「ご放念ください」とは?意味や使い方をご紹介

ビジネスにおけるメールや電話でのやりとりで、「ご放念ください」という文言を見聞きしたことはないでしょうか?自分でも使いこなせれば便利な表現ですので、ぜひ用法を覚えておきましょう。ここでは、「ご放念ください」の意味や使い方を、その対応法も含めご紹介します。

目次

  1. 「ご放念ください」とは?
  2. 「ご放念ください」の使い方
  3. 「ご放念ください」と「お忘れください」
  4. 「ご放念ください」への対応

「ご放念ください」とは?

「ご放念(ほうねん)ください」とは、「お忘れください」「心にかけないでください」という意味の言葉です。

「放念」は、何かについての念(=考え、気持ち)を放す(=自由にする、放置する)、すなわち「心にかけないこと」や「心配しないこと」の意です。

ごく簡単に、口語風に言い換えれば「その件は忘れて」や「あなたには関係ないので、気にしないで」という意なのですが、これを敬語で、ビジネスライクな文脈で言ったものが「ご放念ください」です。

「ご放念ください」の使い方

「ご放念ください」は、例えばミスによって相手に間違った情報を送ってしまった時や、訂正した内容を伝える必要がある時などに、(相手に状況を説明した上で)「さきほどの内容はどうかご放念ください」といったかたちで使います。

あるいは「もし〇〇だったら…」という仮定を置いたのち、「もしあなたのご都合が悪ければ、(あなたには関係ないことなので)ご放念ください」といった具合に、相手にへりくだりながら自分の意思や要望を先立って示す使い方も可能です。

ビジネスシーン以外でも相手にかしこまる文脈は変わりませんが、「心配しなくていい」と相手を安心させるために使ったり、「これ以上は配慮しなくてよい」と断り・謙遜の目的で使ったりと、ニュアンスはやや多様化します。

例文(ビジネス寄り)

  • 先ほど当社から送らせていただいたメールですが、当方の不手際が原因で送り先を誤っておりました。ご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません。メールの内容はお客様には関りのない内容ですので、どうぞご放念ください
  • △△の案件につきまして、大幅な仕様変更がなされる運びとなりました。したがって、大変恐縮ではございますが、昨日お渡しいたしました資料につきましては、ご放念ください。近日中に新しい資料をお送りいたします。
  • 急なお話で恐縮ですが、私は出張ですぐ近くまで来ております。本日夜、お会いするお時間をお作りいただくことは可能でしょうか?もし都合が悪いようでしたら、この件はご放念ください

例文(個人寄り)

  • (手紙などで)私のほうはつつがなく暮らしておりますので、どうそご心配なさらぬよう、ご放念ください。(※私は大丈夫なので、心配しないでというニュアンス)
  • (礼状などで)この度は大変高価な品物をいただき、家族みな喜んでおります。今後はどうぞお気遣いなく、ご放念ください。(※過分な贈り物は今後不要であるというニュアンス、または単なる謙遜のニュアンス)

「ご放念ください」と「お忘れください」

「ご放念ください」は、ニュアンスとしては「お忘れください」や「気にしないでください」とほぼ同じです。ある程度気が知れた相手であれば、こうした言葉を用いても良いでしょう。

しかし、「忘れろ」や「気にするな」といった言説は、例え敬語のかたちであっても、相手に多少の負荷を強いることを許容するニュアンスがあるため、注意が必要です。

「忘れる」や「気にしない」には多少の負荷がある

「忘れる」や「気にしない」という思考的動作には、「本当に忘れて良いものか?」を検証する過程も含め、忘れるべき内容を特定し、それを意図的に無視するという少なくない負荷がかかります。「無視してください」も同様です。

「忘れてほしい」のはこちらの都合なわけですから、「忘れる」という負荷を当たり前のように相手に要求することは、マナー的に少々危ういものがあります。謝罪の意も含む場合はなおさら注意が必要です。

その点、「放念」であれば、「あなたが抱いている念(疑念でも邪念でも)を放していただけませんか」と、相手の思考的自由度に最大限敬意を払いつつ、「放す」という最小限の負荷のみを頼むことができるのです。

「ご放念ください」への対応

もし相手から「ご放念ください」と伝えられた場合、対応(返答、返信)はどのようにするべきでしょうか?

原則として「ご放念ください」は、それ以上やりとりする必要がない、伝えられた側が「放念」できればそれで終わりという案件について使われますので、基本的には何もしなくてOKです。

ただし、取引先との個人的やりとりなど、ある程度の礼を尽くす必要がある相手であれば、確認・納得のしるしとして「承知いたしました」と一言送っておく程度の対応をしてもよいでしょう。

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