「無知」とは?意味や使い方を類語も含めてご紹介

社会に出て、自分の「無知」を思い知った、という方は多いかもしれません。単純に「知らない」ということ以上に、哲学的な意味合いも含む言葉ですので、類語と合わせて使い方を深めておきましょう。ここでは、「無知」の意味や使い方を類語も含めてご紹介します。

目次

  1. 「無知」とは?
  2. 「無知」の使い方
  3. 「無知」の類語
  4. 「無知」のまとめ

「無知」とは?

「無知」(無智、むち)という言葉には、「知識がないこと」「知恵がないこと」、両面の意味があります。

つまり、「知識」と「知恵」、どちらかあるいは両方が欠けていれば、その人は「無知」と呼ばれてしまうわけです。しかし、「知識」と「知恵」は何が違うのでしょうか?

「知識」と「知恵」の違い

簡単に言えば、「知識」は「知っていること」であるのに対し、「知恵」は「知っていることを生かし、適切に処理する能力」です。

例えば、「明日、雨が降る」とあなたは知っていたとします。「雨で身体を濡らせば、風邪をひく」かもしれません。ここまでが知識。そこであなたは知恵を働かせて、「傘を用意する」かもしれませんし、「外出の用事を先延ばし」にするかもしれません。

この例で言えば、「雨が降る→身体が濡れる→冷える→体調を崩す可能性がある」という知識がない人、もしあってもそれを適切に処理する知恵がない人のことを「無知」というわけですね。

「無知」の使い方

「無知」という言葉は、「当然知っているはずの物の道理を知らないこと」(=知識がないこと)や、「当然考えられる物事を考えないこと」(=知恵がないこと)、その片方あるいは両方を満たす人間の在り方を指して使います。

簡単に言えば、「無知」は「物を知らない」ということですから、ネガティブな文脈で用いられることがほとんどです。しかしながら、「無知」そのものは罪ではないという点に注意が必要です。

「無知」そのものは罪ではない

例えば、生まれたばかりの赤ん坊は「無知」です。しかし、誰も赤ん坊を「物を知らないやつだ」などと馬鹿にはしません。学識豊富な大学教授であっても、自分の専門外の学識について「無知」だからと言って、通常責められることはありません。

「無知」が問題となるのは、その物事に精通していなければならない立場の人が、それについて何も知らないような場合です。例えば議会内閣制の政治家が、「選挙とは何ですか?」と発言しようものなら、その「無知」さは非難されるでしょう。

「無知」が問題となる場合でも、大抵の場合は「知らないこと」そのものというより、「知らないまま放置していること(知らない振りをし、それに甘んじていること)」、その傲慢さが罪悪として捉えられる傾向にあります。

例文

  • 彼は店の責任者でありながら、営業の流れや従業員の勤怠管理など、あらゆることについて無知だった。
  • 初めて首都圏に来たので、恥ずかしながら鉄道網には無知なのです。〇〇方面にはどう行ったらいいのでしょうか?
  • 僻地の農村に育った少女は、満足な教育を受けておらず無知だったが、大自然の中で家族と共に毎日幸せそうに暮らしていた。
  • 無知である」というだけで、罪を犯した子どもを許すことができるだろうか。
  • 私の父は博学だったが、わからないことについては素直に自分の無知を認め、「次までに調べておく」と約束してくれた。

「無知」の類語

「蒙昧」

「蒙昧」(もうまい)とは、知識が開けず、物事の道理に明るくないことを言います。「蒙」は「くらいこと、無知なこと」の意、「昧」は「くらいこと、はっきりしないこと」の意です。

物事に詳しいことを「明るい」と表現することがあるように、「くらいこと(例:暗愚)」「見えないこと(例:盲目)」はしばしば「無知」の表現となります。「無知蒙昧」という熟語もあります。

例文:蒙昧な野蛮人どもの相手をする必要はない。

「愚か」

「愚か」は、知能や理解力が乏しいことを言い、「知識がないこと」ならびに「知識があっても、それを生かす知恵がないこと」の両方を示しますので、「無知」とよく似た意味です。ただし、「馬鹿げたこと」という侮蔑の意味もあるため注意しましょう。

「愚昧」「愚劣」「頑愚」「凡愚」などなど、似た意味の熟語も多数存在します。

例文:他人から愚かだと言われようとも、自分なりの信念を貫けばいずれ成果が出るかもしれない。

「疎い」

「疎い」(うとい)にはいくつか意味がありますが、「良く知らない、不案内」「頭の働きが鈍い、愚か」の意味が「無知」に近いでしょう。

「無知」に比べれば「少しは知っている」のニュアンスもあるのですが、生半可な知識が誤った論理を導くことも多いため、「疎い」が必ずしも「無知」よりましというわけではありません。

例文:ファッションには疎いため、彼女の服装を評価できない。

「無知」のまとめ

哲学者ソクラテスは、「無知の知」という概念を提唱しました。これは、自分の無知を知る(自覚する)ことが、新たな知への出発点であるという、一種の自己反省と自己啓発です。

人間は世の中のすべての物事を知ることはできませんから、他人がいかに物を知らないかを指摘することは簡単です。また、人間は自分自身の知識・知恵について過大評価する傾向があり、ついつい「知らないことも知っている(未知なことも理解できる)」と考えがちです。

しかし時には、「自分には知らないことがある、と知っている」という立場に身を置くことで、新しい知見を開くための道が開けるかもしれません。


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