義を保ちつつも日本独自の文脈で発展した例であり、同義語として「起死回生」「名誉挽回」などがありますが、それぞれニュアンスの違いがあります。
捲土重来の例文
- 1 前回のプレゼンで大失敗したけど、リサーチを徹底して捲土重来を期すよ。今度こそ成功させてみせる！
- 2 資格試験に落ちて落ち込んでたけど、勉強法を見直して捲土重来だ。次は絶対に合格するぞ！
- 3 プロジェクトが一度頓挫したけど、メンバーと気持ちを新たに捲土重来を誓った。この経験をバネにしよう。
- 4 スポーツの試合で悔しい敗戦を喫したが、練習を積んで捲土重来を果たす日を夢見て頑張っている。
- 5 起業が失敗に終わったときは辛かったけど、得た学びを活かして捲土重来を図りたいと思っている。
類語との使い分けポイント
「捲土重来」には似た意味の言葉がいくつかありますが、それぞれニュアンスが異なります。適切に使い分けることで、より正確な表現が可能になります。
- 「起死回生」：絶体絶命のピンチから一気に逆転する瞬間的な劇的変化を表す
- 「名誉挽回」：失った評判や信用を取り戻すことに焦点が当たっている
- 「リベンジ」：より個人的な復讐や仕返しのニュアンスが含まれる
- 「再起」：単に再び立ち上がることで、勢いや巻き返しのイメージは薄い
「捲土重来」は、土煙を上げるような勢いでの巻き返しをイメージさせるのが特徴です。時間をかけてじっくり再起を図る状況で使うのが適しています。
ビジネスシーンでの効果的な使い方
ビジネスの場では、「捲土重来」はチームの士気を高める効果的な言葉として活用できます。ただし、使い方には注意が必要です。
- 失敗を認めた上で使う：まずは率直に失敗を認め、その上で再起を宣言する
- 具体的な計画とセットで：単なる意気込みではなく、具体的な戦略や対策を示す
- チーム全体で共有：個人ではなく組織としての再起を意識させる
- 前向きな文脈で：責めるのではなく、励ましや応援の気持ちを込めて使う
今回のプロジェクト失敗は痛い教訓でした。しかし、得た学びを活かし、捲土重来を期して再挑戦します。
— ビジネス現場での実際の使用例
歴史的な背景と現代的な解釈
「捲土重来」は元々、項羽という英雄の「もしも」の物語から生まれた言葉です。古代中国の戦乱の時代から現代まで、人々の挫折と再生への願いを象徴する言葉として受け継がれてきました。
現代では、単なる「再挑戦」ではなく、失敗から学び、以前よりも強く戻ってくるという成長のプロセスを含んだ言葉として解釈されることが多くなっています。特に変化の速い現代社会では、一度の失敗で終わらず、何度でも挑戦し続ける精神の重要性が高まっており、この言葉の価値はますます大きくなっていると言えるでしょう。
SNS時代においては、公開された失敗からの再起劇が共感を生むことも多く、個人の成長物語としての側面も持つようになりました。
よくある質問（FAQ）
「捲土重来」の正しい読み方は「けんどちょうらい」と「けんどじゅうらい」どちらですか？
どちらの読み方も正しいです。「けんどちょうらい」が本来の読み方ですが、「けんどじゅうらい」も一般的に使われており、辞書にも両方の読み方が掲載されています。状況に応じて使い分けても問題ありません。
「捲土重来」はどんな場面で使うのが適切ですか？
一度失敗や敗北を経験した後、再起を図る状況で使うのが適切です。例えば、試験に落ちた後の再挑戦、ビジネスでの失敗からの再始動、スポーツの試合でのリベンジマッチなど、挫折から這い上がる意志を示すときにぴったりの言葉です。
「捲土重来」と「起死回生」の違いは何ですか？
「捲土重来」が「一度敗れた者が再び勢いを盛り返すこと」を意味するのに対し、「起死回生」は「絶体絶命の危機から一気に状況を逆転させること」を表します。捲土重来は時間をかけた再起、起死回生は一発逆転のニュアンスが強いです。
「捲土重来」を使うときの注意点はありますか？
まだ失敗していない状況や、単なる意気込みだけで使うのは適切ではありません。実際に一度挫折や敗北を経験した後で、具体的な再起の計画や意志がある場合に使うようにしましょう。また、他人の失敗に対して安易に使うのは避けるべきです。
「捲土重来」の由来となった項羽の故事について教えてください
楚漢戦争で劉邦に敗れた項羽は、烏江まで逃げ延びたものの、故郷の江東に戻って再起を図ることを選ばず自刃しました。詩人・杜牧はこの選択を惜しみ、「もし項羽が戻って再起を図っていたなら」という想いを「捲土重来未可知」と詠んだことが言葉の由来です。